年上少女の軌跡より   作:kanaumi

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最近は書きたい意欲が豊富なのであげます。
switchしか現行機種が無いので零と碧が遊べないですが頑張ります。


?冊目 p??? 4月17日 エリオットくん

 マーテル公園を後にした僕達は、カトラムに揺られドライケルス広場を越えて、ガルニエ地区ヘ足を運んだ。此処は最初に行こうと予定していた劇場が有る地区だ。とは言え、劇場で公演は見ずに雰囲気を感じたかっただけだけど。クロスベルのアルカンシェルと比べてみたかったって、言うのもある。さらに、髭の話によれば出店も有るそうだ。昼に近づく空きっ腹に良い刺激をくれるだろう。

「ねえ、髭ー屋台で美味しそうなの何が有るの?」

「あー、行って見ないとわからんな。何があったか…」

「エル、あまりカトラム内で動かないでくれ、揺れているし危ないぞ」

「そうだぞ、エル坊は落ち着きがないからな」

「髭、うるさい」

 背が低いからか、ロイドに肩を掴まれた状態で僕はカトラムに揺られていた。癪な事に背ではロイドに完敗していた。初見さんがいればロイドの方が年上だと思われる事だろう。姉さんから背が伸びる方法を聞いて実践しているのに何故なんだ。そんな悶々と考えている内に目的地に到着すつのだった。

「さっ、ようやっと着いたな、ガルニエ地区だ。劇場は向こうだな、すぐ行くか?」

「そうですね、中を見るわけでは無いですし、先に行ってしまいましょう」

「賛成」

「じゃあ、出発出発だ」

 案内役のアルベルトを先頭にエルとロイドは歩き出した。劇場までのそれ程遠く無い道でも、物珍しい建物にオブジェ、そして、屋台から香る甘い匂いにエルが釣れない訳が無かった。劇場に着く頃にはエルの両手にクレープやら食べ物が握られており、共に歩く二人の視線から顔を反らして頬張っていた。不思議と良く食べたエネルギーはエルの何処に向かうのか、誰も気にしない7不思議が1つ増えたのだった。

 なんやかんやと劇場前にたどり着く。

「着いたな、此処が帝都歌劇場〈オペラハウス〉だ」

「おおー、劇場ってだけあって大きいねえ」

「エル坊は小せいからな、余計にそう思うんじゃないか?」

「失礼な!僕じゃ無くても大きいでしょ!」

「ハッハッハッ、そうかもな。…ロイドは何やってんだ?クリスタルガーデンでもメモを取ってたが」

「いえ、クロスベルの友人に土産話をする約束でして、本当は絵なんかの方が良いのでしょうが、生憎絵心は無くて」

「まあ、口頭でも知らない事は楽しいさ」

 メモを取るロイドを待ちながら、僕は手に持ったクレープを頬張りつつ、隣で物欲しそうに見てくる髭の足を踏んづけてロイドを待っていた。

「…よし、ごめん待たせた」

「なら、次はどうするか、まずは昼食か?」

「モクモク、うん、お腹すいた」

「…エル坊よぉ、お前、今食ってたクレープは何なんだよ?」

「レストランのお冷」

「アルベルトさん、クロスベルではこれが普通でした。エルが来た頃はその、少なかったのですが、いつからかたがが外れて食べる様になったんです。最初は皆喜んだのですが、次第に多くなって…」

「…ハア…昼食にするか」

 本人は特に何も思ってなさそうだが、食べてるクレープは飲み物では無いはずだ。エルの食欲にアルベルトは呆れた様に静かに溜息をこぼすのだった。

「何処で食べるの?」

「そうだな、とりあえずアルト通りの方面に向かってだな」

「エル、その前に口の周りを拭いてくれ」

「ん、良し!行こう!」

 昼食を探しにカトラムではなく徒歩で散策して行く。途中、(主にエルが)ウィンドショッピングを楽しみ。(エルが)屋台で串を買い食べ歩いた。そして、エルの嗅覚が美味しそうな匂いを嗅ぎ、レストランで食事をした。

 

