――空気が張りつめてゆく
現在、俺達は闇の帝王『魔帝ロマン』との距離を一歩ずつ、確実に縮めている。もはやここまで来て何かを言う者もいない、圧だけがひしひしと伝わってきた。
狭い螺旋階段を抜け屋上に赴いた。
既に決意はついている。
雲だ。
まず最初に渦巻く暗黒の雲が目に入った。
「良く来たな、冒険者達よ」
「ロマン!!」
「あいつが…」
「魔帝ロマン!」
「うー☆うー☆」
屋上は広々としており、そこには魔帝と風しか存在しなかった。
じいさんだ、冷たい瞳に暗黒の力が滲む 年寄りだった。
「……お前達が此処に辿り着くのは 予想外であった」
「ま、多少はね」
「そうだよ」
「へぷし!」
エナが緊張の中で声を上げた。
「ロマン! あなたは長年王宮に仕えた身でした。出来れば戦いたくはありません。降伏しなさい。」
「ふふふ……ふははははは」
エナの勧告を一蹴するかのように笑い出した魔帝。
「何がおかしいのよ」
「ふふ…貴様は自分の立場が分かっておらぬようだな。」
「そうだよ(便乗)」
「4対1なのよ!」
「ふふふ…ワシには『魔法』がある。貴様ら程度がいくら揃おうとも障害にはならん。」
「フゥ〜↑、魔法なら俺も使えるっすよ〜」
「ぼくもしゅる〜」
「冒険者なら当たり前だよなぁ」
「……『禁断魔法』の事ね。」
「その通り。太古の時代に生み出され、圧倒的破壊を目的とした『禁断魔法』の前には貴様など無力だ」
「そんな……魔法はそんな事の為にある物じゃ無いわ!!」
「小娘の意見など関係無い。『禁断魔法』は存在する、その事実だけで十分だ。」
「おかしいのよ。そんな人を傷つける力を得ようってのがおかしいのよ。」
「そうだよ(便乗)。『禁断魔法』なんて使う奴は人間の屑だゾ。…ひでしね」
「そんな卑劣な魔法使う奴に頭きますよ〜。…ひでしね」
ひでしね
「イ゛ッ!!」
「『禁断魔法』は素晴らしいぞ。貴様はまだそれに気づいておらぬだけだ。」
「……そんなこと」
「ぼくも支持しゅる〜」
「貴様の両親は気づいておったがな…だが愚かだった。」
「……」
「ほんとぉ」
エナが握り拳を震えさせながらうつむいた。
「貴様の両親、前国王は『禁断魔法』の真髄に触れようとして命を落とした。お前にもその血が流れておるのだ、破壊を求める心がな。」
「…ちがうわ! 父さんと母さんは皆の為に――」
「違いなど無い。すべては破壊の為だ。」
彼女の握り拳にさらに力が入り、震えた声で
「……違うわ」
と言うのが精一杯のようであった。
「うー☆うー☆。ぼくはそう思わないにゅ〜」
「おっ魔帝!(ダブルミーニング) ヒデの話を聞いてやれよ(イケボ)」
「何やってんだよ魔帝、早く聞いてやれよ」
「……なんだ小僧」
「たしかに『禁断魔法』は始めは破壊のために作られたのかもしれないけど……結局魔法は使う人の使い方で決まると思うユ〜」
「当たり前だよなぁ」
「お前もそう思うだら?」
「えっ……ええ。そうね」
「詭弁だな…敗者の戯れ言にしか聞こえん。」
「『禁断魔法』は使いこなせれば…人助けもできるにゅ〜」
「そうだよ(便乗)」
「フゥ〜↑」
「くだらんな……実にくだらん見解だ。そんな事はあり得ん」
「だから、おじーさんが『禁断魔法』を破壊にしか使えないって言うのなら――」
「それはおじーさんが『弱い』って事なんだにゅ〜」
「いいゾ〜ヒデ!」
「フゥ〜↑気持ちいい」
「ヒデ君…」
よう言うた、それでこそ男や!
ヒデの言葉に魔帝の表情はより険しさを増し 雲がゴロゴロとうなり声をあげた。
「……なるほど、どうやらその身をもって教えてやらねばならぬようだな」
「おじさん、やめちくり〜(挑発)」
「ポッチャマ・・・」
「いいよ!こいよ!」
「来なさい!」
「思い知るがよい! 破壊の力、破滅の鍵、『禁断魔法』の恐ろしさを……」
【禁断魔法LV5コリド】
大気に亀裂が入り、おどろおどろしい魔力が魔帝を飲み込んだ。
「ほんとぉ?」
――ぼ く も し ゅ る 〜
【禁断魔法LV0ヒデビルメイヤメチクライ】
魔帝の頭上に暗黒の雷が落ち雷鳴を轟かせた。そして視覚化できる程膨大な闇のケツマンが収束し一つの禍々しい杖となった。
それに呼応してか、邪剣がガタガタと震えている。
「出゛会゛いたい!」
ヒデの体も悪魔化した。こちらも凄い闇の力だ。
「やりますねぇ」
「いいゾぉ〜」
「うそ…ヒデ君」
その時、ヒデが俺の右腕を掴んだ。
「あ゛ぁ゛、出りゅ〜」
「ファッ!?」
ヒデが力を込めると俺の右腕に紋章が浮かび上がった。
「何してんだよ〜ヒデ」
「野゛獣゛の力を少し目覚めさせたんだよぉぉぉ!!」
――は?
