IS学園用務員物語   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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第47話

「やっと勝ったと思ったのになぁ」

 

少し悔しそうにしている箒をよそに、私は銀髪チビと向かいあうように座る。

 

「先程の意味、よく分かったな」

 

「あそこまで露骨にやれば流石に分かるわよ。

 それに私としてはあんなに露骨にやって箒にバレていないのかヒヤヒヤさせられたわよ」

 

お互いに罵り合う私たち。

それと同時に銀髪チビの言動に、私は不安を感じてくる。

この銀髪チビの堂々と煽ってくる姿勢。

……もしかして、勝機があるからこんなことを言っているのではないか?

 

「まぁ、こんな言い争いも、結局は勝者が是になるわけだがな」

 

「やけに難しい言葉知ってるじゃないの。

 …………それもそうね、さっさと決着をつけちゃいましょう」

 

私は深く考えることをやめる。

あんまり考えすぎて失敗するのはこの前のあの模擬戦だけで十分だ。

と、私はあんまり考えないことで私は思い出す。

 

「「叩いて被ってジャンケンポン!」」

 

銀髪チビ……グー

私……グー

 

あいこでしょ、とは続かず、一度区切られるジャンケン。

そうだ、あれは中学生の時、一夏と友達の弾と数馬と一緒にトーナメント戦をしたな。

 

「叩いて被ってジャンケンポン!」

 

銀髪チビ……グー

私……チョキ

 

「はっ!」

 

私と銀髪チビが動き出したのはほとんど同じタイミング。

しかし、銀髪チビは勝ったにも関わらず、ヘルメットに手を伸ばし、

 

「あっ」

 

私はきちんとヘルメットをとってかぶるが、その頃にまだ銀髪チビはピコピコハンマーをとっていない段階。

そこで私は思い出した。

 

そういえば、一夏、へんな必殺技考えてたな。

 

私はくすりと笑い、ヘルメットを外して元の場所に置く。

 

「せっかくのチャンスだったが……」

 

「いや、いいよ、あんたのおかげで思い出せたから」

 

「ん?何を言っているのだ?」

 

まぁ、不可思議に思われるのは仕方が無いだろう。

しかし、私は勝てる気がした。

 

「私、絶対勝つから」

 

「ふっ、言ってろ」

 

だって、恋する乙女は強いからね。

 

と、適当なことを考えてみたが、恥ずかしいのですぐに打ち消す。

恥ずい、ほんとに恥ずい。

顔が赤くならないように極力目の前の勝負に集中しようとする。

 

「「叩いて」」

 

やることは決まっている。

 

「「被って」」

 

実践するだけ。

 

「「ジャンケン」」

 

あとは、ジャンケンで勝てるかどうか、運の神様が微笑んでくれれば……

 

「「ポン!」」

 

銀髪チビ……チョキ

私……グー

 

結果を見る前に動き出す私。

 

取ろうとしているのは、自分のヘルメット。

 

銀髪チビは戸惑う。

 

私が結果をろくに見ないでヘルメットに手を伸ばしたことに。

 

そして、私は、ヘルメットに手を伸ばしている最中に、ジャンケンの結果を確認する。

 

私は、勝った!

 

すぐさま私はピコピコハンマーを取りにかかる。

 

だがしかし、手を伸ばしたのは、

 

銀髪チビ(・・・・)のピコピコハンマーだ。

 

銀髪チビはまたも驚くだろう。

 

自分のものを取りに来ているのだ。

当然、思考が鈍る。

 

 

そして、こうやって積み重ねた結果、できるのは、

 

 

「いっけぇぇ!!」

 

 

一瞬の隙。

 

しかし、振り上げて下ろすまでの時間は稼げていない。

だから、ここからは私の工夫!

 

銀髪チビのピコピコハンマーを取るということは、相手の方に持ち手が向いているということであり、そのままとれば私の方にハンマーの部分が向いているということである。

 

そして、私はそれを利用する。

 

棍術特有の手首の捻り。

 

それを使い、私は自分なりの方法で振り上げて下ろす、という動作をなくする。

 

 

 

ピコっ

 

 

 

「…………私の負けだ」

 

私は、勝利した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「最後のあれはなんだ鈴。

 傍から見ればアホにしか見えなかったぞ」

 

「まぁ、あんな変なことをしてればそう見えるわよね……。

 で、でもこれは一夏が考えたことだから、私のせいじゃないわよ」

 

「なに?あのライバルかが。

 どんな技だ?」

 

「いや、技って言っても、結果見ないでヘルメットに手を伸ばせば、間違っていたとしても負けないじゃん!って言ってただけなんだけど……」

 

「ん?

 じゃあ最後のラウラのピコピコハンマーわ取ったのは自分で考えたものなのか?」

 

「そ、そうだけど、なによ」

 

「うーむ。

 あれは一本取られたなぁ。

 仕方が無い、叩いて被ってジャンケンポンの面では鈴、私の負けを認めよう」

 

「い、いや、そんなことで負けを認められても嬉しくないんだけど…………」

 

「いや、勝負の面であんなにラウラを惑わせたのは鈴が初めてじゃないか?」

 

「え?そうなの?」

 

私たちは終わったあとにくだらない話をしていた。

しかし、あれだね。

 

こんなくだらない勝負でも、"自分で考えて工夫して勝つ"って、結構嬉しいことなんだなぁ。

 

「ふふん、ラウラ、ISでも今度は負けないんだからね」

 

「おう、いつでもかかってくるがいい」

 

今度、あいつにも勝ってやりたいな。




これにて、番外編はすべて終了でございます!!
次からはついに終盤、福音編!!!!
おそらく10話くらい?になる予定です。
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