やべえ、やべえよ。
我修院のスピードはミウラの閣下モード並み、さらにゴーレインムを一撃で倒すパワーまである。
あのトクガワもそれと等しい実力を持っているのだとしたら?……
これもう(勝てるか)わかんねぇな。
あいつらが先に天使と出会って瞬殺してくれる事を願う、そうすれば戦う理由は無くなるし礼二さんは俺のモンだ。
マヒロが心配なのだろう、礼二さんの顔に死相が見える、一途な人だなぁ、オマエノコトガスキダッ(高音)。
礼二さんは祈るようにギュッと何かを握りしめている。
「それ、何すか?」
「……これは、マヒロに貰った大切な物だよ、キティちゃんって名前だ」
ピィィ(迫真)と音をあげる人形?、姿形はネコみたいで可愛らしいリボンをつけている。
「マヒロと俺をつないでくれた大切な物だ……」
「はぇ〜〜」
今にも倒れそうな程フラフラになりながら恋人を想う姿勢に素直に感心した
まともに休みも取ってなかったんすね〜、マジで倒れそうじゃんアゼルバイジャン。
ものの数秒で彼は倒れた、やっぱりな(レ)。
「大丈夫か…大丈夫か…?」
ヌッ! 俺はさりげにチンコを触った。
「軽い貧血みたいだにょ、休みながら回復魔法をかけるユ〜」
「おっそうだな」
彼は気を失ってしまったようだ、ヒデ曰く10分ほど休めば大丈夫らしい。
俺達は休憩を取ることにした。
「先輩今度俺見回りいってきますよ」
礼二さんのナニの感触が残っている内にスッキリさせておきたい。今夜のシミュレーションだ。
「おっ、待てい。オレも行くゾ」
「ファッ!? 礼二さんとヒデだけじゃまずいですよ!」
「セミアニキがあるから心配無用ゾ、ホアァーで買っといて良かったゾ」
「うー☆うー☆」
「ヒデもそれで良いって言ってるゾ、近くのトコだけ見てくるゾ」
不満が残るが結局2人で見回りする事になった。ウーン(昏睡)。
ミウラの目を盗んですれば良いだけだし―――多少はね?
ほどなく歩くと別れ道があった、真ん中に何か書いてあるがかすれて読めない。
「これもうわかんねぇな」
「ポッチャマ・・・」
分かんない物はしょうがない、俺達が引き返そうと背を向けた瞬間、別れ道から声が聞こえた。
「あ! 悩める人発見!」
嫌な予感がする、声の主を見ると……カマホモ天使だ。
「お兄さんたちどうしたんですか?」
「「・・・」」
カマホモだ、あまりのキモさと衝撃に呼吸をする事すら忘れてしまった。
カマホモ天使が空から降りて来たのか?そのまま地獄まで行ってしまえば良かったのに。
「あ、そうだ! 僕は天使の時には魔法の粉を振りかけた人にしか見えないのだった!」
「「・・・」」
わざとらしく説明をする天使、ぶった斬っていいかな?
「ぱらぱらりんこ〜見えるようになれ〜!」
なんか粉を振りかけてきた天使、たぶんドラッグだと思うんすけど(名推理)。
「僕はマヒロ天使だよ。お兄さん迷ってるの?」
「・・・タドコロ、戻るゾ」
「・・・ウン、おかのした」
俺達は何も見なかった事にして帰ろうとした。初めてミウラと心が1つになった気がした。
「お兄さんたちに頼みがあるの、ジュンペイを倒して欲しいの、倒してくれたら僕の体好きにしていいよ」
「「ヴォエッ!」」
吐いた、同時に。
「お兄さんたちに地図をあげるよ、ぱらぱらり〜ん」
黒地図(くろいの)が目の前に降ってきた、信用でき(ないです)。
俺達は弾けたように全力で逃げ出した、あいつはヤバイ! 真性のカマホモだ!
