冒険者タドコロ   作:じるすしもん

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やっとまともなのが出てきたぞ(強キャラの余裕)

 タドコロ達と別れ1人王都へ向かうエナ。ある昔話を思い表情が険しくなる

 

◆◆◆

 

 かつて世界が1つの国だった頃、ある一族が何世代にもかけて剣を鍛え上げた。

 

――聖剣『暁』

 

 聖なる力を宿した光輝く刀身、持つものに安らぎを与える輝き。

 聖剣の力は凄まじく破竹の勢いで一族は成り上がった。

 だが決して満足はしなかった。

 一族はさらに、さらに聖剣を鍛えた。秘術で魔獣を生み出し剣に宿らせ、血が心を曇らせる。

 

――そして世界大戦が始まった。

 

 大地は血の涙で溢れ、海は掻き毟るように唸った。

 夜が世界を飲み込んだ……。

 

 時は果て、大戦が終わりを告げた。

 だが、そこには何も残されていなかった。

 怒り、憎しみ、恐怖、哀しみ。大戦という名の風が吹き抜け、虚無だけがひっそり息づいていた―。

 聖剣『暁』は……

 聖剣は戦いに呑まれ、既に刀身は暗黒に染まっていた。

 もはや聖剣などでは無い。

 

 邪剣だ。

 

――邪剣『夜』、戒めの鎖

 

――

―――

 

「ミウラさんなんなんすかあいつら? 頭きますよ〜」

「あーもう一回言ってくれ」

「嫌味をネチっこく言いやがって、こっちも我慢の限界だったっすよ」

「おっ、そうだな」

 

 塔内を見て回りながら文句を言った。

 我修院とトクガワは糞野郎だった、着ている服からしてボンボンだろう。人を小馬鹿にした偉そうな糞野郎だった。

 

「今度会ったらブッ飛ばして良いすka〜」

「……あいつらああ見えてアクシイドだから止めといた方が良いゾ」

「ファッ!? マジすか!?」

 

 冒険者の中でも特に優秀、又は高レベルと国に認められた者は『アクシイド』と呼ばれる特別階級に成る事が出来るのだ。

 

「…ま、多少はね?。どーせ金の力じゃんアゼルバイジャン」

「悔しいけどあいつらの実力はかなり……だゾ」

「ウーン」

「うー☆うー☆」

 

 突然、塔の壁が無音で膨れ上がった、魔物が出現する合図だ。しかもこの大きさは――

 

「ゴーレインムだゾ」

「ファッ!? 強いヤツじゃないっすか!」

 

 塔の中は魔物との遭遇率が高い、色んなヤツが出てきたがこのゴーレインムはおそらくこのダンジョン最強の魔物だろう。

 硬い鎧に包まれたゴーレム、ミウラの拳も俺とヒデの魔法も大して効かない神経がすり減る相手だ。急所とか無いんすかねぇ?

 

「オォン!アオォン!」

「ケツの穴舐めろ!」

「ダイナマイッ!」

 

―――

 

 ・・・フゥ〜↑

 時間はかかったが倒せた、倒せるんだけど戦いたく無い相手だ。

 

「やめたくなりますよ〜、なんか冒険~~」

「ど〜すっかなオレもな〜」

「今何階だにゅ?」

「階段を4回上がったから5階でしょ?」

「タドコロは頭悪いゾ、4回上がったなら4階だゾ」

「うー☆うー☆」

「……」

 

 ミウラが馬鹿を炸裂させた時俺は前方の人影に気付いた、人間だ。何かを叫んでいる。

 

「マヒロ! どこだ!出てきてくれ!。マヒロー!声を聞かせてくれー!」

 

 出てこなくていいから(良心)

 

   * * *

 

「君たちは話の分かる人で本当に助かったよ、一緒にさせてもらってさ……」

「おっ待てい、お礼なら要らないゾ。人生助け合いだゾ。男ミウラとは俺の事だゾ」

「ぼ く ひ で」

「ひでしね」

「タドコロっす、バッチェよろしこ」

 

