年上少女の軌跡より   作:kanaumi

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 ゆっくり書いていた物が出来たため上げました。


3冊目 p254 9月10日  食事会.1

 

 

 

 お父さんとお母さんの葬式をして、僕がノイエス家の一員となってもう5ヶ月位になる。だいぶノイエス家での生活にも慣れて来た。レイテさんやマイルズさんとも良く喋れるようになった。最初の頃は言葉が詰まったり姉さんに隠れたりして、居候してた時はしゃべりもしなかった。けど家族になって生活してくと普通に喋れるくらいになった。 

 

 姉さんが友達の家に遊びに行った日の事だ。そのときは姉さんが居なくてじっと動かなかったけど、マイルズさんが話しかけてくれた。内容は、僕の名前についてだった。僕は最初、ノイエス家の一員になるのだから名前もエル・エルフィミンからエル・ノイエスになるのかと思っていた。けど、マイルズさんからそのままでいいと言ってくれたので僕の名前はエル・エルフィミンのままだ。でも、家族になったのに一人だけ違うという所にノイエス家と自分に距離を感じた。でも、レイテさんは何か感じたのか変わりに自分達をお母さんとお父さんって呼んで欲しいと言った。変わりになるならと了承して、試しに呼んでみた。「お母さん」っと、すると自分の奥底から何か吹き出すのを感じた。一瞬何か解らなかった、けど、お母さんに抱きしめられると自分に何が起こったのかは分かった。けれども、解らなかった。何故?何故?と考えたが解らなかった。考えて、考えて、考えたが解らなかった。寂しかったのだろうか?それも有ったけど違った。今、思うと嬉しかったのだと思う、姉さんやお母さん、お父さんと一緒に暮らしていたけどそれは家族ではなくて預かって貰ってる人達という関係だったから、一人だと思ったのだと思う。それに、あの時は名前以外殆ど昔の事覚えていなかったから余計に一人だと思ったのだと思う。だから、家族が母親が出来たんだと嬉しくって安心したんだと思う。それから、10分位泣いていた。その間ずっとお母さんは抱きしめていてくれた。

 僕も落ち着いた位にお父さんが僕の今後について話し出した。

 

「エル、落ち着いたかい?」

 お父さんは優しく僕に聞いた。

「…うん、落ち着いた。」

「良かった、急に泣き出すから心配したよ。」

「ごめんなさい…」

「別に怒ってないよ、でも、辛いのに僕達の前で我慢しなくても良いんだよ?まあ、辛かったらセシルに言っても良いしね。」

 そう言って頭を撫でてくれた。とても丁寧に優しく撫でてくれた。犬だったら尻尾を振ってたと思う位気持ち良かった。

「さてと、エルも落ち着いたしお昼ご飯でも食べようか。」 

「そうですね、エルちゃんは、何が食べたいですか?」

「えーと…ビーフシチュー…かな。」

「ビーフシチューねぇ……。」

 お母さんは、少し悩んで頷いた。

「では、あなたタリーズ商店に行って肉と野菜を買ってきてくださる?」

「わかった、すぐに買ってくるよ。」

 そう言うと、お父さんはカバンを持って駆け足で出て行った。

「エルちゃん、あなたには少し遠いけどお使いを頼みたいの、良い?」

「お使い?何をすれば良いの?」

「エルちゃんにはミルクとコーヒーの豆を買って来て欲しいの。」

「どこに?」

「中央広場の百貨店に行って買って欲しいの。場所、わかる?」

 中央広場…百貨店…うん、場所はわかる。

「わかるよ。大丈夫、行ってくるね。」

 返事をするとお母さんは何かを思い出したのかバタバタとキッチンの方へ向かった。

「エルちゃん買ったらこの鞄を入れてね、急がなくて良いからね。」

「うん、行ってきます。」

 お母さんが用意してくれたカバンにお金と地図を入れて家を出た。

 

 

 

 

