「ウーン」
俺は目を覚まして気づいた、どうやら今のは悪夢だったようだ。
いつものベッド、いつものぬくもり……
――いや違うっ、俺の枕はこんなに小さく無いっ!!
「イキスギィ!!」
自分を鼓舞するため、叫びながら起きる。
「!!」
目を開けると俺の傍らに人間がいた、化け物かもしれない。
「ヌッ!」
タドコロムーンサルトで距離を取る。
「オォン!アォォン!!!」
大声が俺の気分を高める、化け物めぶった斬ってやる!
目が慣れてきた、ここは薄暗いがなんとか見える、前にいたのは人間だった、しかもクッソ汚い野生児だ。
ボサボサで塵の混じった赤い髪、青色の大きな瞳だ。一目で分かった、こいつはメスガキだ! タドコロ君は同じ轍を踏まない。
威嚇を込めて叫んだ!
「オォン! 出口を教えやがれっ!!」
「・・・」
ガキは何も言わず後ずさった。
「ヌッ!! 逃げんなよ!!」
「・・・・・・」
怯えているようだ、俺だって怖ぇーんだよ!
「ンアッー! 怨!亜怨!! ホラホラホラホラ」
――――『そこまでじゃ』
重々しい声が暗闇から響いてきた。
――は?
周囲がにわかに明るくなった。ちょ、ちょっと待って。
周りにいたのは大量のカエル、特に目立つのは3mほどの思わず「デカスギィ」と言いたくなるような黒いイボイボのカエルだった
『貴様……覚悟は出来ているな。』
黒イボが重く言い放った
「ファッ!? おっ、待てい(江戸っ子)ぼくタドコロ、助けちくり〜〜」
焦りで色々混じった。
『わしらの命を取りに来たのじゃろう? 殺されても文句はあるまい』
「ソーダソーダ」
「コロセコロセ」
「バーカバーカ」
周りのカエルが便乗してきやがった。
「命を狙うなんてとんでもない! 私は平和を愛する優しい24歳です! 学生です!。カエルさん方の友達です。」
『言い訳は見苦しいぞ、おとなしく裁きを受けよ』
「ゼツボウテキニキタナイ」
「ウンコノギジンカ」
「ステロイドハゲ」
「ゴキブリニンゲン」
便乗しやがるカエル共のケツに爆弾を突っ込んでやりたいと思った。
するとさっきのメスガキが俺と黒イボの間に入った。
メスガキっ! 助けてくれるのかっ! 後で昏睡レイプしてやるから助けちくり〜
「・・・・・・」
何か言えやサルゥ!
『ローズよ……その女を殺すなと言うのか。』
「エ?オンナ?」
「アイツガ?」
「ウソウソ」
ファッ!? この黒イボ、俺の事メスと勘違いしてやがんのか?頭来ますよ〜
確かに地元には『タドコロ女の子説』とかふざけたのもあったけど。
『よし分かった、お前にチャンスをやろう。』
「ヤメロッテサマはオヤサシイナ」
「オンジョウ」
「オンジョウ」
マジ? やったぜ。
『何か芸をやってその子供、ローズを笑わせてみろ。できなかったらお前はワシの性奴隷じゃ』
「「「エェ(コンワク)」」」
ファッ!?カエルの性奴隷!?・・・
――・・・
俺は10秒ほど悩んだ。
――そんなの嫌だーー!!
カエルの性奴隷も一瞬良いかなって思ったけど、やっぱり絶対嫌だぁぁぁぁ!
オォン!アオォン!!
ジャバ・ザ・ハットに性奴隷にされたレイア姫の心理を理解できた。
ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ブスって言ってゴメンナサイ!!
これはレイア姫を馬鹿にした天罰なのだ。
ジェダの復讐、そんな気分だ。
『さぁ早くやってみよ、それともケツマンをおっぴろげるか?』
「「「ヴォエッ」」」
「・・・・・・」
要はあのメスガキを笑わせれば良い、そうすれば万事解決だ!
俺はケツに力を込めた、男なら、背負わにゃいかん時はどない辛くても背負わにゃいかんぞ。
――やってやる! 俺は地元じゃ笑いの神様扱いされていた。俺なら出来る。
『・・・・・・』
「「「・・・」」」
「・・・・・・」
辺りが静寂に包まれる。スゥゥ、と深呼吸をして精神を落ち着ける。
――オッスお願いしま〜す。
静かに中央に歩いてゆく、ここならすべてのカエルから見える角度だ。視線が一点に集まる。
(見とけよ見とけよ~~)
俺は歩きつつ、上を指さし言った。
「こ↑こ↓」
言葉が放たれると、周囲は抱腹絶倒の嵐に包まれる。味をしめた俺はもう一度「こ↑こ↓」、と言い奴らの腹筋に追い討ちをかける。
――――ハズだった。
『…………』
「「「…………」」」
「・・・・・・」
――――や、やりますねぇ
カエル共は爆笑どころか反応すらしない、それどころか「え?、今の笑い所どこ?」といった顔をしている。
中々笑いにシビアな連中だ、だが俺は手を緩めないぜ?
