今俺たちはクチマンの森を目指して人の滅多に通らないような林道を進んでいる。……カンノミホ。
「チャラオさん、クチマンの森に魔物は出るのかゾ?」
「心配せんでもええ、上層にしか魔物はおらん。」
「じょーそー?(ゾ)」
「クチマンの森は上層と下層があるにゅ〜、イモガオガエルは下層にしか生息してないにゅ。」
「森に地下があるのかゾ。」
「地下って言い方は変だにゅ。深い谷の中で何百年にもかけて巨大樹《ガチム樹》が成長して森ができたんだにゅ〜、森で地面を見るには相当下まで潜らないといけないユ〜」
「って事は俺たちが最初に着くのが上層でそっから下(地面)を目指すって事か?」
「うー☆うー☆」
「坊主! 詳しいな! 誉めたる!」
「うー♪うー♪」
「おっ待てい。下に行くなら地下だゾ」
俺はミウラを無視して話を続けた。
「そのイモガオガエルの捕獲は難しいんすか?」
「そんな事無いにゅ、カエルさんは人間に友好的だにょ、魔導ガエルになって人間と旅したいって子もいるって聞かされたにょ」
「はぇ〜〜」
物知りヒデ、炸裂!
「せやせや、カエルは人間様に友好的やからな!楽勝や」
この言い方……やはりこのチャラオって男は胡散臭い。信用できない。
リーダーの俺が野獣の眼光を光らせる必要がありそうだ。
「おぉーー!! 着いたで。」
クチマンの森に着いた、なるほどヒデの言う通りだ。
目の前の樹々はこれまで進んできた林道の樹と違いは無い、違うのは足元だ。
巨人の腕の様な太い樹木が侵入を許さないかのごとく、入口の地面に唸るように埋め込まれている。
「涙目になってない?」
「ウーン(昏睡)」
「タドコロ! 覚悟を決めるゾ。カエルさんの為に」
「ぼくの魔法勉強のために!」
確かにあのヨスマーデはクッソ強かったけどさ…行きたくないです。
「しょうがねえな〜」
うん、ほんとにしょうがねえな。それだけだ。
俺達は覚悟を決めて足場の悪い森へ踏み込んだ。
―
――
―――
チャラオを先頭にして俺達は恐怖を振り払う勢いでズンズンと進んでいった。会話は無い。
下へ向かうのが目的と言っていたが、どうやって行くんだ? 足元は怨念込もった木の幹やなんやらががんじがらめに絡まっており、ネズミが通る隙間すら見えないほどだった。
闇の向こうの茂みから突然ガサガサと音が聞こえた。
「ヌッ!」
「なんだゾ――ってただのトカゲだゾ」
出てきたのは愛くるしいトカゲだった。
「なんやトカゲか……カエルは出てこんなぁ」
「先に進むぞ……ってタドコロどうした!?」
「――お前の事が好きだっ!」
俺はトカゲに飛びついた。既に丸出しである。
――ファッ!?
鈍った頭では目の前に広がる大穴に気付けなかったようだ。
穴は大口を空け薄目をしながら笑っていた。目が合った時には既に遅かった。
俺は穴に吸い込まれるように落ちていった。
――オォン!? レイプしようと思っただけなのにィ!
光の無い世界を力なく落ちてゆく俺に出来るのは精々叫ぶ事くらいだった。
「アアッー!ハァハァ、イキスギィ!イクゥ、イクイクゥ…ハァッ、ハァッ……ンアッー!!!・・・・・・・(迫真)」