冒険者タドコロ   作:じるすしもん

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The Legendary Beast

 まだ寝静まっているブタベンキの村、そこに轟音が響いた。魔法力が爆散する音だ。

 決着は?―――

 炎獄に飲み込まれ、その勢いのまま地面に叩きつけられた処刑人。

 

「おめー・・・なかなか。やるじゃねえか・・・」

 

 そう言い残し気を失った

 

――倒した。

 

「……そうだ! ミウラさんは!?」

「しゅる〜〜」

「ポッチャマ(小声)・・・」

 

 ヒデとミウラの姿を見つけた、ミウラは回復魔法をかけてもらいながら、なんとか立ち上がっている。

 フゥー↑ギリギリって感じっすね、ってそうだ。

 

「ローズ!ローズ!」

 

 やったぜ、早く出てこいよ〜

 ローズがひょっこりと出てきた、肩にはインム君も乗っている。

 そして、後ろには『アイツ』がいた。

 

「ヌッ! テメーはホリトール。オォン!アォン!何のつもりだ!」

 

 ホリトールの手には邪剣、身分不相応だから返して、どうぞ。

 

「……っすまんっ!タドコロ!」

「タドコロ、何があったか知らないけど、その人のお陰でミウラは助かったんだにゅ」

「そうだよ。上くさ草(そう)で助けてくれたんだゾ。許してやれよ(イケボ)」

「こいつ俺の純情な気持ちをもてあそびやがったんすよ〜、頭来ますよ〜」

「本当にすまん! 許してくれとは言わない。この邪剣で俺を斬ってくれても構わない」

「ウン、おかのした。……なんで俺を裏切ったんだよ。男に裏切られたの初めてっすよ〜」

「お前をつかまえれば《処刑人》が弟を自由の身にしてくれると言ったから……でも間違ってた」

 

 彼は心の底から謝っているようだ。

 

「ウン、じゃあ俺と寝てくれるなら許してやるよ」

「えっ? 俺ノンケなんだけど?」

「うるせぇ!?つべこべ言ってんじゃねえ!」

「よしケツ出せ〜」

「ぼくもしゅる〜」

「・・・・・・」

「ヴォー…」

「お前ら言うとおりなんねえからな!何だお前コラ!」

 

 一夜を共にすれば俺たちのわだかまりも溶けるだろう。これからは良好なホモ関係を築けそうだ。

 騒ぎを聞きつけた村人が俺たちのまわりでざわめいている。しょうがないね

 まだあたりは暗い、早くこの村から立ち去ったほうが吉だろう。

 

「ミウラさん早くここから逃げたほうが良くないすか?」

「おっ、そうだな」

「それなら良い場所がある。俺の秘密の場所だ」

「ほんとぉ?」

「フゥー↑じゃけんそこで盛りあいましょうね〜、お前もしてほしいだら?」

「・・・・・」

 

「人間の屑がこの野郎」

 

――誰だ!?

 

 村人の中から声が聞こえた、威圧感に溢れた声だ。嫌な汗が出る。

 

「てめぇら俺のおもちゃでいいんだ上等だろ」

 

 空手の胴着に袖を通した、筋肉質の大男が声の主だ。……良い男だなぁ。勃ってきちゃったよ。

 隣で立っていたミウラが震えている、どうしたんだ?。

 

「お前は……アキヨシ!?」

 

――(知ら)ないです

 

「よぉ、ミウラじゃねーか。アホは治ってねぇみたいだな」

「ヒ……ヒラノさんが言ってた奴だにょ」

 

――また知らない名前がで…出ましたよ。

 

「今からお前らに罰を与えっからなぁ、わかったかぁ」

 

     【エンジン全開!】

 

 『アキヨシ』の体から闘気とケツマンが爆音と共に吹き出した。

 風圧だけで飛ばされそうになる!こいつやべえ!

 

「本気でいいからかかってこい」

 

――こいつ……ジュンペイより強ぇ!!

 

 『アキヨシ』は間違いなく最強格だ、《処刑人》の敵(かたき)を取りに来たのか俺達と闘う気だ。やめたくなりますよ〜

 

「タドコロ。俺も戦うぞ」

「いや、ローズの事を頼む」

「……ああ。嬢ちゃんこっちに来な」

「・・・タドコロ」

「ヴォー…」

「大丈夫だって安心しろよ。」

 

 俺の魔法力はもう無い、ミウラの傷も深い。

 

――どうする?

 

「俺が用があんのは邪剣の使い手だけだ。他のザコは見逃してやる」

 

――ヌッ!? こいつ俺が目的なのか?。俺の事が好きなのか?

