織斑先生は、指示を出している。
周りの人達も、それに呼応されている。
「すごいなぁ」
1人の人間が、希望になり、奇跡を起こす。
そんな小説やマンガだけの、紙の上で語られるようなものを、俺は今、目の前にしている。
ただ、見とれていた。
そんな風景に。
みんなが力を合わせて、
が全てを終わらせる。
ただ、そんな風景に。
「天翔龍閃?」
まぁ、最後の技にはなんか見覚えがあったから、すごく驚いたが、終わった。
「…………ふぅ」
俺は画面映像に映る、ガッツポーズをして、みんなから抱きつかれている一夏くんをみて、安堵する。
「え?」
誰かの、つぶやきだった。
そのつぶやきは、まるで波のない水面に水滴が落としてできた、波紋のように、俺たちの耳に届いた。
「なんだ、今のは?」
優しい声で織斑先生は尋ねる。
その声は、安堵に浸されたような声で、まるで普段の様子からは分からない声だった。
ドゴォォォォン!!
映像越しでも伝わる大音量。
それとともに映像は水しぶきで埋め尽くされる。
息を呑む一同。
そして、水しぶきが重力に従い、もとあるところに戻り、鮮明になっていく映像は、
一夏くんが、白い翼を生やした福音に、首を絞められているところだった。
「一夏?!」
織斑先生は、有り得ない、といった表情で、映像を見る。
映像では、一夏くん以外のみんなが、こちら側にいる俺らと同じタイミングで、気付き、一夏くんを助け出そうとしている。
「あれはなんだ?!」
「さっきまで微弱だった福音のエネルギーが、どんどん上昇しています!
400……1000…………上昇が止まらないです!!」
織斑先生の問いに、山田先生が答える。
しかし、それはISについてあまり詳しくない俺でもわかるほどに、ありえない自体だとは、周りの反応から理解出来た。
「織斑先生……」
そして、俺は立ち上がる。
織斑先生の顔は、悔しい、という感情で埋め尽くされていた。
「行きます」
「…………頼む」
織斑先生はきっと、俺の手を借りずにも、彼らは成長している、強くなっている、ということを証明したかったのだろう。
結構一夏くんを訓練したんだぞ、って言ってたし……。
だからこそ、俺を事前に呼んでおいた。
それなのに、結局頼ってしまっていることを、悔しく思っているのかな?と俺は予想して、
「大丈夫です」
当たり障りのない感じに言った。
…………仕方がないよね、うん、だって今考えてたのだって、予想の範囲を過ぎないんだし…………、と決めきれない自分に、ちょっと苦笑いしながら、俺は外へ出る。
「あの子らを助けてほしい……」
が、途中で織斑先生は、俺の手を取り、泣きそうな顔で、こちらを見る。
なんとなく、この人にかける言葉が、浮かんできたので、俺は少し強めに、もう1度、
「大丈夫です」
そう、告げた。
「さ、行くか」
俺は、旅館からちょっと離れた、開けた庭のようなところまで小走りで行く。
すると、ブレスレットが震えた。
『できたよ、刀』
投影されたホログラムからは、俺に有無を言わせないような顔をした束さんが、こちらを見つめている。
その瞬間、俺の隣に、なにかが墜落した。
幸い、爆風とかはなくて、吹き飛ばされはしなかったが、いきなりの地面の振動に、俺は尻餅をついてしまう。
『IS用の刀を、これでもかというくらいの強度にして、人間用のサイズにした。
銘とかは分からないからつけてないよ』
そこに落ちたのは人1人ぐらいの大きさのコンテナで、そのコンテナは、ゆっくりと開いていく。
そこにあったのは、美術館とかでよく見る刀で、素人である俺にはわからないものの、すごいもの、ということだけはしっかりとわかった。
そして、俺はその刀に手を伸ばし、持ち上げようとするが、
「あれ?持ち上がらない?」
『そりゃ、IS用の刀を加工したものだからね。
ただの人間が持てるわけないよ』
「はは…………遠回しに俺は普通の人間じゃない、と」
『今の君はそりゃ、"普通の人間"だけど、今だけは、違うでしょ?」
真剣な眼差しで、こちらを見る束さん。
俺は、その言葉に、少しため息をつきながら、
「ちゃんと約束のこと、覚えておいてくださいよ」
『うん…………。
だから、お願いね』
俺は、真剣な表情で言ってくる束さんに、微笑み、
「大丈夫です」
俺は3度目のセリフを噛み締めるようにいい、
「
これから3分間だけ、俺は最強になる。
やっと戦闘参戦しに行きます。
分割です。