 男性は礼二と名乗った。少々釣り上がった目、ヤシの木みたいな髪型、結構タイプだ。

 

「Foo〜↑、礼二さんはこの塔の天使に会いに来たって事で良いんすよねぇ?退治するんすか?」

「いや、とんでもない。ただマヒロともう一度会いたいだけだよ。マヒロは悪い奴じゃ無いんだ」

 

 言葉に悲壮感が漂ってる、苦労したんだな。

 

「マヒロが原因じゃないのかゾ?」

「――真実は違うんだ。町に災厄をもたらしたのはジュンペイと呼ばれる魔導師なんだよ」

「ファッ!? 変な奴がキモい魔法をかけたって事すか?」

「そうだよ(便乗)」

「サイバーゼ塔の頂上でジュンペイが魔法をかけているんだ、マヒロはジュンペイを倒す為に町に協力者を探しに来たけど誰も耳を貸さなかった。許せないよ!」

 

 声を荒げる、(俺の胸で泣いて)ええんやで。

 

「つまりオレたちがてっぺんのジュンペイを倒せばすべて解決だゾ」

「でも、マヒロはどうなったんだろうか。もしかしたら既に――」

「大丈夫だにょ、ぼくの占いが無事って言ってるにょ」

「ひでしね」

「!!???ッッ」

「マヒロは命の恩人なんです、あれは――」

 

 聞いてもいないのにマヒロとの出会いの話を始めた、そーゆートコも可愛いじゃんアゼルバイジャン。

 じゃけん夜寝取りましょうね〜〜

 

「――それで俺が落ち込んでいる時にマヒロが勇気づけてくれたんだ、あんなに魅力的な彼が悪いワケ無いじゃないか……マヒロは本物の天使だよ!」

 

「おっ、そうだな」

「うー☆うー☆」

 

 ん〜、天使かどうかは別にして礼二さんがそこまで言うならマヒロってカマホモでもまともな奴なのか?これもうわかんねぇな。

 

「この塔は12階建てだから、あと4階っすね」

「結構疲れたゾ〜、チカレタ」

「広いし、魔物は強いし、やめたくなりますよ〜。あいつら(我修院とトクガワ)にまだ遭遇して無いってのだけはラッキーっすね」

「あいつら天使を殺すとか言ってたから急がなきゃ(使命感)」

「えっ!? そんな奴らもいるのか?」

「嫌な奴だけど実力はあるゾ、って――」

 

 噂をすれば何とやら、角を曲がった先には我修院とトクガワがこちらに歩いてきていた。

 俺達は道を譲れと言わんばかりに睨み合った。

 

「ミウラくん、何だねその態度は。非常に軟弱で、非常に乏しい君が私たちに逆らうと言うのかね?」

「ン゛ー」

 

 やはり頭に来る連中だ、一触即発の空気の中

 

「魔物だっ! 魔物が出るぞ!!」

 

 礼二さんが叫んだ、壁が盛り上がってる。ってこの大きさは――

 

「ゴーレインムだゾ」

「やだやだ、小生やだ」

 

 ファッ!? しょうがねえな〜、一時休戦で5対1で倒しましょうね〜。

 

――だが。

 

「トクガワくん、やっとまともなのが出てきたぞ」

「マ゛ッ!」

 

 悠然とゴーレインムに近寄る我修院とトクガワ、ツカツカと音が響く。

 こいつらゴーレインムの強さを知らないのか? そのままやられちまえ。

 雄叫びと共にゴーレインムの右拳が我修院めがけ放たれた、食らえばひとたまりも無い。

 

――だが、俺はこの2人を見損なっていたようだ。

 

 ゆらりと我修院の体が消え拳が空を切る、避けたのか!?

 

 いや―――避けたのでは無い、攻撃したのだ。

 右腕が迫ったその刹那、懐に潜り込みゴーレムを殴り上げる。

 ぐしゃり、と耳障りな音がへばりついた。

 

「ここの魔物はもう十分堪能したよ…」

「ア゛ッ!!」

 

 唖然とする俺達をよそに踵を返し立ち去る我修院とトクガワ。

 

――あいつら強スギィ!!

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