IS学園用務員物語   作:ぬー(旧名:菊の花の様に)

7 / 63
第7話

「やっちまった……」

 

俺は頭を抱える。

 

「いやまぁ、自分ではいいと思ったけど、これはいいのか本当に……」

 

葛藤は続く、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、がんばりましょっか」

 

「うぃっす」

 

「はぁ、おふたりはいいですよね、気楽で」

 

俺は今日、クラス対抗戦が行われる模擬戦場にいる。

今回も担当は、狭山さんと竹山と一緒で、ジャンケンに敗北したのも、俺だ。

 

「ま、今回は1年生しかいないから、楽っちゃ楽だろ」

 

「そんなこと言いますけどねぇ……」

 

狭山さんから楽観的な声をかけられるが、俺はそれに頷かない。

 

「ま、つべこべ言わず、がんば」

 

「竹山さんまでぇ」

 

竹山さんに至っては、励ますなんてことをせずに、サムズアップだけしてきた。

 

「ま、やりますけどね、しっかりと」

 

俺のその言葉で、俺らは仕事に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、あそこまでは良かったんだよ……」

 

俺は未だに頭を抱える。

もう頭の中ではここから逃げ出すことを考えている始末だ。

 

「はぁ、ほんとになんであんなことがおきたんだよぉ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、始まったか」

 

俺は模擬戦場のゴミ箱の片付けをしながら、クラス対抗戦の始まりを悟る。

 

「ちょっと見てみたいな」

 

男の子の試合だし、余計に見てみたいという気持ちがある。

 

「ちょっとだけだったらいいかな」

 

時計を見て、これからの仕事を考えると、やはり今日来ているのが1年生だけなのが響いているのか、前の模擬戦ほど仕事量が多いわけではなかった。

 

そうと決まると、俺はすぐに行ってみる。

 

「お、やってるやってる」

 

俺が見ると、対抗戦は終盤のように感じられた。

あ、男の子が負けそうになってる……。

 

「あちゃあ、負けちまうのか……」

 

そして、その止めが決まりそうという瞬間。

 

 

重苦しい轟音とともに、煙がフィールドを舞う。

 

 

「…………?」

 

日頃ISのドンパチやっている姿を見ているから、あんまり驚かなかったが、これはなにかのパフォーマンスなのだろうか。

それとも、別の何か……?

なんて真面目なことを考えてみるが、そんなことを考えるよりも、行動する方が先だ。

 

幸いここには見張りの生徒会がいるし、教員もしっかりいる。

 

さらには、今の轟音で、模擬戦場の警戒態勢は最大になったようだ。

 

こうなればいかにISだろうと、集団でなければ容易く破られることは無いだろう。

 

だからまぁ、何をすればいいのかというと、

 

『あー、こちら狭山、現在の状況プリーズ』

 

『えー、こちら竹山。

 聞いた情報によると、パフォーマンスなどではなく、侵入者のようです。

 現場は教員、生徒会含めパニックになっています』

 

『『了解』』

 

用務員には、用務員以上の仕事はない。

しかし、こういう時だけ、俺らは教員と同レベルの権限を持つことが出来るので、俺らはまず生徒の安全を優先させるようになっている。

 

俺は一番近い出口へ走り、案の定締まっている扉の付近にあるパネルに、自分の持っているカードを使ってアクセスし、扉を開ける。

 

すると、そのタイミングで生徒が大勢くる。

 

俺は内心ほっとしつつ、

 

『西口、開放しました』

 

『俺は南』

 

『こっちは東』

 

『じゃあ俺北一応行ってみるねー』

 

『あ、じゃあ俺人数確認ー』

 

狭山さんに行こうとしていた仕事を取られ、一番楽な仕事を竹山さんに取られてしまった。

 

『あー、じゃあ残った生徒がいないか調べてきます』

 

はぁ、一番面倒くさい役割だ……。

俺はそう思いながらも、気を抜かないように気を張る。

 

「よし、よし、よし……」

 

俺は観客席で、隠れることができそうな場所を調べていく。

そこで俺は見てしまった。

 

今思えば、その発見が、今の俺の苦悩の元だったのだ。

 

「あ、れは…………」

 

模擬戦場を覆うように囲まれたバリケードの、攻撃によって空いた少しの隙間を、

 

その隙間の先には、満身創痍の、先程まで戦っていた男の子と女の子。

 

おそらく侵入者であろう、見たこともない無骨なフルフェイスのIS。

 

そして、

 

「………………」

 

何かを叫んでいるであろう篠ノ之さん。

 

侵入者である黒いISの砲塔が、篠ノ之さんに向いた。

 

放たれるビーム。

 

男の子が篠ノ之さんを庇いに行き、被弾してしまう。

 

落ちる白いIS。

 

叫んでいるであろう篠ノ之さん。

 

最悪な状況。

 

 

そんな状況を見て俺は、

 

「おい、何止まってんだよ」

 

俺は1人でつぶやいた。

 

「行けるだろ」

 

拳を振りかぶる。

 

「助けようぜ」

 

俺は、ISの攻撃をも防ぐバリケードに向かって、

 

簡易的な英雄(インスタント・ヒーロー)

 

拳を振り抜いた。




分割です
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。