空は曇り、雨が降りそうだ。しかし冒険者には雨も雪も雷も関係ない。
タドコロ一行はヤバコウビ魔法研究所を目指す!
「ファッ!? 俺たち3日間も眠ってたんすか?」
「そうだよ、ジュンペイはかなりの強敵だったからみんな死にかけてたゾ」
町の人間は3日間も騒いでいたのか(困惑)。
「タドコロは礼二さんに気持ちを伝えなくて良かったにょ?」
ヒデがニヤニヤしながら言いやがった。
「ま、多少はね。また新しい野郎尻を探すだけじゃんアゼルバイジャン。」
そう言えば町を出発する時に礼二さんにお礼を言われた、マヒロの分も一生懸命生きる。と強く言ってくれた。彼なら大丈夫だろう。
それに俺には『写真のカレ』がいる。
「これから行く魔法研究所ってなんでそんなとこにあるんすか?」
純粋な疑問をぶつける。
「それはにゅ、唯一魔導ガエルになれるイモガオガエル、そいつが生息するクチマンの森がすぐ近くにあるからユ〜」
「はえ〜、魔法が使えるのってそのカエルだけなの?」
「イモガオガエル以外の動物が魔法を使った話なんて聞いた事ないにゅ〜、魔物は別にして」
言ってると魔物が出てきた。ケツプリンが2体。
「ヌッ!」
こいつらは物理防御が高く火属性が弱点だ。
「見とけよ見とけよ〜」
俺の新魔法
【火属性攻撃魔法LV3アツゥイ】
「オケツプリ〜〜ン!!!」
不可解な声をあげケツプリンは死んだ、なにこいつら。
「タドコロスゴいぞ!新しい魔法を覚えたのかゾ?」
「ヤダーハズカシイデスー」
「ま、多少はね?」
鼻が高くなる、えっへん
俺達はゆっくりとヤバコウビを目指す。休み休み行けば大丈夫でしょ。
―
――
―――
ヤバコウビ魔法研究所の所長室、先日から所長が行方をくらませてしまったため、副所長のイシイが代理として使っている。
メガネの男が部屋を訪ねた。
「あ、お疲れ様です〜。はい。あ、シンジョーです。はい。シンジョーです。イシイさ〜ん」
「あ、シンジョーさん。お久しぶりです」
「……すいませーん、スカトロール10体の創造はま〜だ時間かかりそうですかねぇ〜?」
「スカトロールはイモガオガエルの血を大量に消費します。ただでさえ捕獲の難しいカエルですから…申し訳ありませんがまだ時間がかかりそうです」
「俺も手伝わせてくれよ〜〜」
「いえ、お手を煩わせる訳には。それに専門のハンターもおりますし」
「頑張ってくださーい、それとお転婆姫様がこちらへ来ませんでしたか〜」
「いえ、来ていませんね。また居なくなったんですか?」
「そうなんですよ〜。来たら無理矢理にでも捕まえといて下さーい。では失礼します〜」
シンジョーが部屋から去った後、イシイは拳を握りしめ机に叩きつけた。
これ以上の猶予は無い、彼の研究所職員としてのプライドに火がつけられた。
「チャラオ! チャラオはいるか?」
「はいぃ!? なんやぁ?。」
「どんな手を使ってでも良い、イモガオガエル30匹を生け捕りにしろ!?」
「30て・・・んなムチャや」
「1000万くれてやる、それでどうだ!」
「魔神?」
「やるのか!?やらないのか!?」
「タ〜ラタラタタ、タ〜タラッタタタタタ、タ〜タラッタタタタタタ♪」
* * *
あれから3日
魔物に寝込みを襲われたり(見張りのヒデが眠りこけてやがった)、豪雨に打たれたり―――
多難な道のりだったがなんとか魔法研究所に着けそうだ。
「ぬわぁぁあぁぁん疲れたもぉぉぉぉおぉん」
行商人から薬を買ったりして金も随分減ってしまった、あと3万オォンだ。やめたくなりますよ〜
今は昼間だ、いい加減平原の景色は見飽きてきたな
「今日中には研究所に着けそうっすね。」
「研究所を越えたらすぐにブタベンキの村がある、と思いたいゾ」
「つんつん」
3日連続野宿はいや〜キツイっす。ヤスミタイ。
それからほどなくして、視界に大きなテントが映った。人だかりのようなものもできている。おそらく商隊だろう、平原で何度か見てきた。
「おっ、キャラバンだゾ。休めるゾ〜。」
ミウラが駆け出した
「みんな早くしろ〜」
「ぼくもしゅる〜」
「あ、待ってくださいよ。」
商隊にはミウラ、俺、ヒデの順で着いた。一斉スタートなら俺が1着。はっきりわかんだね。
人だかりはてっきり商人達が集まっているものかと思ったがどうやら違うようだ。冒険者達が変な帽子 を被った男の話に耳を傾けている。
なにしてんだ?
「こん中に勇気のあるヤツはおるか!? クチマンの森に来る男はおらんか!? 金はやる! 一緒に来んかい!」
それに対して群衆の一人の男が声をあげた。
「はした金でクチマンの森に行くヤツはいないぞ! いくらだ!!」
「ええこと言うた! イモガオガエル一匹捕獲毎に3万オォンや!どや?」
群衆で笑いが起きた、安すぎるとでも言いたげだ。
男はお話にならないと背を向け去ろうとした。
「なんやお前ら! 待てや! なら5万や、それと3匹捕まえたら魔導ガエルくれたる!研究所での特別待遇付きや!えぇ話やぞ」
だが男は一笑に付した。
「そんなモンで命を捨てに行くヤツはいないぜ?」
その言葉につられてか他の冒険者も次々に立ち去って行った。
「早! こいつらもう終わりかいな。ちょ待って、こんな腰抜けええん?」
残された帽子男は情けなく喚いている、俺たちも行くか。
その時ヒデとミウラが帽子マンに歩み寄った。
「ぼくもしゅる〜〜」
「そうだよ(便乗)」
「……ホンマか?。冒険者、大発見! 今日のテーマはカエルです。」
ファッ!? あいつら死にかけたばかりなのに、自分から無謀そうな事に挑むのか(困惑)。
俺はクチマンの森の事もイモガオガエルの事も知らない、だがあの冒険者らの反応を見ればそれが何を意味するのか位は分かる。
「カエルさん欲しくなっちゃいましたね〜」
「ホラ、タドコロも見てないでこっち来て、お前も会話しろよ」
「俺の事はチャラオって呼んでくれや。クチマンの森はこっから東にあるで、ほな出発や〜」
「早くカエル見つけて研究所探索しなきゃ(使命感)」
「待って欲しいゾ、流石にチカレタゾ。ちょっと休みてえな〜」
「ええで! キャラバンで休んで明日出発や〜! タ〜ラタラタタ、タ〜タラッタタタタタ、タ〜タラッタタタタタタ♪」
俺が傍観している間に凄い勢いで話が進んでいった。なにこれ?