「ホラ。逃げんなよ! タドコロ」
「ミウラさんだって逃げてるじゃないすか」
「おっ、そうだな」
ヒデ達の元へ全力で逃げた、あわよくば我修院達がマヒロを始末する事を願って。
* * *
「……うっ」
「しゅる〜」
ヒデが礼二に回復魔法をかけ終えた、すぐにでも意識を取り戻すだろう。
そこに血相を変えたミウラとタドコロが走ってきた。
「あれ〜おかしいね様子変だね? なんかあったにゅ?」
「……天使だゾ、オカマ天使が出た」
「ほんとぉ」
「キモスギて逃げてきちゃった、しょうがないね」
礼二が目をカッと開いた、礼二どうした!?
「マヒロ!マヒロが居たのか! ホントか!」
「あっちの方にいたゾ……」
さすがのミウラもすげえキモかったゾとは言えなかった。
「タドコロ、その背中に引っ付いてる紙は何だにゅ?」
「?……ファッ!? 黒地図(くろいの)じゃないすか!」
「オレ達に『来い』って言ってるのかゾ。」
「マヒロ、待ってろよ……」
「……」
タドコロは何も言えなかった、想い慕う礼二からすらも得体の知れない恐怖が感じられた。彼が体験した事の無い恐怖だ。――キモスギィ!
一行は地図に従い、ジュンペイ討伐を目標とした。
果たしてそのジュンペイの実力は如何程に……
―――
――
―
――一方我修院とトクガワは、
タドコロ達が行動を再開した時には既に最上階に辿り着いてジュンペイと相見えていた。しかし――
「どうされましたか? 我修院様」
「ドゥエ…」
「ン゛ーッ!マ゜ッ!」
余裕の表情のジュンペイ、傷だらけの我修院とトクガワ。どちらが優勢などとは問うだけ愚かだ。
「トクガワ様、我修院様。当店特製のウェルカムドリンクは、いかがでしょうか?」
ジュンペイの周りに魔力が集中する、水属性小便生成魔法LV5クッセエナ。触れた部分から体が溶け、毒に犯される殺人術だ。
「お待たせ致しました、さぁどうぞ」
クッセエナが放たれた。トクガワが土属性の魔法で防ぐ、だが破られるのは時間の問題だ。
「トクガワくん大丈夫か?」
「モゥムリ〜タエラレナイ」
「いや〜もう、勘弁してくれ」
「ムリ〜、ムリ〜」
だが我修院は諦めていなかった、自分の魔法でスペースを作りそこから相手の懐に潜る。もうその手しかない。
ジュンペイは狂気を身に纏った魔術師だ、一目でその魔力の高さは感じ取れた。――だが近接戦なら自分に分がある、私なら勝てる。
『騎士の天職を持ち、幼少より鍛えられた。私のスピードなら奴の魔法より速い!』
我修院には自信と確信があった。
「ムリ〜、モゥムリ〜」
これはトクガワの演技だ、相手に気持ちよく攻めさせ一瞬で頸動脈をかっ切る。言葉を介さずとも意図は伝わった。
「トクガワ様? どうぞ遠慮なさらずに。沢山お召し上がりになって下さい」
――――今だっ!
ジュンペイの気が緩んだのを見逃さなかった。
風属性魔法LV2ブフゥを発動、隙間に潜り込む!
全身のバネを爆発させ神速で斬り裂く!
――その首もらった!
「……我修院様。動きが止まっ――て見えるのは、私だけでしょうか?」
ジュンペイは体をクッと捻り、軽く、まるで舞踊のようにかわしてみせた。
――バカなっ!
「これではアクシイドの名が泣くな」
――嘘だっ!
「どうですか? 我修院様。どうにかなさいましたか?」
――クソ……
「当店特製の、デザートで御座います。どうぞお召し上がり下さい」
「クソ、ハハハハ、クソ…」
自身に放たれた火炎球に照らされながら、我修院にはそれしか言えなかった。
「糞ですか?」