IS学園用務員物語   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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第36話

その戦いは、お粗末、という言葉が一番あっていた戦いであった。

 

「いやぁ、流石に今年の1年生じゃこれくらいが限界かなぁ……」

 

伊坂さんも、なんかつまらなさそうにしている。

 

今やっている1回戦の試合の内容は、実に簡単なものであった。

 

一夏くんと、シャルル・デュノアさん?だったっけ?が、ふたりを分断して、デュノアさんの方が専用機を持っていない箒ちゃんを潰しにかかり、一夏くんは、ボーデヴィッヒちゃんの足止め要因なのだろう。

 

しかしあまりにもこれは、

 

「拙い、な」

 

相模さんももはや試合内容を見なくなってきた。

 

ボーデヴィッヒちゃんと箒ちゃんは、自分からパートナーを組まなかった人たちで抽選で組まれるもので、まぁ、あんなこともあったのだから連携などできるわけがないとは思うが、一夏くんとデュノアくんは違う。

 

ふたりは望んで組んだらしいのだ。

 

だから当然連携の確認や、戦略など、もうちょっと面白いものを期待していたのだが、各個撃破、というやり方をしていた。

 

あれでは拙い、と言った相模さんの言葉にも頷ける。

 

だって、素人目から見ても、ボーデヴィッヒちゃんを無視して箒ちゃんに2人で攻撃を仕掛けるほうがいいじゃないか。

 

だって、2人で箒ちゃんに攻撃すれば、速攻終わるし、ボーデヴィッヒちゃんが味方を巻き込む巻き込まないにしても、自分たちだけが損になる事は一切ない。

 

 

 

…………とまぁ、スポーツの観戦をしながら批評しているおじさんたちになっているわけだが、俺以外の2人も、1年生には過度な期待をしていない。

 

だってまだ全然ISに触れてまもないんでしょ?

 

でもまぁ、伸びしろがちょっと見えづらい試合だなぁ……

 

それに、デュノアくん、援護得意だろ、あの動きは……。

 

てかあの白い機体、ブレードしか装備ないのかな?

 

などと、用務員のメンバーで語り合っていいたが、そこで箒ちゃんが堕とされた。

 

「あ、終わるな、こりゃ」

 

そう誰かが呟いた瞬間、もう決着は見えた。

いくらボーデヴィッヒちゃんが、物の慣性を止めれるなんて特殊能力が使えると言ったって、2人でやれば、一方への意識が薄くなるわけで、

 

「あ、終わった」

 

ボーデヴィッヒちゃんが墜ちた。

 

てか、ボーデヴィッヒちゃんの機体、支援タイプのやつでしょ……。

だって慣性を止めれるとか、でかい砲台とか、ワイヤーとか、もう援護用の武器ばっかじゃん。

 

と思っていると、

 

「「「?!」」」

 

突如、ボーデヴィッヒちゃんに異変が生じる。

 

ボーデヴィッヒちゃんのISの各所から、黒いドロドロとした、水?のようなものが出てきたのだ。

 

「おいおいあれは新手のイリュージョンですかい?!」

 

「知らないですよっ!!」

 

俺は異変を察知次第、VIPルームの隔壁を作動させ、先生達の無線のチャンネルに介入する。

 

「あ、やばい、これはやばいな」

 

伊坂さんも危険を察知したのか、仕事をし始める。

警報の作動、避難用経路の確保、生存者がいるかどうかの確認。

 

そこで、俺は気づく。

 

ブレスレットが、振動している。

 

行かねば、そう思った。

 

「俺、確認行ってきます!!」

 

やはり生の人間の目で確認することが一番だとIS学園は言っているので、機械の確認のあと、遠目でもいいので人間の目で確認するように、というお達しがあるので、確認はしなければならなくて、俺が今回その仕事だったのだが、俺はそれを早めに行く。

 

「はよ戻ってこいよ!」

 

「ついでに中の状況も教えてね!!」

 

相模さんと伊坂さんは、特に気にすることもなく、送り出してくれる。

俺は走りながら、ブレスレットを見る。

 

そして、ブレスレットから光が放たれたと思ったら、いきなり空中にモニターみたいな感じで投影され、そこには束さんの顔が映っていた。

 

「中で大変なことが起こってる!」

 

「知ってるよ現在進行形で向かっている」

 

「内容を簡単に話していくね」

 

束さんから聞いた話によると、ボーデヴィッヒちゃんのISには、今は各国間のISについての軍事条約……アラスカ条約によって禁止されていた技術が使われていて、それが今暴走をして、一夏くんたちに襲いかかっているらしい。

 

「いっくんたちが止めれない可能性もあるし、お願い!!」

 

俺はそれに対して、頷きだけを返して、走る。

 

「着いた」

 

「1枚だけ防壁とっておいてあるから、そこから入って!」

 

俺が会場に足を踏み入れると、そこには前にも見たことのあるような金属の壁で覆われたステージがあった。

 

「一応聞くけど、防犯カメラには」

 

「映ってない!」

 

「よし、わかった」

 

俺は、防壁がわざと作動していないところに近づき、中を見る。

 

すると、今正にそこでは、ISを解除して、腕の一部分だけ展開している一夏くんの武器が、ボーデヴィッヒちゃんを貫いているところだった。

 

ホッ、としたのも束の間、

 

「私は!全てを!超える!」

 

ボーデヴィッヒちゃんを覆っていたおびただしい寮の黒い水?は量を減らしていく。

それはまるで、退治されて消えていくとかそういう類のものじゃない。

あれはきっと、無駄を省いてい……

 

「は、はは……ははは…………」

 

ボーデヴィッヒちゃんが、微かにだが笑っているのがわかる。

 

その姿は、普通の人間サイズ。

黒い水?は体を禍々しい模様を描く様にまとわりつき、姿は、邪悪、そのものであった。

 

「私は、手に入れた!」

 

「力を!」

 

「強さを!」

 

そして、エネルギーを使い切り、もう武器さえ持ち上げれない一夏くんに向かって、

 

「ありがとう、こんな力をくれて」

 

「そして、貴様のような出来損ないは、いらん」

 

その腕を振り下ろし、

 

 

 

 

 

「ちょっと、身勝手が過ぎるよ」

 

俺は一夏くんの目の前に立っていた。

 

そして、振り下ろされている剣に対しては、

 

「なっ……」

 

右手の人差し指で止めていた。

 

「貴様…………」

 

ボーデヴィッヒちゃんは、なによりも自分の剣が俺みたいな、ISも身につけていない人間に防がれているのが気に入らないのか、

 

「誰だァァ!!」

 

左手に黒い水が構成した刃で、俺に横薙ぎをしてくるが、

 

「ぬるい」

 

俺は左手で瞬時に防御するでもなく、

 

 

土手っ腹に、届かないであろう少し離れた距離から、

 

「ばん」

 

デコピンを放った。




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