「少し心配だけど大丈夫よね。さあ、こっちも準備しなくちゃ!」

 料理の準備をしようとキッチンに向かおうと歩き出すと、ピンポーンと呼び鈴がなった。

「すみませーん。」

「あら、誰かしら?はーい、今行きまーす。」

 ドアを開けるとそこには制服を身につけたガイがいた。

「…あら、ガイ君じゃないお仕事終わったの?」

「いえ、これからです。」

「…そう、セシルに用事?」

「あ、えっとセシルではなくて、今日仕事で夕御飯に間に合わなそうなのでロイドをお願いしたいんです。」

「…ロイド君を?…あらそう、わかったわ。」

「では、よろしくお願いします。」

「…お仕事頑張ってね。」

「はい」

 ガイが走って階段を昇っていくのを見届けて、キッチンに向かった。

 

 

 

 

 僕はアパルトメント《ベルハイム》を出て真っ直ぐ歩いた。姉さんと一緒の時は通りのカフェに寄ったけど今は関係無いので真っ直ぐ進む。お母さんは急がなくても良いと言っていたけど百貨店までは歩いて十分位歩く。

「百貨店、相変わらず遠いなぁ。」

 しかし、十分というのは大人の歩幅での話で子供ではもう少し時間がかかり遠いと感じる位ある。

「そういえば……もう少ししたら僕の誕生日何だっけ?ガイさんが見してくれた住民票にそう書いてあったし。」

 誕生日と聞いてもパッとしないけどお母さん達がお祝いしてくれると言っていたので凄く楽しみだ。…そういえば、記憶を失う前はどうだったのだろう?一般的に誕生日ってパーティーしてプレゼント貰ってとても楽しい日だって聞いたけどどんなパーティーしてたのかな?プレゼントって何貰ったのかな?ちょっと気になるなぁ。っと百貨店までの道が思っていたより長いので関係ないことを考えながら歩いていた。

「あっ!」

 それから、少し歩いて中央広場が見えて来たところで見覚えのある人影を見つけた。

「ん?」

 その人は背が高く、青に近い黒っぽい色をした髪をしていた。

「えっと…あの、葬式の時にガイさんの隣にいた人ですよね?」

「……ああ、君か。元気そうだな。」

「はい!……えーと……お名前……そういえばあの時お名前聞いてませんでした。」

「ん?そうだったか。」

 うん、確かあの時泣いてはなかったけどあんまり周りの声が聞こえなかったし、ガイさんと話すとき近くにいなかったはずだし。でも、式の時は何でか周りを見渡してた時にガイさんの隣に見えたから何でか覚えてた。

「ふむ、では自己紹介をしよう。アリオス・マクレインだ」

「アリオス…さんですね。えっと、エル・エルフィミンです。よろしくお願いします。」

「…ああ、よろしく頼む。」

「アリオスさんは何をしていたんですか?」

 訪ねるとアリオスさんは少し考える素振りをした。

「……ふむ、事件の捜査…だな。」

 アリオスさんははっきりとしない言い方だった。何か言いにくい事があったのかな。

「まあ、人を待っている。…君は買い物かな、私事は良いから君の用事を済ませると良い。」

「あ、はい、そうします。では、失礼します。」

「ああ」

 アリオスさんに別れを告げて百貨店に向けて歩き出した。

 

 

 アリオスは彼女を見送り、ノイエス家に向かったガイを待っていた。

「おっ、アリオス待ってたのか?」

 その後、しばらく待つと待ち人が現れた。

「ああ、用事は済んだのか?」

「ああ、ばっちしだ。」

「ならば、行くぞ場所はここから遠いからな。」

 これから行くマインツには、通常時はバスで行くが今回は依頼の関係から徒歩で行くことになっていた。

「ああ」

 今は、11時か、マインツには3時位につくだろう。着いたら昼食を取れるように行動しよう。

 

 

 

