IS学園用務員物語   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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第52話

「うそ…………だろ?」

 

満天の星空が夜を彩り、街灯がわりにここら一体を照らし出している。

 

そんな星明かりが窓から差し込む一室で、俺は、モニターに写っているその映像に、唖然とする。

 

30分前、俺はとりあえずないとは思うが、協力を約束し、本当に危ないと思った時に出るように、この今回の福音襲来のために旅館内の大部屋一室を作られた仮説支部にいる。

 

もちろん、ほかの先生もいるが、俺はサングラスにマスク、フードという超怪しい格好をして、部屋にいる。

 

30分前、迎え撃ったため、早まった福音との邂逅は、最悪の結果を残したのである。

 

「一夏くんと、箒ちゃんが、やられた?」

 

作戦通り、箒ちゃんと一夏くんのふたりが、早めに手を打つため、先遣隊として出て、一夏くんが、ISのシールドエネルギーを無視して攻撃ができるというISの特徴を知っているものが聞けば、極悪もいいところの、言葉通り必殺技の零落白夜を使い、迎え撃った。

 

 

作戦も、上手くいってた。

 

事前の打ち合わせも、かなりよかったらしい。

 

箒ちゃんも、専用機を持ち始めたもの特有の、浮かれた感じもしてなく、かなりこちらに分があるように思えたが、

 

 

「やられた、んだよ、な…………」

 

俺は目の前の光景が嘘のように感じ、一度目をつぶって深呼吸をしてから、もう一度見る。

 

『はぁっ!』

 

『鈴!頼んだぞ!

 私はPICでサポートする!』

 

『僕も集中乱すようにするよ!』

 

『ビットでサポートしますわ!』

 

現実であった。

 

 

 

 

 

…………一夏くんと、箒ちゃんのもとにたどり着いた福音は、綺麗なISだった。

純白、汚れない、白。

 

そんなISは、一夏くんと、箒ちゃんを目の前にして、観察していた。

 

じっと。

 

そこには、感情がないため、不気味に感じる。

 

そこで、一夏くんが動いた。

 

『なんか、このまま見られていると、ダメな気がする!

 行くぞ!』

 

『あ、一夏!』

 

結果的にいうと、それは正解だった。

最初の時点で、福音は攻撃すらしてこないで、ずっと泥臭く逃げているだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『はぁっ、はぁ…………』

 

『いつまでこいつは逃げ続けるつもりなのだ……』

 

そして、10分もたったとき、福音は動き出した。

 

『♪』

 

悲鳴のような、歓喜のような、激怒のような、そんな"音"を出して、福音は、接近してきた。

 

『なっ?!』

 

一夏くんは、いきなりの動き出しに驚きながらも、迎撃のために剣を握る。

福音が拳を振りかぶる。

一夏くんは、剣のリーチを生かして、右上からの袈裟斬りをするが、

 

『がっ』

 

まるで分かっているように(・・・・・・・・・)身をひねり、最小限の動きでかわされ、福音の拳によって、海に叩きつけられた。

盛大に跳ねる水しぶき、

 

『貴様、一夏をぉ!』

 

そこで、箒ちゃんはあろうことか激怒してしまった。

俺は、もう一夏君が負けたことにより、思考が停止してしまっていたため、何も考えられなかったが、今思えばわかる。

 

悪手だ。

 

『がはっ』

 

 

福音は、先読みでもしてるんじゃないか、というくらい美しくかわし、両手を握り合わせ、ハンマーの様に頭から叩きつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、俺は思考の海から這い上がり、状況を確認する。

 

今は、残った鈴ちゃん、ボーデヴィッヒちゃん、シャルロットちゃん、一夏くんとこの前だいぶ前に戦っていた子が、福音と対峙している。

 

 

主に、鈴ちゃんが持ち前の昆の両先に刀をつけたような武器を扱い、前に見た時よりもより洗練された円の動きを使い、接近戦で戦っているのを、ボーデヴィッヒちゃんが、相手の動きを止めて、援護してて、シャルロットちゃんや、青いISの子は、射撃による援護をしている。

 

いつの間に円の動きを使って攻めを……と俺は感心するが、その実、福音にダメージはあまり見られない。

 

福音は、主にエネルギー球を使っているのだが、それを器用に使って、逃れている。

 

わざと爆発させて目くらまし、敢えて爆発させず、浮遊させることで、接近戦に対する牽制、時に自分にわざと当てて、強制的に回避している時もあった。

 

「織斑先生、出ます」

 

俺は、そんな姿を見て、助けに行かないとは言えず、織斑先生に話しかける。

 

「いや、まて」

 

織斑先生は、俺の動きを止める。

 

「なんでですか?

 今こそ俺が出る時じゃないですか」

 

「……焦っているのは、わかるが、貴様が言ったんだろう?」

 

織斑先生は、俺に向かって微笑み、

 

「信じろ、とな」

 

すると織斑先生は、耳についている通信機器でなにやら話を始める。

 

「あぁ、完璧にこちらに意識が向かっている。

 いけるぞ」

 

「織斑先生、今のは?」

 

俺は獰猛な笑みを浮かべている織斑先生に、思わず声をかけてしまう。

 

「まさか、あの一夏が、こんな手を使うとはな…………」

 

織斑先生は、独り言を言ったあと、俺の方を向き、

 

「まぁ、見てろ。

 確かに、お前の言った通りだった。

 一夏は、信じるに値する男だ」




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