「野゛獣゛の力を正しいことにつかって欲しいんだよぉぉぉぉ!」
「封゛印゛するんじゃなくて共存して欲しいんだよぉぉぉぉ!」
「ぼ゛く゛にだってできるんだからタ゛ド゛コ゛ロ゛にもできるんだよぉぉぉぉぉ!」
「ヒデ!」
「イ゛ッ!?」
「ひでいきろ」
「ほ゛ん゛と゛ぉ?」
魔帝が杖を手にこちらを睨みつけた。
「まさか、貴様が『悪魔化』を使えるとはな」
魔法が杖を振りつけると闇の力が空を裂き魔法が放出された。
【火属性魔法LV6アーツェ】
ヒデが業火に向かって突進した。
「熱゛い゛にょ、ん゛も゛ぉ熱いのぉぉ!」
ヒデが体で魔法を受け止めた、その体に吸収されていく。
ヒデ曰く、ヒデの『禁断魔法』は攻撃力はほぼ皆無であるが 敵のどんな攻撃も受けきれる『壁』としての役割が強いそうだ。
魔帝は今魔法を放ったばかりだ。奴に息継ぎをさせるつもりは無い。
「で…出ますよ」
【封治覇(ぶっちば)】
魔帝目掛け疾風!疾走!
野獣の力を利用し、最高速で斬りかかった。
【闇属性魔法LV2クゴジルナ】
雲から魔帝の周囲に稲妻が落ち、雷の防御壁と化する!
――ヌッ!?
そのまま振り下ろす。
魔力が弾け、大地が揺れる、そして闇の力が霧散した。
防がれた!
魔帝が杖をこちらに向けた。
【水属性魔法LV6ジュボボ】
――避けれない!
だが間一髪でヒデが俺を突き飛ばした。
「や゛め゛ちくり〜」
魔法がヒデに直撃したが効果はないみたいだ。
「タドコロ君大丈夫?」
「冷えてるか〜?」
ミウラとエナがこちらに来た。
ヒデが魔帝に張りついて、ことごとく魔法を防いでいる。
「バッチェ大丈夫っすよ〜。俺今強くなってるんで」
「タドコロ君、アレやるわよ!」
「おかのした」
「そうだよ(便乗)」
――イキますよ〜イクイク
【聖炎獄十字崩】
【聖属性魔法LV4ホナニー】
闇を切り裂く光と火炎の突進技
【†悔い改めて†《真・聖炎獄十字崩》】
再び魔帝の周囲に魔法壁が生じた…だが、
聖なる炎獄は止(とど)まる事を知らない
闇の力を含んだ壁は布のように突き破られた。
そして十字炎が魔帝を飲み込みその悪を焼く
「がぁぁぁぁああああ!!!」
魔帝の黒い悲鳴が響いた、暗黒の雲が強く揺れる。
「やったぜ」
「そうだよ」
「いや、まだよ」
「そ゛う゛だ゛にょ」
ヒデの悪魔化、俺の野獣の力、確かにのんびりしている時間は無い。
魔帝がおぼつかない足で立ち上がろうとしている。
――悪いが手を緩めるつもりは無い
「も゛う゛やだぁぁあああ」
ヒデが相手の魔法を止める。
「チラチラチラチラ!」
ミウラが高速の拳を繰り出す
「【聖属性魔法LV3アポロン】!」
エナが聖魔法で攻撃する。スタミナ切れは起こしてない。
「ちょっと刃あたんよ〜〜」
邪剣が暗黒を切り裂く!!
――俺達は強い!悪を滅ぼす程に
「……ぁぁああ」
魔帝は必死に魔法を繰り出すがことごとくヒデに吸収されてしまう。なんかちょっと可哀想?可哀想じゃない?
「タドコロ! オレたちもアレをやるゾ!」
「おかのした」
「え?何のこと?」
イキますよ〜イクイク
終わらせようぜはやく
【迫真一刀流《保羅(ほら)》】
「ホラホラ」
「ホラ、嬉しいダルルォ!」
「っぐぎやぁぁぁ!!!!」
闇の帝王の断末魔が波動となり都に響いた。