秋も終わり、14歳になった僕は寒さに震えていた。
「寒い寒い寒い寒い」
「エルちゃん少し待っててね・・・・うん、できた。はい、ミルクポタージュよ。」
温かい、12月に入って一層寒くなった気がする。雪もだいぶ積もって来て、交通にも影響を出て来るかもしれない。ますます暖房から離れられないかも知れないな。寒い寒い。
「エルちゃん、そんなに近くだとやけどするわよ。」
「離れたくない。」
「でも、やけどしたら大変よ?」
うっ、・・・・少し離れよう。暖房から少し離れ姉さんの隣に腰掛けた。寒さが離れた分増したけどやけどは怖いからね。
「外に出たくないなー。」
「そうねぇ、もう少し寒くなければ良いんだけどね。」
外は相変わらず雪が降っていた。
ゴロゴロとゴロゴロと身体を転がしていると頭の上から声が聞こえた。
「なにやってるだ?」
声が聞こえたが良いやと無視した。
「おい、無視するなよ。起きろって。」
また聞こえたが良いやと思ってたら布団から引きずり出された。ひどい。寝転がりながら声の方に顔を向けた。ロイドの困ったような怒こったような顔があった。
「エル、昼寝も良いけど手伝ってくれないか?」
「何に?」
「昨日、セシル姉が言ってただろ?明後日に聖ウルスラ医科大学病院でクリスマスパーティーを行うから手伝ってって。」
ああっとエルは思い出した。昨日もロイドとガイが家に招かれて食事会を開かれていた。そこで、セシルからクリスマスパーティーが有るからその準備を手伝ってくれないかと提案があった。ガイとロイドは直ぐに了承したが、エルは面倒くさがって返事はしていなかった。だが、ロイドの中では了承されていたようだった。
「時間?」
「ああ、もういくぞ?」
「わかったよ。」
ささっと、支度をしてロイドと家を出た。今は16時だから16時半には着くだろう。パーティーの準備は17時から行う。昼間は看護士が集められないので人が少なくなる17時から準備が始まると、ロイドが教えてくれた。
バスに揺られて30分位、聖ウルスラ医科大学病院に到着した。定期で支払いバスを降りた。病院の方を見るとオレンジ色の空が見えた。もうすぐ時間的に日は沈むだろう。
「どこで待てば良いの?」
「受付にセシル姉の手伝いに来たって伝えれば良いらしい。」
「そうなんだ、じゃあ行こうか。」
病院入り口受付に行きセシルの名前を出すと、二階に上がるように伝えられた。
二階の受付に上がると姉さんが受付にいた。どうやら受付してくれた人が姉さんに連絡してくれたようだ。
「姉さん、開始まで少し時間があるけど、時間まで何してたら良いの?」
「そうね、なら二人ともこっちに来てくれる?」
そう言うと姉さんは受付の奥に入って行った。僕達はそれについて行った。ついて行った先、そこは看護士の待機場所だった。
「二人には時間まで看護士見習いになって貰います!」
「「へっ?」」
「簡単な事だから大丈夫よ。」
「いや、だから-ー」
「エルちゃん前から興味あったでしょう?」
「そうだけど、違うよ。」
「?ならこっち来てくれる?着替えましょう。」
「「姉さん(セシル姉)~!」」
僕とロイドは叫んだ。この時の僕とロイドの気持ちは一緒だったと思う。しかし、姉さんは制服を取りに行き部屋におらず僕らの叫びは届かなかった・・・・。
「うん、似合ってるわよ。二人とも。」
「うん・・・・ありがとう。」
「ハハハ・・・・疲れた。」
姉さんが用意した制服が小さかったり、女性用2着だったりといろいろあり疲れていた。
「それじゃあ、行きましょう。」
「うん。」
「はい。」
姉さんについて部屋を出た。
姉さんは二階の突き当たりの病室の前に止まりドアをノックした。
「こんにちは、ノエルちゃん入るわね?」
「はーい。」
部屋の中から元気そうな声が聞こえた。確認し、姉さんが入って行ったので僕達もついて行った。
「ノエルちゃん、元気かしら?」
「はい、元気です!」
元気良く敬礼のポーズで返事した。
「そう、ノエルちゃん良かったら17時から明日のパーティーの準備が始まるけど参加する?」
「あっ、行きたいです!」
「なら、17時に向かいに来るわね。」
「はい、お願いします!」
「じゃあ、また後でね。」
っと、姉さんが部屋を出たので、僕達は会釈をして続けて部屋を出た。
部屋を出て少し歩くと姉さんは話出した。
「今の子はね、ノエルちゃんって言うのよ。少し前に高い所から落ちて両脚を骨折して、今入院してるの。今は、元気だけど・・・・夜には部屋で泣いてるのよ。」
「何でなの?」
「お父さんの様になりたいと、一人で特訓していたらしいの。ノエルちゃんのお父さんは、警備隊の人でお父さんに憧れて訓練をしていたそうなの。でも、三年前に亡くなったの。事故死でね。それから、ノエルちゃんはお父さんの代わりに家族を守ろうと特訓に励んでいたのだけど、一人だったから危機管理が出来なかったのだと思うわ。」
「そうなのか……。」
「クリスマスパーティーは、こういう子に元気をプレゼントするのも目的としているのよ。」
「なら、ちゃんと準備して楽しいものにしないとね。」
