IS学園用務員物語   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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多分未だかつてこんなに叩いて被ってジャンケンポンについて考察をした話はなかなかないと思う。。


第46話

「あぁ、ボーデヴィッヒ、このゲームはちなみに、叩いて被ってジャンケンポン、という掛け声でジャンケンをするのだぞ」

 

「そのような掛け声があるのか…………うむ、わかった」

 

私は、なにやら世界観の違う世界に来たような錯覚に囚われたが、すぐに、目の前の勝負に向き合う。

 

なんだかんだいいながら、私も負けず嫌いの人間であるとは自覚があるので、考える。

 

とりあえず、箒が最初に出す手はわかっている。

 

この前から割と一夏の隣の席を巡るのでジャンケンをしてきたから、箒が最初に必ずグーを出すのはわかっている。

 

この銀髪チビが何を出すのかは分からないけど、下手に身体能力と反射神経のいい箒は、最初に潰しておいた方がいい。

 

それに、この銀髪チビは、さっき、私は勝てない気がするが、と言っていた。

 

先ほどの言動から、この発言は完全にブラフだろうということがわかる。

 

だって、さっきまで戦いたがりだった人間が、こんないきなり弱気な発言をするのは考えにくいし、それだったらこんな勝つ気満々の目をしていないだろう、と私は銀髪チビの方をちらりと見る。

 

「それじゃあ、いくぞ」

 

思考する時間は終わった。

私の目標はまず、箒の撃墜。

 

「「「叩いて被ってジャンケンポン!」」」

 

箒……グー

銀髪チビ……パー

私……パー

 

私は銀髪チビの手を見て、すぐに自分の手元にあるピコピコハンマーを取り、振りかぶり、箒に向かって振り下ろす。

銀髪チビの方は、おそらく私たちの結果を見てから反応したのであろう、私より少し遅く動き出した。

 

きっと銀髪チビの反応速度だったら防がれているだろうが、私は最初から価値を確信していたので、勝てる。

 

そう思っていたが、

 

「おぉっ?!」

 

ピコっ

 

なんとこの怪物は、私の振りかぶりを見て反射神経でヘルメットをとり、自らのスピードで私より遅く動き出したにも関わらず、防御を間に合わせたのだ。

 

「うそでしょ、あんた…………」

 

「それで間に合わない、か」

 

私と銀髪チビは、同じようなことを言う。

対する箒は、防御に成功したのにあんまり嬉しそうな顔をせず、

 

「ジャンケンに勝てないのであればまず勝利できないではないか」

 

「いや、防げる前提なのがおかしいと思うけど」

 

「そうだな、一気に箒を倒せると思えなくなってきたぞ」

 

私たちは、それぞれ手に取ったものを元の位置に戻す。

次のジャンケンは、箒はいつもと同じであれば、チョキを出す。

先程の手に勝てる手を出すくせが箒にはあるのだ。

今まではあんまり気にしていなかったが、今になって私は気づいたその箒の癖に、次で仕留めるしかない、という考えが浮かぶ。

 

「それにしても難しいな、このゲームは」

 

銀髪チビがまたも唸る。

これで確定だ。

銀髪チビは三竦みのあいこを狙っている。

 

そして、それで箒を潰そうとしている。

 

あえて自分を弱く見せ、強そうな箒に意識を向けさせることで、負ける確率を少なくする。

 

それに、きっと銀髪チビも箒の癖には気づいている。

 

さっきのジャンケンの時、銀髪チビは少し遅れただけだった。

 

つまりそれは、箒より早く動き出した、ということであり、そんなことをできるのは、

 

結果を予測出来ていたから。

 

そして、銀髪チビはおそらく私がパーを出すのもわかっていた。

だからあえて、先程は意識して遅らせることにより、私VS箒の図式を作り、自分が漁夫の利を狙おうとしているのだ。

 

だから私はあえてその策に乗っかる。

 

「じゃあ2回戦だな」

 

「「「叩いて被ってジャンケンポン!」」」

 

箒……チョキ

銀髪チビ……グー

私……グー

 

「はっ!!」

 

その瞬間、ラウラは動いていた。

私よりも早く、動き、最小限の動きでピコピコハンマーを手に取り、振りかぶらず、ピコピコハンマーで箒の頭上を突く。

 

私は理解する。

 

振りかぶる、という動作を減らし、最短距離で、しかも頭を叩くための動作を最小限にするための動き。

箒の敗北が見えたその瞬間。

 

「はぁっ!」

 

その突きをはね上げるように動く黒い影。

私はその影に跳ね上げられるピコピコハンマーに思わず見とれて、自分が攻撃することを忘れていた。

 

そう、箒はヘルメットを被る動作で、銀髪チビのピコピコハンマーを跳ね上げさせ、防いだのだ。

 

「それはありなのか?」

 

銀髪チビが箒に問いかける。

おそらく、いまので間に合わないのであれば、箒を下すことは不可能に近くなるだろう。

 

「…………まぁ、たまたまヘルメットに当たってしまったからなぁ……。

 いいのではないか?」

 

苦笑いを思わず私は浮かべてしまった。

まぁ、よくよく考えれば、跳ねあげずとも、あの速度だったら防御は間に合っていた。

 

だから銀髪チビも、文句は言わず、

 

「わかった」

 

そう告げる。

 

「うーむ……。

 なぜ二回も連続で負けてしまうのだろうな……」

 

私は箒が感じた違和感に、焦りを覚える。

箒だってここに在学している以上、馬鹿な訳では無い。

ただジャンケンの面で、自分の癖などを考えたことがないからであり、それは考えればすぐにわかってしまうことだ。

 

「いや、箒、きっと2回も負けたのだから、次は私は箒に負けると思うぞ、絶対」

 

だから、この銀髪チビは動き出した。

今のセリフは、箒に向かって言われたものではなく、私に向かって言われたもの。

その意味は、『私は次、箒に負ける手を出す』

そしてそれが意味するのは、共闘の提案。

 

「いや、私は今日ジャンケンの調子がいいから、勝っちゃうとおもうなぁ」

 

私はこの提案に乗る。

おそらく箒と一対一になったところで、勝てる確率はほとんど無いに等しいだろう。

だから、それだったらまだこの憎たらしい銀髪チビへの雪辱戦も兼ねて、一対一をしてやりたい。

 

「うーーん。

 じゃあ、次やろうか」

 

「「「叩いて被ってジャンケンポン!」」」

 

箒……パー

銀髪チビ……グー

私……チョキ

 

そして、3つの間抜けな音とともに、決着はつく。

 

 

 

「なんでそんなに私を狙うのだ……」

 

「うむ、強いから、と言っておこう」

 

「ほんとほんと、これは褒め言葉だからね」

 

箒の頭には2つのピコピコハンマーがあり、

 

つまりそれは、箒の敗退を示すものであった。




まだ続きます。

重要なところと言いますか、まぁ本編には少しだけ関わってくる、この作品での原作との変更点をご紹介します。

ラウラは一夏のことを、強敵と書いて友と呼ぶ、いわゆるライバル、という関係だと思っている、ということです。

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