――パンツを脱いだ
「で……出ますよ」
【ブッチッパ(脱糞)】
秘技《ブッチッパ》だ。カエル共にやるには惜しい業だ。
さっきの「こ↑こ↓」で既に活性化エネルギー直前まで来ていたガマ連中は腹を抱えながら「もぅやめてくれ〜」、と許しを乞う。
――――ハズだった。
『…………』
「「「…………」」」
「・・・」
「ファッ!?」
にわかに信じがたい光景だった、こいつら悪い物でも食って下痢ピー状態なのか? それなら納得だ。
仕方なしに俺は最終奥義を使う事にした。ありがたく思え、お前たちは笑いの歴史の生き証人となる。
――アッ、アッ、アッ、アッ、(上向き涅槃先輩)
「アアッー!ハァハァ、イキスギィ!イクゥ、イクイクゥ…ハァッ、ハァッ……ンアッー!!(迫真)」
最終奥義《エアホモセックス》だ。
我慢していた感情が吹き出し、心臓が止まるほどの勢いで笑いが起こる。あまりの声量に耳を塞ぎたくなるが意地悪な俺は「こ↑こ↓」、《ブッチッパ》、《エアホモセックス》の3つを高速で繰り出す。君たちには笑い死んでもらおう。
――――ハズだった。
『…………』
「「「…………」」」
「・・・・・・」
しーん、とした。しーんと。
『……もういい、お前死刑で』
――――ウン、おかのした
* * *
クチマンの森から目と鼻の距離と言っても差し支え無いヤバコウビ魔法研究所。
職員はかつて無いほど忙しそうだ。 魔帝ロマンが無理難題を突きつけてきたの だから仕方の無いことである。
さてさて、チャラオ達は森の異常な様子にいったん退却をした、タドコロを置いて。
残ってタドコロを探すと言ったミウラとヒデを丸め込むのは簡単だった。
とりあえずチャラオは森の異変をイシイに伝える事にした。
「チャラオ! よくもノコノコと帰って来れたな!? 一匹も捕まえれないとはどういう事だ!」
「スッーそうですね!? やっぱあのガマ凶暴化してますって」
「6人の少年を殺害し、その死体と肛門性交。その後彼らのペニスを切断し、自らの肛門に挿入し自慰行為を行う。その程度にはな!」
「やっぱり最近のやり方があかんかったと思います。」
「やかましい! カエル共は我々の発展に利用されるのを有り難く思ってれば良いだけだ! お前のその体たらくには呆れたぞ!」
「結構がんばってる方ですかね?」
「クビだクビだクビだ」
「え? 今ココでクビ?」
「それが嫌ならカエル30匹、それかこの研究所から逃げ出した『スローロリス』を捕まえて来い!」
「ええこと言うた! 任せときー!」
――一方その頃
ミウラとヒデは研究所のある一室に連れられていた、そこには見覚えのある『あの男』の姿があった。
「ポッチャマ・・・。ヒラノさん!こうしてられない、早くタドコロを助けに行くゾ」
「待ちたまえミウラ君! 命を捨てる気か。今私たちが出来るのはタドコロ君が無事である事を祈ることだけだ。」
「そうだよ(便乗)」
「ライダー助けて!」
「田舎少年は自分の意志が無いのか(偏見)。……イモガオガエル達は人間をひどく恨みに思っている。仕方の無い事だ。」
「友好的じゃないのかゾ?」
「2週間ほど前からこの研究所がカエルの乱獲を始めたんだ、それも無理矢理に。イモガオガエルを殺し、その血液を実験に使う、非人道的な行いだ」
「(関係)冷えてるか〜?」
「ああ逃れられない(闘争)」
「実権がトオノ王から魔帝ロマンに移ってから、こんな事態は国中で起きている。けしからん。」
「おっ魔帝(これが言いたかった)!」
「ねーホモ・・・ねーホモ・・・。王都がそんな事になってるなんて知らなかったにょ。」
「大英帝国インムランドが力をつけ、我が国にもかつて無い緊張が走っている。今は国王の『世界の歌声』も無く、戦争が起きたら多くの血が流れるだろう……」
「やだ、小生やだ!」
「ポッチャマ・・・」
「だがロマン様のやり方は強引過ぎるとは私も思うがね……」
―
――
―――
――あーつまんね
俺はカエル共に捕まり魔法の檻に入れられていた。脱出でき(ないです)。
所詮ガマ共には俺の高尚な笑いは理解出来ないって、はっきりわかんだね。
「ゲコゲコ」
「ゲロゲロ」
「ゲコゲコ」
あんな矮小なカエル共にビビってた自分に頭きますよ〜。
悲嘆に暮れているとあのローズとか言うメスガキが近寄ってきた。助けちくり〜〜
「・・・・・・」
何も言わずこちらを見ている、ウンコぶち込むぞ!!
