トリック・ア・トリアート…小町のお願い聞いてよお兄ちゃん~小町編
さすがにこのイベントでお兄ちゃんと同じブースの担当は難しいか…
ハロウィンイベント当日の今日は朝から溜め息ばかりついてる
そんな小町を心配してくれてるのはわかるけど大志君が鬱陶しく思えて仕方無い
前はそんな事は無かったのに…小町の誕生日に大志くんを認める発言をするようになってからだ
小町が大志君と距離を取るようになったのは
今までなら、男の子が小町の側に近寄るとスゴい剣幕で怒ってたお兄ちゃんが大志君に限っては解禁してしまったから小町はどう対応したら良いのかわからない
もちろん、大志君が嫌いじゃない
良いお友達だって思っているけど…お友達、なんだよね…小町の中ではさ
大志君が小町に向ける感情はわかるけど、それと同じ感情を小町は大志君に向けることはできない
だって小町が好きなのは……だから少なくとも今は未だ大志君の気持ちには応えられない
こんな中途半端な状態で大志君とは付き合えない
そんな事はお兄ちゃんが好きって言う偽りの無い想いを…自分の気持ちを裏切ることに他ならないのだから絶対にしたくないし大志くんにも失礼な事だから
そんな事くらい言われなくたってわかってるから今は余計に大志君の優しさがウザい
『お願いだから放っておいて』
そう、叫びたくなることが最近は少なくないから気を付けている
そう思っていたら
「今日は親父と母ちゃんも遅いからたまにゃ二人でどっかで食って帰るか?」
後片付けをしている小町にお兄ちゃんがそう言ってくれたのが嬉しくて一気にテンションが上がりましたよ、現金なものでそれだけて心が軽くなりました
お兄ちゃんが連れて行ってくれたお店はハロウィンに相応しいセット料理が用意されていた
かポチゃのスープとカボチャのサラダにカボチャのコロッケとカボチャのグラタンにカボチャプリントまさにカボチャ尽くし
「最近、調子悪そうだな…小町?俺じゃ、頼りないだろうけど話せる事なら一度話してみてくれ」
そう言ってくれたのは嬉しいけどさすがにこれだけは自分自身でケリを着けなきゃダメなことだからね
もう少し自分自身で考えてみるよ、お兄ちゃん」
そう言って”お兄ちゃん”を強調して答えた小町達は血の繋がった兄妹何だからって自分自身に言い聞かせるためになんとか笑ってみた…
けど、上手に笑えてれば良いんだけど自信ないよ…お兄ちゃん
お兄ちゃんを好きになっちゃった小町が悪いのか…それとも、お兄ちゃんと小町が兄妹なのが間違っているのだろうか?
そんなの難しすぎて小町にはわかんないよ…
春になったら東京に出ていくつもりのお兄ちゃん…
そうなったら、今みたいにいつも会えるのが当たり前じゃなくなっちゃうんだよ?
そう、言いたいけどどのみち高校出たらお父さんに家からは追い出されるんだろうからあまり変わらないのかもしれない
だけど…それでも千葉市内…せめて同じ千葉県内ならって思っちゃうのは仕方ないと思う、仕方無いよね?
食事が済んで、レストランからの帰り道…
アタシの指定席であるお兄ちゃんの自転車の荷台に座りながら、お兄ちゃんにしがみ着きながらそんなことを考えていた
年が明けたら自由登校の三年生…お兄ちゃんが登校するのは考えにくいからね
そう思うとお兄ちゃんと一緒に学校に通えるのももう後2ヶ月しかないんだな?
って考えたら泣きたくなってきた…もちろん我慢したけど
春が…春が来るのが恨めしい
「お兄ちゃんクリスマスケーキは何にする?」
私は哀しみを誤魔化す為、関係のない話をしながらお兄ちゃんにしがみ付いてお兄ちゃんの背中の温もりを感じていた…そんな夜だった