IS学園用務員物語   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

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今回は最終編ということで、この話だけ、もう1人の主人公……つまり一夏くん視点にしました。


第53話

俺は、機を伺っていた。

 

福音っていう意味不明で危険らしいISと戦い始めて10分くらい?攻め続けて、なんとなくだが、違和感と共に苛立ちを感じている。

 

夏休みにやった千冬姉との地獄の特訓(比喩ではない)で、俺は千冬姉からあることを言われた。

 

『力、速さ、技、硬さ、それらは須らく純粋な"力"にはなるだろう。

 …………だがな、それを今一夏が身につけたところで、本当の強さ……"意味ある強さ"にはならない。

 ……一夏には、そんな"意味ある強さ"を身につけてほしい」

 

千冬姉は本当に厳しかった。

だけど、そんな地獄の特訓の中でも、俺が特に覚えていることが、

 

『相手をまず、理解しろ。

 憎しみで戦っているか、歓喜して戦っているか、悲しみなのか、怒りなのか、見極めろ。

 そして、納得できなかったその時、全身全霊で、死力を尽くし、己の全てをかけて、倒せ』

 

俺は、そして今回の戦いではたった一つしか、理解出来たことは無かった。

しかし、そのたった一つ、はあの福音にとっての唯一の感情だったのではないのかと思う。

 

 

観察。

 

 

感情じゃない、そんな感情とはいえないような"感情"。

ISだからこそ抱けることのできる感情。

 

「やってやる」

 

だからこそ、10分もかけてやっとこさ理解して、そんな意味不明な感情…………まるで、雑魚を目の前にしたような感情を抱かれて、俺は納得いかなかった。

 

「ふぅ…………」

 

『ISの戦闘において、感情を出さないのは、感情に起伏を立たせないようにする、ではない。

 感情を操るんだ。

 ISは、私たちのそんな感情で進化する。

 だからこそ、怒りも、悲しみも、楽しさも、全てを大切にしろ。

 そしてそれを操れるようになれば、さらに、強くなれる』

 

深呼吸して、冷静になる。

しかし、内面は苛立ちを抱えながら。

だから、こんな感情にあっている作戦を考えた。

案外その感情に従って作戦を考えると、すごくぴったりな作戦を思いついて、俺は敢えて全力でかわすことを考えずに、いかに衝撃を殺してダメージを受けずに海の中に入れるかを考えた。

 

そしてその結果、俺のシールドエネルギーは、一割を削られたが、まだまだ動ける。

 

それで、俺が考えた作戦とは、

 

 

正面から、堂々と、ぶったたく。

 

 

観察なんかしているやつの顔面に、一発食らわせてやる。

そうとなれば、話は早かった。

 

「千冬姉」

 

『っ?!

 一夏か?!

 大丈夫なのか?!』

 

「あぁ、千冬姉、俺は大丈夫。

 わざと墜ちてみた。

 それで、作戦があるんだ。

 聞いてほしい」

 

『…………ほう、一夏が作戦、とはな

 話してみてくれ』

 

「正面から一撃入れる」

 

少しの静寂。

すると、千冬姉からふふふ、と小さな笑い声が聞こえ、

 

『あぁ、わかった。

 準備はこちらがする。

 お前を信じている。

 …………やれ」

 

『おう』

 

俺は、覚悟を決める。

 

白式、頑張ってくれよ。

 

俺は、自分の持つたった一つの武器をそっと撫でる。

 

『各員に告ぐ、合図とともに、弾幕を貼れ!

 前衛はこちらがサポートをするから弾幕から逃げ切れ!

 …………一夏が、来る』

 

いやいや、そんな期待しないで欲しい……と前の俺なら言っていただろうが、今ならできる気がする。

 

これくらいやらなきゃ、ヒーローなんてなれやしない。

 

俺は、福音の真下に……ISの持つセンサーの範囲内に入らないように身長に水中の中を進んでいく。

 

夜の星空が海から見え、綺麗だった。

 

今日の昼の成果が出ていて、嬉しいような、また出来すぎなような気がしていたが、倒せるならそれもいい。

 

通常、俺が戦術の基本に置く瞬時加速……イグニッションブーストは、水中においてはあまり効果を示さない。

使う時の、貯めておいたエネルギーを水が邪魔して、水しぶきが盛大に上がり、その分の移動エネルギーのロスが生まれてしまうから、だそうだが、今はそちらの方が好都合だ。

 

『3』

 

全身全霊で、

 

『2』

 

死力を尽くし、

 

『1』

 

己の全てをかけて、

 

『全員、撃てぇえ!!』

 

倒す!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなのできる限り最大の、弾幕。

福音は360度を遠距離攻撃によって囲まれている。

そして、俺は抜刀術の構えをして、イグニッションブーストで敵に迫ろうとする。

そのせいで上がる水しぶき。

 

しかし、福音からしたら、周りを覆う弾幕と、大きな水しぶきのせいで、現状把握に時間がかかる。

 

その瞬間をついて……

 

水中のせいでロスした分の力を、空中で追加する。

 

零落白夜を発動。

 

自分のシールドエネルギーがガンガン削れていく。

 

真上には、福音。

 

福音は、静止したまま、動かない。

 

「うぉぉおぉおおおぉぉおおお!」

 

俺は、そんな大声を出しながら、迫る。

迫り、迫り、迫り、そして、俺の間合いに入ろうとしたその瞬間。

 

「♪」

 

福音は、待っていましたと言わんばかりにこちらを向き、その一撃をかわそうとする。

 

身をひねり、自分の背中の後ろを刃が通るように、

 

だが、

 

「知ってたよ、こういうのを予測するために"観察"してたんだろ」

 

"意味ある強さ"には、

 

「イグニッションブースト」

 

敵わない。

 

 

 

 

『これはあるマンガの技なんだが、本来抜刀術とは右足を出して切るものだが、それをあえて左足を出して行うことで、刹那……0.1秒とかそれくらいの世界だが、無駄を省くことが出来、更には左足を出すことにより、腰の捻りなどが追加される。

 …………つまり、普通の抜刀術よりも、更に威力をだすことができる、私が知っている抜刀術の中で、最大威力、最速の技だ』

 

千冬姉から告げられた、世にある難題も優しく見えてしまうくらいの技。

 

 

 

 

「無茶苦茶すぎるよ、千冬姉は」

 

俺の夏の成果。

完成度は70%。

だけど、俺の知っている攻撃の中では最速。

 

中途半端な最速で、ここぞという時に使うような完成度ではないけど、

 

「"意味ある強さ"、身につけられたかな?」

 

0.1秒遅かったら、かわされていた。

この瞬間、俺は本能で察した。

 

"天翔龍閃"

 

零落白夜をまとった俺の刃は、皮肉にも自分と同じ色をしたISを、切り裂いた。




天翔龍閃、かっこよいです。

しかし、まだ終わりません分割です。
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