――この国はどうなるんだ?
王都の王宮で彼は思った
ホモビ三騎将の1人、シンジョー。高い地位にありながら彼は怯え続けていた
王都の上空には黒い雲が渦巻き、日が射し込む時間が日に日に短くなる。
魔帝の魔力によって都民は一種の催眠状態となり、反旗をひるがえす者もいない。
すべては大英帝国インムランドの強大な力に対抗するため、・・・といえば聞こえが良いが・・・
――ここはまるで地獄だ。
彼が黄昏ていると声を掛けられた。
「ハハァ、シンジョー何してんの?」
「おーおー、どこ行ってたんだお前よー、魔帝に言うぞお前〜」
「マジメにホンダか。どうした?」
「ロマン様が俺たちホモビ三騎将を呼んでんだよ〜、トオノ王が逃げやがってよーおい」
「ハハァ…」
「何?(まさかエナ様か…)」
「ロマン様はお怒りになってるぞテメェ、コラ〜。俺の首もかかってんからよ。」
「魔帝がカンカンでいらっしゃるよ。謝って差し上げろ。」
「あのさ、俺、そろそろ……バイトなんだよね」
「おい待てねぇーなー」
――果たして国王は何処に消えたのか……
―
――
―――
そんな。
何かの間違いよ。
ミウラ君とヒデ君が国家反逆罪で殺されるなんて。
そしてタドコロ君も……
――でも何も出来ない
不可能だ。
「ゲコゲコ」
「うん、ありがとうヨスマーデ。……あの人達なら大丈夫な筈よ。」
エナは自責の念に駆られていた。
彼女がいるのはパイパイ山の中にある洞窟。昨日まで盗賊の住みかだったが、彼女とヨスマーデの力で追い出した。
「(ここからブタベンキまでは2時間はかかる)」
盗賊の住みかの中で貼り紙を見つけた時 既に太陽は高く昇っていた。
「(もう首を斬られている頃)」
彼女の目からとめどなく涙が溢れた。
悲しみだけではない、自分の無力が悔しいのだ。
――私に力さえあれば、みんなを助けれるのに…
ホモビ三騎将に怯える事も、魔帝ロマンの言いなりになる事も、兄さんを苦しめる事も、国を混乱させる事も…、自分より弱い者で憂さを晴らす事も…
――何もなかったのに……
盗賊を倒した時、彼女はまるで自分が最高のヒーローかのように思えた。
良い気分だった、国に蔓延る悪を退治したのだから。
でも、それは間違っていた。彼女は悪を倒したいのではなく、『悪を倒す自分』が欲しかっただけである。
――本当に倒さなければならない巨悪は魔帝なのに……
情けなくて、悔しくて、涙が止まらないのがまた情けなく思えて……
こんな時に『彼』がいてくれたら。
エナが『彼』に出会ったのはまだ子供の時、10年前だった。
勇者の天職を持ち、高い実力とその人間性は彼女の憧れだった。
だが7年前 ホモビへの出演が発覚し、将軍の座を奪われ国を追われた。
――タダノさん……
今思えばあの時ロマン・Gがわざとらしく『たまげた』のは彼の策だったのかもしれない。
「……っ……たもぉぉ――」
「ゲコ」
「い、今なんか聞こえた?」
「ぬわぁぁあぁぁん疲れたもぉぉぉぉおぉん」
「うー☆うー☆」
「ミウラ! もうすぐ着くぞ!」
「ゲコゲコ」
――彼女は洞窟から飛び出した。
* * *
「あーさっぱりした。やっぱりパラディンの回復魔法は凄いゾ」
「ミウラの不細工な面をまた拝めて嬉しいユ〜」
「なんでお前がこんな所にいるんだよ」
「・・・」
「まさか、タドコロ達が姫様と知り合いだったなんて」
「良かった……心配しんだから」
まったく〜、なんで逃げた先にあのエナとか言う女がいるんすかねぇ〜。
やめたくなりますよ〜
「タドコロそんな顔すんなよ、エナさんのおかげでまたイケメンに会えたんだから嬉しいダルルォ!」
「は?(威圧)」
「でもなんでこんな所にいるにゅ?」
「……私はある決心をしました」
「なんだよ〜もったいぶんなよ〜」
「私は王国を……魔帝を敵にまわして戦います!!」
「ファッ!?」
「ポッチャマ・・・」
「イ゛ッ!?」