「……アルト通りに着いたぞ、やっとな」

「おお、結構掛かったね」

「…そうだな」

 アルト通りに着いたのは真昼を過ぎた辺だった。寄り道が多く予定よりも掛かってしまった。

「あっ、アルベルトさんやっと来たのね」

「ああ、フィオナちゃんすまんな、遅れてしまった」

「いえ、それは良いんですけど…エルちゃん」

「えっと?」

「…ううん、何でも無いわ。そうね、…初めましてフィオナ・クレイグです。エルちゃん、貴方の事はロイド君やアルベルトさんから聞いてるは」

「は、はじめまして…?エル・エルフィミンで、です」

「…うん、アルベルトさんにロイド君、家でお茶にしませんか?」

「はい、お願いします」

「ああ」

 そう言って、フィオナさんは僕達を家に招いた。

 

「さて、エルちゃんとロイド君はハーブティーは大丈夫かしら?」

「は、はい」

「いただきます」

「アルベルトさんは水でしたね」

「待って、俺もハーブティー下さい」

 フィオナさんはフフッと微笑んでキッチンに向った。その間、僕は準備しているフィオナさんを見つめていた。フィオナさんの反応から昔の僕を知っているのだろう。…思い出せない。やっぱり、霞がかかってる。フィオナさんの名前は引っかかるのに、顔が全然浮かんでこない。

「さあ、いただきましょうか。お菓子もありますから二人共遠慮は要らないわ」

 人数分のカップに色とりどりのカルテットアイスが並べられ、いただく事になった。

「はい、いただきます」

「…おいしい」

「…フフ、そう、それは良かったわ。口に合うか解らなかったから安心したわ」

「あっ、これもおいしい」

「ああ、このアイスもおいしいな」

「遠慮せずにもっと食べて良いのよ」

「はい」

「エルちゃん、ちょっと抱きついても良いかしら?」

「はい、え?」

 急に、視界が暗くなった。柔らかい感触が顔を覆う。懐かしく感じる匂いが鼻孔を刺激してきて少しこそばゆい。というよりも、思ったよりも力強くて苦しくなってきた。マズい、苦しい。フィオナさん、離して、もしくは緩めて、お願いします!ロイド、髭、助けて!

「あっ、エリオット!帰って来たのね、エルちゃんが来てくれたわよ!」

 え、なんて?ガハッ!!腰に凄い衝撃がァ!!待って、無理。無理だってこの状況はマズいって!!腰も力強いな!?どういう状況!?ねぇ、どういう状況なの!?誰か説明してよ!?

「フィオナちゃん、ストップだ!エリオットも一旦離すんだ!」

「二人共エルが息出来て無いから!?」

「あっ」

「――」

 二人の声で緩んだけど、遅かったよ。

 

「――ん、ん?」

「あっ、気がついた!姉さんーエル姉が起きたよ!」

 気がつくと僕は横になっていた。感触からベットに寝かせられたのだろう。頭や腰がまだ少し痛い。どれだけ強く抱きついたんだ。フィオナさんの何を踏んだのかまるで予想出来ないけど、過去の僕を知っているみたいだし同じ行動でもしたのかな。本当に記憶が思い出さないと不便である。フィオナさんとは初めてじゃないんだろうし、彼女に悲しい顔をさせなかったと思うのになぁ。

「起きたのね、ごめんなさいエルちゃん。貴方の記憶が無い事は知っているのだけど、エルちゃんが好きだったハーブティーを貴方も美味しそうに飲むのですもの、ちょっと思い出してしまったの。だから、ごめんなさい」

「…いえ、此方も貴方の事を思い出せないのが悪いんですから」

「そんな事は無いわ。たとえ記憶は無くても、貴方はエルちゃんなんだって解ったから。私はそれで良いのよ」

「…ありがとうございます」

「さ、エリオットも何か言いたいのよね?私は、アルベルトさん達の所に行くから」

「…うん」

 フィオナさんは再度僕を抱きしめて部屋を後にした。今度は、とても優しい抱きしめだった。

「エル姉、僕の事も思い出せないの?」

「……ごめんなさい」

「うんん、姉さんから聞いてたから大丈夫。…エル姉、抱きついて良い?」

「良いよ、貴方の気が済むまでそうして良いよ」

「ありがとう……」

 僕の腰に手を回して抱きつくエリオットくん。彼の事も思い出せていない。でも、微かに残っているのか、自然と頭を撫でるように手を置いた。

「エル姉、エル姉。また、会えて良かった…」

 彼から溢れた物を僕は体で受け止める。そして、震えている体を僕からも抱きしめる。不思議とそれに違和感はなく、エリオットくんのが治まるまでそのままだった。

 

