この作品の細かい日付はだいたいで決めており閃の軌跡以降位日付出てくれればそれに合わせるのですが、わからなかった所は捏造です。
七耀歴1200年 2月5日
日記の日付を確認して気がついたけれど、あの帝国旅行からもうすぐ2年が経とうとしている。旅行の原因となった例の教団事件の影響も落ち着き、世間も病院も普段通りの生活に戻って行った。あの時に運ばれた患者達も個人差はあれど回復傾向にあり、退院や通院に切り替えている患者も多い。それで僕やロイドが手伝う事も無くなっていて、それぞれの日常を過ごしている。ロイドも僕以外の友達とも遊ぶし、僕もサンサンなんかと引き続き遊んでいた。あとは、悩んでいた進路の事だけども、やっぱり聖ウルスラ医科大学病院に行く事に決めた。まあ、その為に勉強しなければならないので、姉さんに教わりながらもくもくと励んだ。そのお陰で無事に内定を貰っている。春からは看護師見習いである。
僕以外で言うと、やはりアリオスさんの事だろうか。昨年、突発的に起こった事故にアリオスさんの妻サヤ・マクレインさんと娘のシズクちゃんが巻き込まれた。その結果、サヤさんは亡くなり、シズクちゃんの目には大きな障害が残る事になった。僕も二人とは関わりがあっただけに酷く悲しんだ。葬式にも参加したけど、あの時のアリオスさんの顔はとても怖かった。シズクちゃんは聖ウルスラ医科大学病院に入院し、完治に向けて奮闘している。最初は酷い昏睡状態で御見舞も出来なかったが、今では多少の会話が出来る程に回復している。前に御見舞に行った時は、見えない目の代わりに耳で人を察知する技術を見に付ける訓練を行っていた。目の状態は良くなくて、今の技術では完治は難しいみたい。様々な方法を試しては失敗しているが、本人達が諦めていないのがせめてのに僕は感じている。しかし、事故の後にアリオスさんはクロスベル警察を辞めてしまった。ガイさんも止めはしなかったそうだ。理由は様々なのだと思うけど、ただ何か大切なものが壊れる予感がした。
「…ふぅ、ひとまずこんな所かな。…思い返すと色々、あったなぁ。それでも、アリオスさんの事はやっぱり大きいな。サヤさんにはお菓子や料理も教わったし、シズクちゃんとも良く遊んでたから特にね。…」
机に置かれた新聞を手に取る。そこには、『クロスベルの新風!遊撃手アリオス・マクレイン!』の見出しが書かれている。
「ガイさんが気にしてないと言っているからと言って、僕が気にしない訳にもいかないよね」
月に何十もの依頼をこなすその姿は、かつての姿とはかけ離れていた。ロイドや僕が憧れたクロスベル警察の若手コンビの片翼のその姿に胸を痛める思いだった。あれから二人が仲良く話合う姿は見られない。
「どうにかならないかなぁ」
部屋の天井に吐き出すが虚しく消えるだけだった。
「…」
「エルー、ご飯の時間だぞぉ」
「…あ、はーい!」
モヤモヤ気分のまま時間が過ぎ、ご飯の時間になり今日もお泊りのロイドに呼ばれて僕は部屋出た。
夕食後、僕は暇そうなロイドを引き連れ部屋に戻る。
「さて、ロイドは姉さん達の結婚式の準備はしてる?」
「…呼んだ理由はそれか。来年の予定だろ?早くないか」
「やっとなんだよ?早いに越した事ないって!」
「…まあ、そうだけど」
「でしょぉ、だからそれについて話そうと思ったんだ」
一ヶ月程前のガイさんとロイドを招いての夕食時に姉さん達からやっと結婚する事が伝えられた。昔からの二人を知っている方からすればまだだったとか言われそうなのだが、一年後に行うと二人から言われて逸る気持ちが抑えられないのだ。…まあ、ガイさんに淡い気持ち?があったのは否定しないけどさぁ、それよりも祝福の気持ちが強いのだ。少し大人になったから思うけど、ガイさんからは妹みたいな感じだったのだろうしね。だから、二人の結婚式が良いものとなる為に僕は準備をしたいのだ!
「…準備と言っても俺達が出来る事ってあんまりないよな」
「えっと、会場?」
「それは兄貴達とプロの人がするな」
「料理!」
「それも」
「……」
「…そうだな、身支度とか位かな」
「…そんなぁ、せっかくの結婚式なのに出来る事無いの?」
「沢山祝福する事が一番かな」
「そっかー」
逸る気持ちを抑えられない僕はベッドに身を投げる。それを呆れるようにロイドはため息をこぼす。
「…話は変わるけどエルは最近のアリオスさんに会ったか?」
「うん?アリオスさん?…会ってない。ほら、そこの新聞位だよ」
食事前に見ていた新聞を指差す。
「ああ、この前の特集か」
「何か気になるの?」
「兄貴が心配してたんだ」
「まあ、遊撃手になってから忙しそうだもんね」
「ああ、警察の時はなんだかんだ楽しそうだったのに今は追い詰められてるようだって」
「…サヤさんが亡くなって落ち着ける余裕が無いのかもね」
「そうかもしれないな」
「シズクちゃんには時間作って会いに行ってるみたいだよ。御見舞の時に嬉しそうに話してくれたから」
「…そっか」
その後は少し話して解散した。アリオスさんには僕もお世話になった事がある。これ以上何も無ければ良いけれど、感じた嫌な予感は頭の片隅に消えてくれなかった。