「タドコロ君、君には悲しい宿命がある、君だけの宿命だ」
「何言ってんだよタダノさん、俺の人生、俺が決めるよ!」
「ハハハ、子供でも君は立派だなあ」
「ヌッ! 子供(がき)扱いしないでよ!」
「うんうん、ゴメンゴメン――」
タダノさんがぼんやりと消えて行く! 待ってくれ!やっとあなたを見つけたのに……
* * *
「ヌッ!!」
――夢か。
笛の音やら笑い声やら聞こえる。
外は少しだけ明るい、明け方か?
俺は自分の寝かされていたベッドから体を起こした、全身の筋肉が悲鳴をあげている。
ジュンペイを倒し、俺は死んだように眠っていたのだろう。
俺の最後の記憶は町に戻った時の町人達の満面の笑みだ。バニーカマホモの呪いは解けていた。
隣を見るとミウラ、ヒデ、我修院、トクガワが寝かされていた。こいつらも死にかけたからなぁ。
よしっ、魔法力は回復している。
俺はガンホルを自分にかけた、体の痛みが引いて行く。
これで動ける程度にはなったかな?
ゆっくりと立ち上がり出口へ向かった、町の様子が気になる。
宿から出ると、うっすらと太陽が昇っている、朝だ
あちらこちらで町人達が喜びを分かち合っている。酒を飲んだり、踊ったり、思い思いにはしゃいでいる
――オッスオッス! 俺は英雄タドコロ様だぞ!敬え敬え!!
そう思うとなんだか可笑しくなった、この光景をもたらしたのは俺たちなんだなぁ、不思議な気分だ。
人助けってのも悪くないな。
「タドコロ様お目覚めになられましたか!?」
おじさんに声を掛けられた、……誰?
「おおっ、失礼致しました、わたくし町長のスカファクと申します。呪いから解放され元の姿に戻れました。」
「嬉しいかー、スカファク」
「はい、すべてはタドコロ様やミウラ君のお陰です。」
「ミウラさんとお知り合いなんすか?」
「えぇ、ミウラ君はこの町で、と言っても南地区で育ったんですよ。」
「はぇ〜」
やっぱりな(レ)
「タドコロさん、少しだけお時間を頂いてよろしいですか?」
「ウン」
「この港町のボスが是非あなたに会いたいと言っているんですよ。」
「おかのした」
たんまりと礼が弾みそうだ。
―
――
―――
チャカポコチャカポコ
「あれ……?」
「おっ、ヒデやっと起きたのかゾ。」
タドコロが目を覚ましてから10分後くらいにアホ2人は起きた。
「タドコロはどこにょ?」
「分かんないゾ、多分ズリセンこいてるゾ」
「うー☆うー☆」
「町を救ったワケだし、今日からまた王都目指してがんばるゾ。次の目的地はパイパイ山の麓ブタベンキの村だゾ」
「その前にずっと行きたかったとこがあるんだけにょ?寄っちくり〜〜」
「当たり前だよなぁ」
「ほんとぉ? マラ平原のヤバコウビ魔法研究所に寄って欲しいユ〜、魔導ガエルの研究を主にやってるところだにょ」
「おっそうだな、便利なカエルをてにいれるゾ!」
ひでが目を輝かせた、魔法大好き君か?お前は
そのヤバコウビ魔法研究所ってどんなトコなんだろうね?
―――――
―――
―
白を基調とした清潔感漂う室内、様々な魔法石が整然と置かれている。
ここはヤバコウビ魔法研究所、ヒデが来たいと言っていた場所だ。だが何やら不穏な空気が漂っている。
「待て、待て!イシイくん!」
男の声が虚しく響く
「待ってくれ!君をチーフに推薦してやる!」
その声に返事をする者はいない。
「待て!待ってくれ、イシイくん!」
悲痛な叫び声だ。
「カエルならやる!」
「女か!?何か!待ってくれ、待ってくれ!待ってくれ、イシイくん!」
「イシイくーん!ウワァァッ!イシイくーん!ウワッ!イシイくーん・・・・・・・・(迫真)」
* * *
町長のオッサンに連れられまだ熱狂冷めやらぬ町を歩く、感謝の声かけられる。照れるな〜〜
「こちらです」
「ヌッ!」
着いたのは町の中でも一際大きい建物、この中にガバ穴ダディーがいるのか?しかし凄い名前だな。
これから溢れんばかりの感謝、褒美を貰えるのかと思うと、勃ってきちゃったよ…。
案内され建物の中に進む、一番奥の部屋まで連れられた。
部屋に入ると4人の男が一つの机に向かい合うように座っていた。
何をしているのかはすぐ分かった。
麻雀だ。
町長がメガネの男に耳打ちをする、あの太っちょがガバ穴ダディーか!?