「・・・」
なにかをこちらに差し出した、木の実だ。確かに腹は減ったがそんなんじゃ足りねーぞ。うまいラーメン持ってこいや!!
「しょうがねえな〜〜」
しょうがねえからその木の実を貰って食った、このガキ俺が手を伸ばしたら露骨にビビりやがって、キンタマついてんのかお前しっかりよぉ…なー。
ボリボリと木の実を食ってるとガキが俺の目の前をゆっくりと歩き始めた。
「・・・」
歩きながら上を指さした。
この動きは、「こ↑こ↓」だ。
「・・・」
ファッ!? まさかこのガキ俺に弟子入りしたいのか!? 確かに俺の笑いの遺伝子をここで絶やすのは惜しい。
「しょうがねえな〜、本物の『こ↑こ↓』見とけよ見とけよ〜」
【こ↑こ↓】
檻の中は狭かったが俺は見事に「こ↑こ↓」を披露してみせた。
「・・・」
ガキの表情は変わらなかった、可愛いげの無い奴め。
「・・・(こ↑こ↓)」
ガキは再びおれの動きを真似した。
相変わらず声を発しないが「こ↑こ↓」の声が聞こえてくるような見事な出来だった。フゥー↑、やりますねぇ。
……もしかしてこのガキ話せないのか?ターザンなら仕方がない。
だが笑いの神タドコロ君には言葉を必要としない物もある。
――――『顔芸』だ――――
タドコロ二十面相と呼ばれた私の実力を刮目して見よ。
「シュー……、顔芸だしちゃっていいっすか?」
「・・・・・・」
ガキが目を光らせた、かわいいとこあるじゃんアゼルバイジャン。
――まずは『ご満足先輩』だ。
「・・・・・・」
――今のは様子見、次は『野獣の眼光』『したり顔先輩』の二連撃!
「・・・・・・」
――まだまだ!『涅槃先輩』『アンニュイ先輩』『苦行先輩』!!!
「・・・・・」
――うおりゃぁぁぁぁ!!!
『マット・デイモン』!
『イチロー』!
『鈴木福くん』!
『北島康介』!
『インテル長友』!
『西寺兄貴』!
『COWCOW多田』!
『野獣の咆哮』!
『エスターク先輩』!
「・・・・・・っ」
『成し遂げたぜ!』
確かに今、はっきりとこのガキは笑った。
「FOO〜↑気持ちいい〜」
俺の心は不思議な満足感に満たされていた。
やったぜ。
するとチビガエルが何匹か来て檻を開けた。
(檻から)で…出ますよ
「ヤメロッテサマがオマエをオヨビだ」
「ウン、おかのした」
出そうと思えば(王者の風格)
* * *
余裕が出てきた俺はカエルに連れられながら色々考えてた。
ここはクチマンの森の下層だ、それは間違いない。たが上の方から光が差しており視界の悪さは気にならない。
見上げて眼を凝らしてみると樹の根が光っている。
はえ〜この明るさは太陽の光じゃないんすね。
……上層では今頃ヒデとミウラは俺の事を探しているのだろうか、申し訳ない。
「ツイタゾ」
『………』
あ、黒イボだ。
『よくぞローズを笑わせて見せたな…。じゃが時間が掛かりすぎた。解放はせん』
「ファッ!? そんなの(聞いて)ないです」
『落ち着け、もう1つ条件をクリア出来たのなら今度こそ解放してやる。やるか?』
「やりますぅ」
『ローズと共に過ごし、彼女を楽しませよ』
「んにゃぴ…」
メスガキの世話をしろって事か……ハァーーー(クソデカため息)
『ただし、あの子を傷つけたり泣かせたりしたのなら。すぐさま貴様は火あぶりの刑じゃ』
ファッ!? やべえやべえよ。
「やれば帰していただけるんですか?」
『おう考えてやるよ』
「やりますねぇ」
するとメスガキがこっちに来た、あーめんどくせマジで。
「・・・・・・」
「ほらいくどー」
俺はガキを連れてその場から去った。
「ヴォー…」
なんかガキの肩に変な生き物が引っ付いてるんすけど。
***
タドコロとローズが去った後、ヤメロッテに側近がこっそりと言ったした。
「ヤメロッテサマ、ヨロシカッタのデスカ? アノ男は邪剣のモチヌシデス、キケンキケン」
邪剣は持ち主を悪に染まらせる、そんな事は分かっていた、だが――
『だからこそじゃ』
「エ?」
『奴は邪剣の使い手じゃ、じゃがあやつはあんなふざけた事をやってのけた。常人には出来ん』
「ト、イイマスト?」
『奴は悪に染まらん、それほどの心の持ち主じゃ』
「ハァ……?」
―
――
―――
その頃ミウラ達は・・・
「すごいにょ!? LV4の魔球だにゅ!」
「こっちにもあるゾ〜」
「魔法石も沢山あるユ〜〜」
「明日また出発や! 存分に楽しんどき〜」
研究所探索をしていた