 

「邪剣『夜』」

 

 剣を抜いた。耳鳴りがキツイ。それほどまでの相手が……

 

「それが邪剣か…じゃあ右手でぇ、好きなように俺の顔面斬りかかってこい」

 

 余裕かましやがって、後でベッドで後悔させてやる!!

 

「オォン!!」

「タドコロ! 待て!(ゾ)」

 

 邪剣を振りかざし、高スピードで斬りかかる。丸腰じゃ剣に勝てない、はっきりわかんだね。

 渾身の一撃が炸裂! ……死んだかな?

 

「カスが効かねえんだよ!」

 

――ヌッ?

 

 アキヨシは邪剣の刀身を手掴みしている。血を滲ませながらもさらに力が込もってゆく。

 

――ファッ!?

 

 そのままアキヨシは力任せに、邪剣ごと俺を放り投げた。

 

「ンアッー!!」

 

 壁に叩きつけられ、骨が軋む。頭を強く打って吐きそうだ

 

「そんなんじゃ虫も殺せねぇぞお前、あの《処刑人》をぶっ倒した時みてぇに本気で来い」

 

――確かに、俺はあの時我を失って、封(・)印(・)さ(・)れ(・)し(・)力(・)を解放しかけた。愚かな事だ。

 

 クソッ!立てない

 

「うるせえ……」

「口答えすんじゃねぇ……お前怒らねぇと本気になれねぇのか?」

 

――まずい……感づきやがった。

 

「アキヨシィ! お前の相手はオレだゾ!!」

 

 ミウラだ! ミウラがアキヨシに襲いかかった。だが動きが鈍い。

 

「オルルァ!」

 

 アキヨシの拳がミウラの腹にめり込んだ。

 

「……ぅっ、があ。……おまえ、は――」

「相変わらずクソザコナメクジだなテメー、同じ迫真空手の使い手として情けないぜ」

「おまえぇ……わぁぁ」

 

 ミウラが血と涙を流しながら、しがみついた。

 

「おい、タドコロ。良く見ておけ。これが、腰抜けだ」

 

 ミウラの胸ぐらを掴む、ミウラは為されるがままになっている……何をする気だ!!

 

「オルルァ!オルルァ!オルルァ!オルルァ!」

 

 奴はミウラの顔を何度も殴った。

 

「オルァー!オルァー!」

 

 何度も

 

「オルァー!オルァー!オルァー!」

 

 何度も! 何度も!

 

「やめろ!! やめてくれ!」

「いいだろお前よぉ、成人の日だぞぉ」

「ぼくもしゅる〜」

 

 ヒデが炎を纏いながら突進してきた。捨て身の攻撃だ。

 

「カスが効かねえんだよ!」

 

 アキヨシはヒデに向かってミウラを投げつけた。いや『投げつけた』なんてものじゃない。凄まじい速さ!!

 2人がぶつかる音に思わず耳を塞ぎたくなる。

 

「……っ」

「痛いんだよぉぉ!!」

「チッ、楯突きやがって。つまんねぇ連中だぜ。」

 

――こ、殺してやる。

 

 この男を……殺してやる。

 

「なんだテメェ、反抗するんじゃねぇよ」

 

 体が熱い、血が沸騰するように熱い。

 全身を何かが駆けているようだ。

 手が震え、強く叫びたくなる。

 

「カスみてぇな連中だぜ」

 

―――……

―――いや、俺はタダノさんと約束したんだ。

―――まだだ。

 

 命を絞り、右腕に力を込める。不意打ちでも良い、コイツを倒す。

 

 そこに俺の目の前に誰かが来た。……誰だ!?

 

「タドコロ。・・・タドコロ」

 

 ローズだ、FFの蜜を持っている。

 

「馬鹿野郎!! 来るな! 早く…戻れ」

「…おぉ、お前勇気あんな。」

 

 アキヨシが来た。…クソッ最悪だ

 

「・・・・・・」

 

 早く逃げろ! 逃げてくれ。

 ローズが瓶から蜜を塗ろうとした。その時――

 

「オルルァー!!」

「ぅっ・・・!?」

 

 アキヨシの右足が、彼女の小さな体を蹴り上げた。

 

――あ……

 

「何様だと思ってんだオメーオルルァー!!」

「……ン」

「そうだよな?タドコロ。ってオイオイ」

 

 黒い、憎しみの覇気が溢れ出る。

 

「アアッー!ハァハァ、イキスギィ!イクゥ、イクイクゥ…ハァッ、ハァッ……」

 

       『ン゛ア゛ッー!!』

 

    《伝説の野獣》 復 活 !! 

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