「何!?」
「・・・」
「このままではこの国は破滅してしまいます!兄さんの呪いを解き、信用の置ける魔導官達と剣を取るつもりです。」
「ファッ!? 壮大な野望スギィ! そんなに女王様って呼ばれたいのかよドS女」
「あーもう一回言ってくれ」
「この人おかしい」
「なんてことを……」
「もちろんみんなといっしょにね」
「よくわかんないですね」
「そうだよ(便乗)」
「巻き込むのはやめちくり〜」
「だってみんなも追われる身でしょ?それに魔帝を倒せたら地位も約束してあげるわよ」
「あのさぁ、俺らは確かにお尋ね者だけど海外に逃げれば良いだけだし、勝手にやって勝手に死んで、どうぞ」
「そうだよ(便乗)」
「ほんとぉ?」
「逃げるってどこに逃げるのよ! 第一、今船使えないわよ。ホアァーに行ったんじゃないの!?」
「(知ら)ないです」
「そうだよ(便乗)」
「あ゛ぁ゛もうおしっこでちゃいそう!!」
「明後日にはココに兄さんが来るから、呪いを解いて王都に殴り込みよ!!」
「ファッ!? 実行早スギィ! ホモはせったち。お前ホモかぁ!?」
「そうだよ(便乗)」
「あぁ^〜出ちゃった〜」
「タドコロ君兄さんに会いたかったんでしょ? 丁度良いじゃない。カッコいいとこ見せてよ」
――……
「やりますねぇ」
「そうだよ(便乗)」
「お漏らししてごめんなさいユ〜」
「で、タドコロ君達はどうやって逃げ出せたの?その男の人の協力?」
「それはなぁ、いろいろあったんだよ」
「あっ、そうだ。タドコロ、落ち着いたら大切な話があるって言ったよな。話してくれよ(イケボ)」
「しゅる〜〜」
「・・・」
「ヴォー…」
「ウン、おかのした」
俺は一呼吸置き、
「……みんなが知っている通り、俺は邪剣の使い手だ。いや、邪剣に選ばれたと言った方が正しいか。
邪剣は暗黒の心で戦えば、剣に宿る野獣に魂を喰われてしまう。さっきはローズのおかげで助かったが……次は分からない。
俺が自我を保てているのは本当に奇跡だ。
もし、俺が邪剣に喰われて、みんなを――」
「おっ、待てい(江戸っ子)」
「な、……なんすか?」
「その続きは聞かないゾ!」
「ファッ!? 大切な話って言ったじゃないっすか。またアキヨシみたいな奴が出てきたらどうするんっすか!?」
「その時はその時ゾ、みんなお前が大好きなんだゾ。……悲しいこと言うなゾ。」
「ちくり〜」
「・・・タドコロ。・・・タドコロ」
「ヴォー…」
「ドロヘドロ!」
「タドコロ君……」
「……しょうがねぇな〜。どーなっても知らね〜ぞ」
「嬉しいダルルォ!ほら照れんなよ〜」
「アーボ…」
「タドコロっ!」
「ムーミンやろうお前」
「(・・・いいなぁ)」
「で、これからどうしますか?」
「どーしよーかゾ」
「つんつん」
「・・・」
エナが座りなおすと、神妙な顔で切り出した。
「……王都は今。大変な事になっているの」
「ウン」
「ゾ?」
「イッ!?」
「魔帝が、魔術で人々を洗脳して、血税を取り立て。みんな『苦しみ』って感情すら忘れてるの」
「シュー…」
「ポッチャマ」
「あついユ〜」
「このまま暗黒魔術の雲が国中に広がれば、……確かに世界一の国力になれるかもしれないけど。でもそれっておかしいわよ」
「へーそうなんだ」
「あーもう一回言ってくれ」
「へぷし!」
「魔帝の暴走は止まらないわ、私は彼を止めたいの。……だから力を貸して下さい。みんなの力が必要なの」
エナはまるで涙を隠すかのように深く頭を下げた。
「しょうがねぇな〜〜タダノさんに言われた事もあるし、一丁やったるか。」
「そうだよ(便乗)」
「うー☆うー☆」
「――……えっ?今あなた『タダノさん』って言ったね?」
「は? タダノさんの事気安く呼ばないで、どうぞ」
「・・・」
「え? そんなん関係ないでしょ」
「ヴォー…」
――王都に行きますよ〜行きますよ〜イクイク