「はははは、すごいぞー、かっこいいぞー」
「どうしたの?カエルさん。」
――もう、目が見えん
ヤメロッテとスカトロールの実力差はハッキリとしていた。
ガマの体の至るところから血が吹き出、悪臭を匂わせる。
弱ったヤメロッテに対し、スカトロールはその紫の巨体を揺らし まるで無邪気な子供のように痛め付けた。
「ミノル! そろそろ楽にしてやれ」
「うん」
スカトロールが右腕に力を蓄える。闇の力が渦巻く。
最期を覚悟したのか、ヤメロッテの顔には笑みが見られた。それは安らかな顔であった。
――あの子達はもう逃げたじゃろうか。
――ワシは恵まれておった、もう満足じゃ。
「じゃあ、死のうか」
スカトロールが闇の魔力波、非情な一撃を放った。
―――・・・ありがとう。
「……ちょっと刃あたんよ〜」
【魔宵音】
突如一つの影が降り立ち、魔法陣がヤメロッテを保護するように現れた。闇の波動が咆号を上げながら魔方陣に収束する。
「な……何事だ!?」
イシイは慌てふためいた、ヤメロッテが隠された能力を使ったのかと。
しかしヤメロッテですらも、何が起きたのかすぐには理解出来なかった。
「お待たせ!」
――この……声は?
イシイは我が目を疑った。そこに立っていたのは汚ならしい、チャバネゴキブリみたいな男だった。黒く唸る剣を握りこちらを睨んでいる。
『何故来た!?これはワシら一族の話じゃ、お前は―――』
「ま、多少はね?」
そんな事は関係無いと言わんばかりに、タドコロの明るい声が話を遮った。
「あああああああああああああああああ、なんでなんでなんでなんで(狂乱)」
「誰だ貴様は! 何故カエル共の味方をする!?」
「24歳です。冒険者です。(理由は特に)ないです」
答えは彼の中にある、それだけで十分だ。
「言うこときいてくれないみたいだね」
「もういい。ミノル、やってしまえ!」
スカトロールの巨体がタドコロに迫る!
「(カエル達が勝てないって事は魔法は効かないってはっきりわかんだね)」
スカトロールの攻撃は実に単調だった、拳圧は凄まじいが避けるのは難しく無い。
タドコロは避けながら体を回転、遠心力を利用した渾身の一撃を横腹に食らわせた。
「……早く死んでくれないかなぁ?めんどくさいんだよね」
――ヌッ!?
スカトロールの厚い脂肪が邪剣の刃を遮る、ダメージは無いようだ・・・
トロールはそのまま腕を凪ぎ払った、反応の遅れたタドコロだったがなんとか剣で防ぐ。だが―――
「オォン!!」
壁に叩きつけられ激痛が走る。「痛スギィ!」
スカトロールが彼に迫った! 早く逃げなければ。
【火属性魔法LV1アツイ!!】
「どうしたの?」
火炎に炙られながらもトロールは顔色一つ変えない、だがこれは攻撃ではなく回避の為の魔法だ。
「パッソ・・・」
その隙にタドコロは距離を取った、さぁどうするか!?
彼1人でこいつの相手は辛い、勝てる見込みが無い。
トロールは様子を見ているようだ。じり、じりと時間だけが過ぎてゆく。
――やめたくなりますよ〜
途方に暮れたタドコロ、だが聞き覚えのある声が彼を救った。
「おっ待てい!!」
タドコロは即座にその声の主が分かった。
そして心底嫌そうに声の主を見た。
「びっくりした? エナちゃんが助けにきたわよ!」
――テメーかッ!!!!!
そこにいたのは槍を構えたパラディンのエナだった。
下手糞なミウラの声真似をした彼女にイラっとした、……カンノミホ。
エナは颯爽とタドコロの隣に駆けつけ槍を構えた。
その傍らエナの肩からヨスマーデが降り立ち、ヤメロッテに近寄る。
「いくらヤバコウビの方と言っても今回はやり過ぎです! あなたには王都で裁きを受けてもらいます」
「……本当にお転婆姫様ですね。あなたには死んでもらいます。」
「オトゥーサン…オトゥーサン…」
「タドコロ君まだ戦える? 私のサポートをしてよね」
「ファッ!? うるせぇ!俺はメスに指図されんのが嫌いなんだよ!。それと早く『写真のカレ』紹介しやがれ!」
「なっ……こんな時に何言ってんのよ!? 私の方が強いんだから言うこと聞きなさい!」
「殺されてえかお前よぉ!!」
「ゲコゲコ」
ヤメロッテを見たヨスマーデが心配そうに鳴いた。
『おぉ、…お前が帰ってきたか。ワシなら無事じゃ。目が見えんがのぅ。』
「ゲコ」
『お前に頼みがある……ワシの代わりにあの2人の戦いをしっかり目に焼き付けてくれ、ワシらの為に血を流してくれる人間の姿を……』
「ゲコ」
「タドコロ君が先に突っ込んで! 私はその隙に攻撃するから。」
「だまれ! カスが聞かねぇんだよ。」
「ゲコ」
『……』
メスにかまけてるのは時間の無駄なんで、じゃけんとっとと殺しましょうね~。
(中略)
そして、スカトロールはホモ特有の一撃により致命傷を負った。
奴のケツから腕を抜いてやった。(ケツの穴)キツかったすねー
トロールがオトゥーサンと呼んでた男が血相を変えて駆け寄る、まぁあのトロールが死んだら誰も守ってくれないしね。
「ミノル! お父さんを助けてくれ!早く起きろ」
「オトゥーサン…オトゥーサン」
トロールの腕が静かに『お父さん』を掴んだ。もうトロールは長くは無い、死ぬ前に温もりを感じたいのだろうか・・・。
「ミノル! なんだ離せ! 起きて戦え!」
「オトゥーサン、いい子でいるから許して。おねがいだからゆるして。」
『ミノル』の口から黒い液体が垂れ出す、体は黒く変色していき、ピキピキと嫌な音が聞こえた。
「がっ……。ミノル! 離せ!。このバカ者がっ!」
「バカ? なんで僕はバカなの?」
『ミノル』の体が硬直してゆく。『お父さん』の骨が砕け、内臓が潰される音がハッキリ聞こえた。
「がっ……ぁっ。。。」
「僕はバカじゃない…。ぼくは…ば か……じゃ。。。」
ダメみたいですね。
成し遂げたぜ!!
隣でエナが目をそらし泣いている。
(愚かな人間の最後を)見とけよ見とけよ〜。
ふとケツに突っ込んだ右手の臭いを嗅いでみた。
くさかった(小並感)。