「はぁ、やっぱ攻めるだけじゃ勝てるわけないか」
俺はため息をつきながら、2、3歩下がる。
「ふふん、どう?」
と、胸を張る少女。
だがしかし、その胸は残念ながらはるほどあるものではなく、
「ま、なんとか勝つよ」
俺はその姿から目をそらし、開始位置に戻った。
「なんか余裕そうなのが腹立つわね」
凰さんは口角をひきつらせながら、開始位置に戻る。
ふぅ、俺は一息ついて、考える。
攻めては見たけど、多分攻めるだけじゃただの素人に毛が生えた程度しか強くない、という感想だ。
ほんとうなら箒ちゃんの時みたく、防御しながら攻めたかったのだが、生憎にも凰さんはカウンタータイプ。
俺が全力で攻撃したりしないと攻撃を仕掛けてこない。
だから今度は、
俺は歩いて凰さんの元へと行く。
静かに歩く俺。
キシ、キシ、と床板が軋む小さい音が道場に響く。
凰さんは集中して、俺が近づく度に昆を握る力が強くなっているかのように見えた。
昆の間合いに入る。
このまま凰さんが突きをすれば、俺は回避するしか選択肢がないだろう。
しかし、凰さんは攻めてこない。
あれ?と思いながら、俺は歩んでいく。
そして、小太刀の間合いに入る。
昆の先端は俺に腰あたりに当たっている。
「どうしたの?攻めてこないの?」
俺は素直に思ったことを口にした。
「あんたこそ、攻めてきなさいよ」
凰さんの額には、汗が滲んでいた。
俺はその言葉に応じず、しばらく考える。
なんで攻撃してこないのか、
ここまで来させたのに何か意図はあるのか、
そして、今何をするのが一番効果的なのか。
俺は、しばらく考えた後、
左手の小太刀を捨て、凰さんの昆を掴む。
当然、ISに乗っている訳では無い女の子の力に負けるわけもなく、昆はびくともしなくなる。
そして、俺は昆を引きながら右手の小太刀で何もすることの出来ない凰さんの首元へと刃を向ける。
「1本、だけど」
どうしたの?とは聞けずに、俺は剣を引き、開始位置に戻る。
一方の凰さんは、なにやら悶々とした表情をしていて、こちらを睨んでいる。
「じゃあ、行くよ」
俺は懲りずに再度歩いて凰さんに近づいていく。
有効な戦法なら使うべきだ。
対策してきたなら、それに対しての対策をすればいい、と考え、歩いて凰さんのもとへと歩み寄る。
今度は、俺の間合いに入る前にふぁんさんが動く。
昆の間合いに入った途端、威勢よく突きを放ってきた。
俺はそれを二刀で思い切り上に叩きあげる。
流石に両手であったので、昆はカチ上げられ、凰さんは俺に無防備な姿を晒すことになる。
それを俺は見逃さず、突っ込んでいく。
凰さんはカチ上げられた昆を振り下ろすが、俺は右手の小太刀で左に受け流すようにする。
昆は丸い方ををしているので、受け流しもしやすく、簡単に凰さんの昆は左に受け流すことが出来た。
そして、その隙に俺は左手の小太刀は凰さんの首元へと迫り、
「リーチだ」
刃を突きつけ、宣告する。
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