「火ぃ吹うくぅ〜!」
太っちょがこちらを一瞥した後、謎の返事をした
「……タドコロ様、ダディーはもう少しだけ待ってくれとおっしゃっております」
「しょうがねぇな〜」
やっぱりこいつがガバ穴ダディーか、俺は奴の背後に立ち『手』を確認した。
――これは?
「あがりたい…あがりたい…おっきい手ほしい…」
ダディーがなにやら一人言を言っている、大三元を狙っているみたいだ。バレバレじゃないか!?
「ウゥンそこ…そこそこ!エヘァアン!!」
良いのを引いた、これで一向聴だ。
しかしここで対面がリーチをかけた。
「アーチャー!?」
いちいちうるさい奴だな
「チーッチッチッチッチ!」
上家の捨牌でダディーが鳴いた。これで聴牌だ。
「入っちゃう入っちゃう入っちゃう〜ぁ〜」
うるせぇ!!
「イクイクイクイクイク!いくよお!イク!」
ダディーツモった後、牌を倒した。
「パイパイパーイパパイニ゛」
ここぞの場面で白を引いた。
大三元、役満炸裂だ!
「気持ちんぽ〜〜」
褒美なんて要らないから早く帰りたいです。
―
――
―――
一方ミウラ達は……
「ミウラ君、君に命を救われて目が覚めたよ。本当に感謝している、ありがとう」
「嘘つけ絶対ウソだゾ」
「マ゜ッ!?」
我修院とトクガワも起きて冗談を言い合っている。和解できたようだ。
そこにおばちゃんが食事を持って入ってきた。
「あら、あんたたち起きたのかい?」
「おぅ、オバチャン。さっぱりしたゾ。あっそうだ、礼二さんが見当たらないけど知らないかゾ?」
「礼二君なら魔法で眠ってるわよ。彼かわいそうに、偽天使の魔法に惑わされていたから記憶を消したのよ」
「ポッチャマ・・・あっそうだ、タドコロを知らないかゾ?」
「タドコロくんならあんたのお父さんに会いに行ったよ」
「トッチャマ・・・」
「ミウラのお父さんってどんな人が気になるにゅ〜〜」
ミウラはタドコロの身を案じた、彼は半ば勘当されており、父親に忌み嫌われているのだから。
父親がタドコロに何をするのか心配だった。
「あ〜い〜ちゃんちゃちゃちゃんちゃん!」
帰りてぇぇぇ〜〜
タドコロは思った。
「アイ〜ン…」
「まさか息子に助けられるとは思ってなかったと」
シュー…、こいつまともに喋れないんすかねぇ?
でもミウラの親父さんって事なら納得できるな。
俺はダディーの話を聞き流していた。だって長いんだもん。
「ニンニンニンニンニン…」
「ですから今回の報酬は何も無しと言う事で…」
「ウン、おかのし・・・ファッ!?待って下さいよ!」
「ア゛ンア゛ン!ア゛ンア゛ン!」
「ですから今回の事でミウラ君の事は水に流すと、すぐにこの町から出ていけば穏便に済ますとおっしゃっています。」
「ふざけるな!(声だけ迫真)」
「気持ちよくてオヒリヒン」
「話は以上です」
それだけ言われて俺は追い出された、頭来ますよ〜
「……おっ、タドコロ!トッチャマに何もされなかったゾ?」
「うー☆うー☆」
ヒデとミウラが来た、来るのが遅いぞ!
「アレはダメみたいですね、すぐ出ていけって言われましたよ。」
「すまないゾ、オレが昔トッチャマを怒らせちゃったばっかりに…」
「あついユー」
「んで、どうします?もう出発します?」
「おっそうだな」
「ぼくも賛成(しゅる)〜〜」
俺たちは相談して、体を回復させてから昼にこの町から発つ事にした。
ぬわぁぁあぁぁん疲れたもぉぉぉぉおぉん
―
――
―――
――う・・・ここは
日の光が僅に入り込む部屋で彼は目を覚ました。
――何だ、夢だったのか?
彼の心を支えてくれた天使、心の底から愛した人、長い夢を見ていた気分だ。
頭を抱える、必死に記憶のピースを集める。
だが思い出せない、天使がどんな顔で、どんな声で、どんな名前だったかを……
胸が締め付けられるように痛み、息が苦しい。
――こんなに苦しいのならいっそ死んだほうがマシだ……
ピィィー(迫真)
――???
彼のズボンから音が聞こえた、まさぐるとそこには可愛らしいネコの人形があった。
――。。。
『僕はマヒロ天使だよ。お兄さんが何か悩みを抱えてるようだったから声を掛けたの。何か悩みでもあるの?』
「夢じゃなかったんだ。マヒロ・・・」
天使の塔編―完―