IS学園用務員物語   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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トーナメント戦編です


第33話

「あと4日……」

 

俺は日記を書き進めようとするが、なかなか書き出せずにいた。

今日はあのめちゃくちゃ疲れたあの日から一夜あけた日である。

 

まぁ疲れてはいたが、別に嫌な疲れじゃなかったし、仕事だってミスらずにちゃんとやった、飯だってちゃんと食った。

 

ならばなんでこんな俺が思い気持ちになっているかというと、聞いてしまったからだ。

 

 

"ラウラ・ボーデヴィッヒが専用機持ちに危害を加えた"

 

 

もちろん出処は、竹林さんだった。

 

その後、織斑先生が来て、「今日の訓練はお休みさせて欲しい、とふたりが言っていたぞ」と伝えてきてくれたおかげで、その噂は確信に変わった。

というか、鈴ちゃんに危害が加えられたと聞いて、俺は青ざめた。

 

「なぁ、ボーデヴィッヒちゃん。

 君の強さは、そんな意味しかないのかなぁ……」

 

俺は悩む。

 

ボーデヴィッヒちゃんが、どういう経緯で危害を与えたのか知りたかった。

なんでそれに鈴ちゃんが反抗したのかも知りたかった。

わからないことばかりだった。

 

だがしかし、わからないからと言って行動するのは、大人として宜しくない。

 

やるなら、誰にも迷惑をかけずに、やることをやってから。

 

大人として、やるべきところはしっかりしなきゃならない。

 

ここにいるものの殆どは子供なのだ。

 

そして、俺がまた触れ合っていたのも、子供だったのだ。

 

そうして、日記を書いていく。

 

内容は、ゴミ箱の中身の片付けの時、なぜかゴミ箱の中に唐揚げが入っていたこと、など、変わったことや、目に付いたことを記していく。

 

いつも通り、いつも通りの日記だ。

 

 

だけど、俺の目からは涙がこぼれていた。

 

「あれ?なんでだろ?」

 

大人になって、久しぶりに流した涙。

ここしばらく見てなかったそいつは、俺の心を抉っていく。

そこには痛みが確かに存在していて、

 

「苦しいなぁ……」

 

みんな、いい子ばかりなのだ。

箒ちゃんは不器用なりに頑張っていること。

 

鈴ちゃんは、いざとなればテンパって思い切りが出ないのだけど、頑張っていること。

 

ボーデヴィッヒちゃんだって、まだ日は浅いが、真面目な子だ。

 

なぜそんな子達が争わなきゃいけないのかがわからなかった。

 

しかし、俺の頭の中で答えは既に出ていた。

 

 

「織斑、一夏くん、ね」

 

全てがそこに帰結してしまう。

箒ちゃん、鈴ちゃんの思い人であり、噂によるとボーデヴィッヒちゃんが目の敵にしている人物。

 

よほどの馬鹿でなければ、おそらくその背景はもう分かってしまうだろう。

 

おそらく、一夏くんのことで喧嘩してしまったか。

 

そう思いながら、俺はため息をつく。

 

それならば、俺は何も言えない。

だって、箒ちゃんと鈴ちゃんの強さを求める根源は、彼にあったからだ。

 

それならば、俺は何も言えない。

 

俺とみんなの間には、決定的な境界線がある。

 

IS、という。

 

そして一夏くんはそのISという境界線を乗り越えたことができた人物だ。

ならば、そちら側のことには、一夏くんにどうにかしてもらうのが筋であり、俺が関わるのは、むしろ邪魔になるというか…………

 

 

「あ、そっか………………」

 

俺はこの涙の正体に気づいた。

 

この涙は、

 

 

俺の知っている人物同士が争ってしまったからでなく、

 

ボーデヴィッヒちゃんみたいな真面目な子が危害を加えるようなことをしてしまったからでなく、

 

鈴ちゃんがトーナメント戦にてれないくらいに傷ついたからでもなく、

 

 

「ただ、寂しいのね」

 

 

俺は、一人での訓練が寂しかったから、泣いていたのである。

 

なんともまぁ、身勝手なやつ(ヒーロー)だこと。




ちなみに、ボーデヴィッヒちゃんは謹慎扱いになっていて、訓練にこれません。

あ、分割です。
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