 アリオスさんと別れてしばらく歩き中央広場の百貨店《タイムズ》にたどり着いた。

「やっと着いた。隣の区なのに遠すぎる。」

 家を出てから30分途中アリオスさんと話してたけど10分位だったから20分位かぁ。遠いなぁ。

「とりあえず、ミルクとコーヒー豆だね。」

 メモを見て確認して百貨店に入った。

 

 

「いらっしゃいませ。百貨店《タイムズ》においでくださりありがとうございます。百貨店《タイムズ》には様々な品物を取り揃えてございます。」

 百貨店に入ると黒い服を着た男性に声をかけられた。

「えっと、・・・・」

 急な事でどうしたら良いのかわからず辺りを見渡してると男性は再度声をかけてきた。

「・・・・お一人様ですか?」

「えっ・・・・はい。」

 男性は少し考える仕草をした。

 少しの間考え、男性は此方の目線に合わせて質問した。

「……何をお探しですか?」

「…ミルクとコーヒー豆を」

「ミルクとコーヒー豆ですね、それでしたら彼方です。…ご案内いたしましょうか。」

 男性は右の方向を見て、案内するするかと聞いてきた。

 百貨店は広く自分だけでは迷子になると思って、話に乗ることにした。

「えっと、お願いします。」

「はい、承りました、こちらです。」

 男性は頷き、歩き始めた。

 

 

「此方が、お客様のご希望の品がある食品売り場《リジョンフード》でございます。」

 食品売り場は入り口入って右の所にあった。

「ありがとうございます、助かりました。」

「いえいえ、では。」

「はい。」

 男性はお辞儀をして先ほどいた所に戻って行った。

「さてとミルクとコーヒー豆!」

 

「お買い上げ誠にありがとうございました。」

 無事目的の物を買えた。けれども、百貨店が思いのほか遠かったため少し疲れてきた。

「ミルクが重い…」

 遠い事もあったがさらに買ったミルクが予想より重かったのだ。帰りも来た道を通るので20分かかると考えると歩く気もなくなるものだ。めんどくさいなんて考えていた。

「よいしょ、よいしょ」

 買った物を入れてるカバンを両手に持って一歩一歩歩いていた。来るときの半分以下のスピードで。

 

 

「ただいま、…ハァ…戻り、ました。」

 汗で前が見難くなってはいるが無事帰ってきた。

「ハア、ハア、ハァ」

 立つ力もないのか入口で膝をかがめて手をついてゼェゼェと呼吸をしている。

 呼吸を整えてると奥からお母さんがやってきた。

「エルちゃん、おかえり……」

 お母さんは僕を見て、驚いたようだ。疲れて見れてないけど。

「エルちゃん、まずはお風呂よ!上がった頃にはご飯は出来てるから。」

 僕はお母さんに抱えられお風呂に連れていかれた。

 

 

「ハァー♪気持ちいい。」

 汗を流し、湯に浸かって、体を伸ばした。バキバキなんて言わないけれどとても気持ち良い。ポカポカだ。

「気持ちいいー♪」

 お風呂に入ると嫌でもテンションが可笑しくなる。それほど気持ちの良い風呂でした。

 

 

「♪」

「あら、気持ち良かった?」

「うん!」

「それは良かったは、さあ、エルちゃんも上がった事ですし昼食にしましょう。エルちゃん、お父さんを読んできてくれる?」

「わかった。」

 お父さんの部屋はリビングの隣の部屋で、中で本の整理なんかを休みの日にしています。

「お父さん、昼食出来たって。」

 呼びかけるとゴソゴソと音をたててお父さんが出てきた。

「ああ、エルも帰ってきたか、おかえりなさい。」

「ただいま、お父さん。じゃあ、行こう。」

「うん、お腹すいたしね。」

 リビングに向かうと美味しそうな匂いが漂ってきた。

 

 




 読んでいただきありがとうございました。
 次も一応書くので良かったら読んでみてください。
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