「……ごめんなさい、エル姉の服汚しちゃった」

「これくらいなら大丈夫だよ、それより用事は済んだの?」

「…これをエル姉に返そうと思って」

 顔を拭ったエリオットくんは懐から装飾された鞘に入った小型ナイフを取り出した。

「…それ、は?」

「エル姉が誕生日に貰った宝物で、大切にしていた小型ナイフ。エル姉が旅行に行く前に無くしたら困るから僕に預けるって、言って渡して来たんだ」

 そう言ってエリオットくんは僕にナイフを渡す。受け取った僕は鞘からナイフを抜いた。刀身に写る景色に何故か私はいなかった。

「エル姉が帰って来たら返そうと思ってたんだ」

「……エリオット、くん。ごめん、今の私はこれを受け取れない」

「うん、…え?な、何で?エル姉が大切にしてた物だよ!?」

「うん、だからかな、僕にはこれを大切にしていた記憶が無いんだ、僕にはこれを持つ資格が無いよ」

「そんな」

「ごめん、これはエリオットくんがまだ持っていて」

「エル姉…」

「…私に出来るおまじないを鞘に込めるから、エリオットくんを守ってくれるお守りとして、ナイフを持っていて。いつか、私の記憶が戻ったら改めてナイフを受け取るから」

「……」

「ごめんね、私はまだ君のお姉さんには戻れないや」

 

 

 僕の回復を待っていたロイドとアルベルトが部屋に入って来るまで僕とエリオットくんとの間で会話をする事は無かった。ロイド達も気づいているのか何も聞いて来なかった。そして、僕達の帝国旅行は終わった。

 

「エリオット、良かったの?エルちゃんともっと話さなくて」

「うん、エル姉も話したく無かったみたいだったから。それに、今度は僕が向こうに行けば会えるしね」

「あら、泣いていたのに何かあったの?」

「うんん、ただ、守れる位強くなりたいなって思っただけ」

「…そっか」

 

 

 

 七耀歴1198年 4月17日 (筆者∶アルベルト)

 

 今日は此処数年で一番の出来事があった。なんせエル坊の元気そうな姿が見れたんだから。4年前のあの事故が発生した時、俺は何も出来なかった。事故を知ったのは事故から3日程後の事だった。依頼をこなした帰りにギルドの受付で、オーラフ・クレイグが情報を募っていた所に俺が帰って来て聞いたのだ。エルフィミン一家が列車での事故に巻き込まれ、エル坊が行方不明となっていた事を。俺は信じられずにクレイグさんに詰め寄ってしまった。クレイグさんには悪い事をしたよ、エリオットの関係で知らない中じゃ無いが動転しすぎた。

 クレイグさんは事故発生後に現場で調査を行ったそうだ。その時に乗客の確認も行われ、確認後に乗客はクレイグさんの第4機甲師団に連れられガレリア要塞で調書含め取調を行われていたそうだ。そこでエル坊含めて多くの乗客が行方不明となっていたそうだ。行方不明の人数が多い為に遊撃手協会の力を借りたいのだと言う事だった。軍と仲の悪い遊撃手協会だが、猫の手もとい遊撃手の手も借りたかったのだろう。まあ、クレイグさんはその辺は気にしない人だが。

 俺は直にその依頼を受領して調査に乗り出した。エル坊が乗っていた列車はカルバード方面に向う列車で、エルフィミン一家は旅行としてカルバードに向う予定だった。列車事故はカルバードとの境界での事故で、両国から調査隊が軍及び遊撃手で編成され、俺はクレイグさんの第四機甲師団との部隊だった。

