冒険者タドコロ   作:じるすしもん

11 / 42
ドラゴン田中のスペシャルショー

 遺跡の内部の壁は青白く輝いており、入り口からの細い通路を少し進んだ先には十字路が存在した。

十字路の中央には文字の書かれた石碑、その奥には大きな扉。

 

――汝、宝を欲するのなら闘え。命を欲するのなら突くぅ〜〜。

 

 石碑に書かれた文面だ、「これはトズ・マリスト語ね」。

 入り口の石像付近に3人が固まっている。治療魔法の光がタドコロを包む。

 

「ヒデ! 淫者の石の光が弱くなってきたゾ」

「ダイナマイッ! FFの蜜も使うユー」

「おっそうだな。」

「胸にかけてくださいまし、胸に(高音)」

 

 つぶらな瞳、長いまつげ。ミウラネコの蹴りによって局部を破壊されたタドコロは女の子になっていた。気品に満ちた口調だ。

 

「つかれましたわーもう」

「ヴォエッ!! キモいにょ」

「そうだよ(便乗)」

「ウーン(お昏睡)」

 

 閃光のような強い光を放ち、淫者の石が音も無く落ちた。魔力切れだ。

 

「淫者の石が……」

 

――すると

 

「……ヌッ!」

 

 ミウラが声の主に目をやる。

 

「タドコロ!! やったタドコロが復活したゾ!」

 

 タドコロがふてぶてしく鼻をほじる、いつもの光景だ。

 

「淫者の石の力はやっぱりすごいにゅ」

「ま、多少はね。それよりあのネコと女は?」

「ネコちゃんはもう帰っちゃったゾ。エナさんは遺跡の中を見てるゾ。魔物はいないみたいだゾ」

「ヌッ!!」

 

 タドコロの体が魚のように跳ねた!

 

「邪剣『夜』逝きましょうね〜〜」

 

 スゥっと鞘から剣が抜かれる。黒光りの刀芯に野獣の眼光。

 

「どうしたんだゾ?」

 

 ミウラは事態が飲み込め無いみたいだ。

 

「(いまから)殺りますねぇ」

 

 一方その頃、エナはエリくさ草を見つけていた。石碑の下に一つだけ供えるように置かれていた。

 

「やった、やっと見つけた! 後はポジタネの実を見つければ兄さんの呪いが解けるわ!!」

 

……後ろから殺気を感じる。肩でヨスマーデが「ゲコ」、と鳴いた。

 

 振り返るとそこには剣を手にした野獣がいた。タドコロだ!

 

「! タドコロ君じゃない、驚かせないでよ。…って回復できたのね、よかった。だって――」

「ンアッー!!!(怒号)」

「!?っ。どうしたの? 大丈夫?」

「オォン!アオォン!」

 

 尋常ではない様子だ、カエルが首筋の髪の中に隠れる。

 

「ちょっと刃あたんよ〜〜」

 

 タドコロが剣をゆっくり構える。その時十字路の奥の扉がコナンのアイキャッチみたいに開いた。

 

「ウェアッ!」

 

 扉の向こうから野太い声が聞こえた。タドコロは動作を停止した。

 

「タドコロ、やめちくり〜」

「そうだゾ(便乗)」

 

 2人が慌てて駆けつける。

 タドコロは止まったまま動かない、タドコロどうした!?

 

「今の声、聞こえた?」

「うー☆うー☆」

「ポッチャマ・・・」

 

 タドコロが無言で扉の奥、声の先へと進んでゆく。表情は無い。

 

「ぼくもしゅる〜」

「おっ、待ていっ」

「??」

 

 3人がそれに続く。

 扉の先は大きな通路が待っていた、タドコロが無言で歩を進める。

 しばらく歩いた。すると遺跡の中央部だろうか、大広間に出た。

 見上げると青空が見える広間だ。そこで4人が目にしたものは……

 

「え、なにこれは?(ゾ)」

「あぁ、出る!ああ^〜(ヒデ、失禁)」

「……ドラゴン! ドラゴンタナカよ!!」

 

 体長20メートルを超えるであろう巨体。だが見た目は人間、角刈りで腹の出た中年男性のようである。背中には妖精のような羽を生やし何かを言いながら腰をうねらせている。

 

「何か言ってるゾ!」

「お、おもらししてごめんなさいユ〜」

「……これは」

 

「乙ゥ〜〜」

 

 どうやら労(ねぎら)いの言葉をかけたいようである。

 

「……こ、これはまずいゾ」

「ワーオ! おっきなドラゴンはじめて見たぁ〜!」

「大丈夫、…ドラゴンに敵意は無いはずよ」

 

 タドコロがドラゴンに歩み寄る、様子が変だ。

 すると、ドラゴンが彼に語りかけた。

 

「オーッス!Ohhhhhh!オアアア!アアァ!ウェアッ!world war」

 

「……何か言ってるゾ」

「世界大戦以来だな? って言ってるわ」

「分かるのかゾ!」

「ええ。意味は分からないけど。怒ってるみたい」

「卵ォ!?」

 

 敵意あるじゃないか(困惑)。怒らせたのか? これはマズイッ、マズイぞ〜

 すると天井から石の破片が落ちてきた。

 

「ファッ!?」

 

 タドコロの頭に命中!!

 

「ウーン」

 

 タドコロの手から剣がずり落ちると同時に殺気が消える。

 遺跡全体を包まんとしていた熱気が引いてゆく

 足下がおぼつかないタドコロに3人が駆け寄った。ドラゴンに近付くのは恐怖だ、だがいとわない。

 

「タドコロしっかりするゾ!」

 

 ミウラがタドコロを介抱する傍ら、床で不気味に発光する剣。エナは自分の血の気が引いてゆくのが分かった。

 邪剣『夜』。あの邪剣が目の前に、そしてこの男は邪剣の使い手なのだと。

 タドコロの目がパチンと開かれた。

 

「オッスオッス」

「おっ、タドコロもう大丈夫か?」

「ま、多少はね?」

「うー☆うー☆」

「ぬわー、つかれっっ・・・ってなんでドラゴン君が!?」

「覚えてないのか(困惑)」

 

 やはりあの剣は持つものに破滅をもたらす暗黒の剣だ、ミウラは顔をしかめた。

 だが今はそれどころでは無い。

 ドラゴンが怒号を轟かせる。

 

「「ウェアッ!!」」

 

「どの道全滅だゾ、ポッチャマ(小声)・・・」

「ファッ!?」

「おじさんやめちくり〜」

「大丈夫、手はある……はずよ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。