「やっちまった……」
俺は頭を抱える。
「いやまぁ、自分ではいいと思ったけど、これはいいのか本当に……」
葛藤は続く、
「じゃ、がんばりましょっか」
「うぃっす」
「はぁ、おふたりはいいですよね、気楽で」
俺は今日、クラス対抗戦が行われる模擬戦場にいる。
今回も担当は、狭山さんと竹山と一緒で、ジャンケンに敗北したのも、俺だ。
「ま、今回は1年生しかいないから、楽っちゃ楽だろ」
「そんなこと言いますけどねぇ……」
狭山さんから楽観的な声をかけられるが、俺はそれに頷かない。
「ま、つべこべ言わず、がんば」
「竹山さんまでぇ」
竹山さんに至っては、励ますなんてことをせずに、サムズアップだけしてきた。
「ま、やりますけどね、しっかりと」
俺のその言葉で、俺らは仕事に向かう。
「そう、あそこまでは良かったんだよ……」
俺は未だに頭を抱える。
もう頭の中ではここから逃げ出すことを考えている始末だ。
「はぁ、ほんとになんであんなことがおきたんだよぉ……」
「お、始まったか」
俺は模擬戦場のゴミ箱の片付けをしながら、クラス対抗戦の始まりを悟る。
「ちょっと見てみたいな」
男の子の試合だし、余計に見てみたいという気持ちがある。
「ちょっとだけだったらいいかな」
時計を見て、これからの仕事を考えると、やはり今日来ているのが1年生だけなのが響いているのか、前の模擬戦ほど仕事量が多いわけではなかった。
そうと決まると、俺はすぐに行ってみる。
「お、やってるやってる」
俺が見ると、対抗戦は終盤のように感じられた。
あ、男の子が負けそうになってる……。
「あちゃあ、負けちまうのか……」
そして、その止めが決まりそうという瞬間。
重苦しい轟音とともに、煙がフィールドを舞う。
「…………?」
日頃ISのドンパチやっている姿を見ているから、あんまり驚かなかったが、これはなにかのパフォーマンスなのだろうか。
それとも、別の何か……?
なんて真面目なことを考えてみるが、そんなことを考えるよりも、行動する方が先だ。
幸いここには見張りの生徒会がいるし、教員もしっかりいる。
さらには、今の轟音で、模擬戦場の警戒態勢は最大になったようだ。
こうなればいかにISだろうと、集団でなければ容易く破られることは無いだろう。
だからまぁ、何をすればいいのかというと、
『あー、こちら狭山、現在の状況プリーズ』
『えー、こちら竹山。
聞いた情報によると、パフォーマンスなどではなく、侵入者のようです。
現場は教員、生徒会含めパニックになっています』
『『了解』』
用務員には、用務員以上の仕事はない。
しかし、こういう時だけ、俺らは教員と同レベルの権限を持つことが出来るので、俺らはまず生徒の安全を優先させるようになっている。
俺は一番近い出口へ走り、案の定締まっている扉の付近にあるパネルに、自分の持っているカードを使ってアクセスし、扉を開ける。
すると、そのタイミングで生徒が大勢くる。
俺は内心ほっとしつつ、
『西口、開放しました』
『俺は南』
『こっちは東』
『じゃあ俺北一応行ってみるねー』
『あ、じゃあ俺人数確認ー』
狭山さんに行こうとしていた仕事を取られ、一番楽な仕事を竹山さんに取られてしまった。
『あー、じゃあ残った生徒がいないか調べてきます』
はぁ、一番面倒くさい役割だ……。
俺はそう思いながらも、気を抜かないように気を張る。
「よし、よし、よし……」
俺は観客席で、隠れることができそうな場所を調べていく。
そこで俺は見てしまった。
今思えば、その発見が、今の俺の苦悩の元だったのだ。
「あ、れは…………」
模擬戦場を覆うように囲まれたバリケードの、攻撃によって空いた少しの隙間を、
その隙間の先には、満身創痍の、先程まで戦っていた男の子と女の子。
おそらく侵入者であろう、見たこともない無骨なフルフェイスのIS。
そして、
「………………」
何かを叫んでいるであろう篠ノ之さん。
侵入者である黒いISの砲塔が、篠ノ之さんに向いた。
放たれるビーム。
男の子が篠ノ之さんを庇いに行き、被弾してしまう。
落ちる白いIS。
叫んでいるであろう篠ノ之さん。
最悪な状況。
そんな状況を見て俺は、
「おい、何止まってんだよ」
俺は1人でつぶやいた。
「行けるだろ」
拳を振りかぶる。
「助けようぜ」
俺は、ISの攻撃をも防ぐバリケードに向かって、
「
拳を振り抜いた。
分割です