 まあ、結果だけ言えば成果は得られなかった。事故が事件かも知れないというふわっとした事が解ったくらいか。その後は、軍内部での協議によって軍は調査から撤退していった。クレイグさんからもこの事を謝罪された。遊撃手協会でも調査の撤退もしくは規模の縮小が協議され、撤退する事になった。遊撃手としては撤退したが俺は諦めきれず独自に調査していた。まあ、それが実を結ぶのは大分後だったがな。

 遊撃手として依頼を受けつつ調査を続けて暫くたった頃だ。俺は急にギルドから連絡を受けて、慌ててギルドに駆け込んだ。内容はクロスベルでエル坊に似た子が発見されただった。大使館にクロスベルの警察官から本人確認の連絡が入ったのだ。大使館には俺がエル坊の知人であり、行方を追っている事を伝えていた為に今回の件で話が回って来たのだった。大使館に届けられた似顔絵と特徴を聞いた俺は、すぐにエル坊だと判断した。髪色と瞳の色が変わっているがいつも見ていた顔だった。確信した俺はその警察官に連絡を取り、ガイと名乗ったその男と帝都で落ち合った。ガイからエル坊の様子を聞いた俺は、茫然として言葉が出なかった。エル坊の現状、記憶喪失の事をだ。想定はしたくなかったがしていた。事故から時間が経ちすぎていた。だが、だが、無理だった。

 そこからガイとの話は俺が持ち直してからとなったが、エル坊の両親の話となった。エル坊の両親、ターニアさんとロンさんは未だに見つかっていない。俺はこの時、半ば諦めかけていた。あれだけ探しても足跡一つ見つけられ無かったのだから。だが、ガイは諦め無かった。俺の弱音を聞いてもガイはまだ手があるはずだと、諦めるのはまだ早いと俺を引張って行く。そして、俺達は遂にたどり着いた。…たどり着いた。

 二人の葬式には参加したかったが、止まっていた遊撃手としての依頼に、何よりもしエル坊が俺を見て知らない様な顔をしたら俺が耐えられない。あの元気丸が萎れている姿を見るのが辛い。だから、俺はガイにロンさんが大事にしていたネックレスを託した。これは、ロンさんが旅行前に何故か俺に預けた物だ。ロンさんがいつも身に付けていたお守りの様な物だと言う。もしかしたらロンさんは虫の知らせでもあったのかも知れない。なら自身で付けていたら事故には合わなかったとこれを見て思っていたが、エル坊の為に俺に預けたと思って耐える。ガイにはロンさんが残したプレゼントと言う事で渡して貰う様に頼んだ。今日、エル坊を見て胸元のネックレスを見て少し溜飲が下がった気がした。

 それから3年が経った。ガイが律儀にエル坊の様子を報告しに来るからエル坊がだんだん元気になって行った事は知っている。直接会えてはいないが、ノイエス家の皆さんには感謝していた。そんな時に、ガイからエル坊達の旅行の案内を頼まれた。3年前であれば断っていたかも知れない。だが、エル坊に会いたかったし、いい加減エル坊と向き合わないといけないと思っていた。

 引き受けてから当日までどんな顔で会うか悩んでいた。でも、エル坊に会うと強がってしまった。だが、少しの後悔もエル坊の髭で吹っ飛んだ。エル坊が俺を髭と言った、記憶が戻った訳じゃ無い様だが、嬉しかった。まあ、その後ああなるとは思わなかったが。

 エル坊は変わった所は目立つが、変わらない所も沢山あった。記憶が戻らないのは辛いが、エル坊はエル坊なのだと理解できた。エリオットはまだ割り切れないだろうが、時間が解決してくれる、俺もようやく前が見える。

 

「フフ、俺らしく無い事を書いた物だ。…いつか、いや、今度はガイ達皆で集まりたい物だ」

 

 

 

追加クラフト エリオット

条件 エリオットがエルのナイフを預かる

 《ラメンターアミュレット》消費CP30

 3ターンの間、状態異常防止

 3ターンの間、STR&DEF&SPD50%+

 3ターンの間、武器を持ち替える

 エルのナイフ STR+200 DEF+50 RNG-2

 エルから再度預かった小型ナイフと鞘、あの頃のエルの様に切りかかる。





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