IS学園用務員物語   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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第51話

「…………話を聞く限り、今回の懸念要素としては、相手のスペックデータがない事、ISコアの反応に異変が生じていること、万が一今回の任務が失敗した場合のヘルプがないこと、なんですね」

 

「あぁ、そのとおりだ」

 

「…………まったくもって国家機密ではないんですが。

 むしろ俺でも調べればわかってしまいそうな情報なんですが」

 

今、俺は織斑先生の割り当てられた部屋で、二人きりの状況で、話し合っていた。

その結果知れたのは、相手のことがよくわからない、ということだけだった。

口頭で告げられただけで、ほんとに分からない、ということしかわからなかった。

 

「…………そこまで言うのならこれを見せてやろう」

 

と、織斑先生は、待っていましたと言わんばかりに、どこからか出した機密、と書かれた書類を俺の目の前に投げ出す。

 

「ん?」

 

俺は、その書類に赤字で書かれていた、機密の文字が見えなかったせいで、ちょうど開かれた部分を凝視してしまう。

 

そこには、さっき説明を受けた、真っ白のIS……福音こと、シルバリオ・ゴスペルの、スペックデータがあった。

 

「え?あるんじゃないです…………か…………」

 

そこで俺は、色々なことに気づく。

まず、これで俺はもう逃げ場をなくしてしまったこと。

そして、スペックデータに書かれている内容が、あまりにも性能が低いこと。

 

「これじゃあ、さっき言った、高速移動できるエネルギーも、スピードも、それに耐えうる耐久も、全部足りないじゃないですか……」

 

その書類に書かれていたのは、出力とか、俺にはわかりずらいデータだけでなく、MAXSPEED、とかenergytankとか、俺が見ても、わかりやすいデータもあり、俺は目を見開く。

 

「そう、このISは、何故かありえない事をしている。

 つまり、進化しているんだ……。

 人が乗っていない、と言うのにな………………。

 そして、ここに向かってきている」

 

「ISの意思を感じる、動き」

 

さらに告げられる事実と、パサ、とまたも投げ込まれた上空からの地図に映る福音の移動航路。

そのISは、最初は、太平洋の上でウロウロとどこへ行くかわからないような挙動をとっていたのが、まっすぐと、まっすぐと、こちらに向かってくるようになっていた。

 

「そして、このままのペースだと、今日が終わる少し前にここに到着する」

 

「ほんとですね、あと30分…………」

 

「だから私たちは、敢えてこちらから出向くようにした」

 

「…………それはどういう意味で?」

 

俺は少し考えてみたが、あんまり思いつかなかったので、思考を放棄して答えを聞く。

 

「まぁこれはメリットを得るというより、デメリットを少なくするために、そうしたんだ」

 

「あぁ、そういうことですか」

 

そこで俺も理解する。

もし、到着してから、地上での戦いになれば、被害は恐ろしいし、なにより生徒が危ない。

 

「そして、沿岸からは見えないが、大陸のプレートのズレで出来た、IS学園の敷地の半分位の岩場があるらしいのだが、先遣隊である一夏と箒を向かわせて、そこより先でまず作戦Aである、初撃必殺の一夏の零落白夜で決着をつけにかかる。

 

 失敗した場合、後方から後追いで行かせた専用機3機と、シャルロットを置いておく。

 

 そこでは時間稼ぎをメインにして、増援を待つ」

 

「あれ?でも30分あれば来れるんじゃないんですか?ここに増援」

 

「あぁ、そのはずなんだが、情報規制とのことで、必要最低限、それにそれを隠蔽するような理由を作るために、1時間かかるそうだ……」

 

「なんともそれは…………」

 

「それに、もし量産機を回しても、叶わないかもしれないから、専用機を使うようにしているのも、時間が伸びた理由になるそうだ」

 

織斑先生は、平然を装っているようだが、そのオーラはとても不機嫌で、近寄りがたくなるものを発している。

 

「ま、信じましょうよ、みんなを」

 

「なんでお前は心配じゃないんだ?」

 

織斑先生は、不機嫌な顔で、こちらに質問してきている。

 

俺は、その質問に、キョトンとしながら、

 

「あ、いや、別にどうなったところで、俺がなんとかしますから」

 

「……………………ふっ、あはははは!

 いやぁ、お前は面白いことを言うなぁ」

 

「ふふふ、俺も冗談ですよ」

 

俺は、柔らかく微笑み、

 

「信じてるんですよ、みんなを」

 

泣いて、負けても、叩きのめされても、立ち上がった箒ちゃんを。

 

自分に見限りをつけ、諦めていたけど、負けたことでその限界を破らんとした鈴ちゃんを。

 

最強を目指して、最強に挑むボーデヴィッヒちゃんを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うそ……』

 

『一夏と、箒さんが…………』

 

『みんな、気を張るんだ!

 次は私たちの番だということを忘れるな!』

 

『っ、うん!

 私たちは、増援が来るまで凌ぐ!

 一夏のことはきっとほかの人たちがなんとかしてくれる!』

 

30分後、俺の信じていた姿は、どこにもなかった。




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