IS学園用務員物語   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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番外編パート1
題名をつけるのだとしたら、織斑家の感謝、という感じです
今回は千冬さん視点です


第40話

「姉さん、俺を鍛えてくれないか?」

 

先手を取られた…………。

と、そんなアホなことを思わないで、私は今目の前で起こっている現象に頭が痛くなりそうになる。

 

これを説明するためには私は6時間ほど時間を遡らなければいけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、どうすればいいんだ?」

 

「いや、どうすれば、と言われましても…………」

 

私はこの前のトーナメント戦の後処理がやっと落ち着き出した頃、休みの日である日曜日にとある男性の元に行っていた。

 

生まれてこの方一つと言ってもいいほど浮ついた話がない私であるが、今回も例に漏れず、浮ついた話ではない。

 

「どうやって切り出せばいいのだ、一夏に」

 

「いやだから知りませんって」

 

「でも、この事を相談できるのはお前しかいないんだぞ?

 少しは相談に乗ってもらっても……」

 

「えっと色々言いたいことがありますが、まず最初に

 

 

 なんでこんなとこで話してるんですか?!」

 

ここは女子トイレ。

学校の一角のよく使われる場所だからこそ、学校のある日には修理がなかなかできないため、休みの日にやらなければならないらしく、彼はここでこうして今、仕事をしている。

 

「仕事だから話ができないと言ったのはそっちじゃないか。

 私は別に仕事をしながらでもいいから話を聞いて欲しいだけなんだ」

 

そう、今日は朝から話を聞いてもらおうとしたのだが、仕事があるからという理由で断られた。

 

「はぁ、じゃあ率直に遠慮なく言わせてもらいますけど、あなたの心配は杞憂なんじゃないかと思いますよ」

 

杞憂?なんでそんなことを思うんだ?

私がこんなに悩んでいるのにそれを杞憂だって?

 

「なんでそんなことを言うのだ?」

 

「はは……別にそんな難しいことは無いと思いますよ」

 

と言うと、彼は携帯貸して、と言って私に手を伸ばす。

私は不気味に思いながら、しばらく考え、

 

「余計なことはしないでくれよ」

 

私は指紋認証でケータイを開き、彼に渡す。

仕事を終えたのか、手を洗い、首からかけていたタオルで手を拭き、受け取る。

 

「ほら、じゃあ見せながらやりますから」

 

彼は私に携帯の画面を見せながら操作する。

 

まず彼はメールアプリを開き、

 

アドレス帳から一夏のメアドを選択する。

 

そして本文をうちはじめる。

 

"今日、話がある。

寮長室に今日の夜9時に来い"

 

そして、送信ボタンを

 

「ってえぇ?!」

 

私は阻止しようとして手を伸ばすが、私が携帯をふんだくったあとに、"送信中"の文字が写っている画面。

 

「あ、あぁあぁ…………」

 

「どうしたんですか?」

 

「どうしたもこうしたも……」

 

「もともと姉弟に遠慮なんていらないですよ。

 …………っと言っても、俺は兄弟とかはいないから分からないけど、少なくとも、あなたには迷う意味はないはずじゃないんですか?」

 

私はドキリとした。

なんで?

自分の体の反応を脳が理解出来ない。

 

「な、なんで……」

 

「だって、あなたの目に迷いが映っていないから」

 

「…………戦ったものだから、か?」

 

なんだかこんな感じのやり取りを前にしたことがあるような気がして、思い出すと、彼はこの前、そんなことを次に言っていたのを思い出して、私は口にした。

 

「いえいえ」

 

彼はそう言って微笑を浮かべ、

 

「年上からの、ちょっとした助言ですよ」

 

「とっ」

 

私は思わず言葉をつまらせる。

 

「年上だったのか?!」

 

そして、ためこんだ息を一気に吐き出すようにその言葉を発する。

 

「えぇ、これでも25ですよ」

 

「えぇ…………」

 

なんだか対等に戦っていたから、なんだか知らないがずっと同い年のような感覚だったし、今まで普通に話していたものだからてっきり…………

 

「いや、これでも1番用務員の中では若いんですからね」

 

「あ、いや、全然若く見え…………ます」

 

「なれない敬語なんて似合わないですよ」

 

私は年上と聞いて敬語を使おうと意識してみたが、思ったよりうまくいかず苦戦していると、彼は敬語を使わないことを許してくれた。

 

と、そんなところで会話が一度途切れ、私はとりあえず、今パッと思い浮かんだことを口にする。

 

「ま、まぁ、とりあえず、ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

「なんで笑う」

 

私はパッと思いついたことをいっただけなのに、微笑みを浮かべられたことに少しムッとしてしまった。

 

「いやいや、ありがとうと言える事は、わかってたんじゃないですか?

 自分が悩む必要なんてなかった、ってことに」

 

「そ、そうだな……」

 

思えば私は悩んでいるフリをしていたのかもしれない。

自分から歩み寄るのが怖くて、自分の過去を気にして、そしてなによりも、この世界に足を踏み入れさせてしまったことが申し訳なくて…………

 

「だからといってくよくよしない」

 

そんなタイミングで聞こえるアドバイス。

 

「じゃあ困った時の年上からのアドバイスをひとつ。

 困った時は、感謝の気持ち。

 案外ありがとうからの話の切り出し方は、役立ちますよ」

 

「………………」

 

今思っていることとは微妙にニュアンスが違うそんなアドバイスに返答に困る私。

 

「まぁ、年上って言ってもそんな変わんないし、織斑先生の方が年上っぽいですもんね」

 

私が話を切り出そうとすると、彼からの余計な一言。

 

きっと彼は場を和ますつもりで言ったのだろうが少し女性の扱い方をわかっていない。

 

男性経験がない私があまり言えた口ではないのだが、ここは少し言ってやろうか、と思ったが、

 

「ありがとうございます」

 

案外感謝の気持ちを表すのも、悪くないな、と思った。




そんな長くならないようにあと1話で終わらせたい。
分割です。

すいません同時刻に投稿できませんでしたが番外編小説の方も投稿しました。

1話目は短いです。

題名は"IS学園生徒物語"です!
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