「ああ、もちろん。」
その後も患者の部屋を訪問した。元気に参加を希望する人や体調が優れないからと断る人など様々だったが沢山の人とお話した。最初は姉さんだけが話をしていたが、僕やロイドも会話を行ったりした。世間話だったり、姉さんに習って軽い健康診断をしたりした。
「そろそろ時間ね会場に行きましょうか。」
姉さんの担当する病室を回り終えたら備蓄倉庫にて備品を整理していた。姉さんが言うまで気がつかなかったが時計の針は16時58分を指していた。
「姉さん、場所は?」
「病院の敷地内にある、オーベルジュ《レクチェ》よ。」
「隣の棟ね。」
「ええ、パーティーの為に貸切にしてもらってるのよ。・・・・さあ、ノエルちゃんを迎えに行きましょう。」
備品の整理に区切りをつけてノエルちゃんの病室に向かった。
「ノエルちゃん、迎えに来たわよ。」
「はい、準備して待ってました。」
「エルちゃん、あそこの車椅子を持って来てくれる?」
「あれね、わかったよ。」
車椅子を転がしノエルちゃんのベッドの横につけた。
「ロイド手伝ってくれる?」
「ああ、わかった。」
姉さんが足の方を持ち、ロイドが肩の方を持って車椅子に乗せた。
「ありがとう。」
「どういたしまして、行こう。エル、セシル姉」
「ええ。」
ロイドが車椅子を押して会場に向かった。
《レクチュ》に着くと、中から話声や物を動かす音が聞こえた。
「もう、集まってる人がいるんだね。」
「この準備の時に患者さんを呼ぶのは手伝って貰うのとコミュニケーションの場にしてほしいからと言うのも有るのよ。」
「そういえばセシルさん、明日妹も呼んで良いですか?」
「ノエルちゃんの妹ね、大丈夫よ。」
ノエルちゃんは嬉しそうに顔を緩めた。建物の中には看護士の他にスリングを吊している人や松葉杖をついている人がちらほらと見えた。
パーティの準備が始まって、集まった皆で作業を進めている。車椅子のノエルちゃんは基本的に折り紙で輪繋ぎを作って貰っている。ロイドと途中で合流したガイさんはツリーの設置を手伝い、姉さんは全体の指揮を取っていた。僕は食材を買いに百貨店に行っていた。クリスマスパーティーの料理は上手いからと言う理由で、僕がメインで行う事になった。だから、食材には自分でしっかり選んできた。買った物を冷蔵庫に閉まっていると頭上から声が聞こえた。
「随分と沢山買って来たなエル。」
「ん?・・・ガイさんですか。はい、食べる人が沢山いますから。」
「おお、確かにそうだな、明日はアリオスと家族も来るみたいだしな。」
「そうだったんですか。なら、アリオスさんかご家族の好物って知ってますか?」
「ん?何でだ?」
「ガイさんがいつもお世話になってるからです。」
「まあ、世話にはなってるが別にエルがしなくても良いぞ?」
「まあまあ、良いじゃないですか。」
「うーん?」
ガイさんは顎に手を当て、うーんと悩み出した。僕はその悩む用な仕草しているガイさんを手を拭きながらみていた。
「そういやぁ聞いたことなかったな。」
「わからないですか。」
「ああ、ごめんな。」
「いえ、来ると聞いて思っただけですから。」
「まあ、エルの料理は美味しいからどれも喜ぶさ。」
「そうですか?・・・・ありがとうございます。」
「ああ、そんじゃあツリーとかの仕事に戻るな。」
「はい、頑張って下さい。」
ガイさんは片手を挙げて調理場を出て行った。
「よーし、今日作れる物は作って冷凍しておきましょう。」
「それじゃあ、今日の準備はこれまでにしましょう。皆さん、お疲れ様でした。」
姉さんがそう締めくくり、今日の準備が終わった。今は午後の10時でノエルちゃんや患者の皆さんは9時を過ぎた頃に病室に返された。さすがに患者を夜遅くまで手伝わす事は出来ないからだ。
「ガイさん、エルちゃん、ロイド帰りましょう。」
「ああ。」
「うん。」
「うん。」
その後、バスの最終便でクロスベルに戻った。
七耀暦1197年 12月23日
今年ももう、両手で数えれる位しかありませんが1197年を満喫したい今日この頃、明日はクリスマスイヴという事で聖ウルスラ医科大学病院でクリスマスパーティーが行われます。その準備に今日は行ったのですがまさか看護士見習いをさせられるとは思いませんでした。興味はあったので姉さんに簡単な怪我の処置を聞いた位でしたがさせられるとは夢にも思いませんでした。診察でノエルちゃんという子に出会いました。脚の怪我で入院という事だったので早く元気になって欲しいものです。準備時にノエルちゃんがロイドをチラチラ見てたのは何だったのでしょうか?準備にはガイさんも参加してくれてツリーの設置が早く終わったそうです。僕も何人かの看護士さんと一緒にクロスベルの百貨店に行き食材を沢山買いました。まさか、買いに行った看護士さんの中で一番料理出来るのが僕とはお母さんから習った料理の腕がこんな所で役に立つとは思わなかった。一人暮らしの時に役に立つな位に思ってたのに。今日作れるのを作り、準備がいるものは準備した。その後は他を手伝っていた。ロイドの視線が痛い。準備を終えたがこれなら良い会になりそうだ。