――大聖堂前
イカセ隊の数ももう少ない、終わりが見えてきた
トオノ達に余裕が出てきた、だが余裕と共にある考えが生じ 胸中穏やかではなかった。
あの魔帝にタドコロ達は勝てるのだろうか?
そんな疑問が駆け巡った
が……
「おいお前なんや!」
「こ…これは!?」
「・・・・・・」
「ヴォー…」
「ニャ?」
突如イカセ隊が倒れ、その体が砂となった。
「国王! これは…?」
「術者が倒れたのです!。ターミナルさん!。タドコロさん達が魔帝を倒したのです!」
「馬鹿野郎お前タドコロ達は勝ったぞ!」
「いや、そんな」
「タドコロォ」
「タ〜ラタラタタ、タ〜タラッタタタタタ、タ〜タラッタタタタタタ♪」
「もう、すべて倒しつくしちゃっ…しまったんだよ。」
「ン゛ーッ!マ゛ッ!」
「流石です…タドコロ様。」
「ゲコー」
「ゲローン」
「ショウリショウリ」
「・・・タドコロ・・」
「ヴォー…」
「ニャーゴ」
皆は勝利の喜びに酔いしれた。成し遂げたぜ!
王都では、都民達が徐々に目を覚まし始めていた。
――勝ったんだ。
自分たちの力で、勝利を、未来を掴みとったんだ……
―
――
―――
「ぬわぁぁあぁぁん疲れたもぉぉぉぉおぉん」
「疲れたもーーん。……ふふっ。」
「あーさっぱりした。」
「なあ^〜」
魔帝を倒した4人、後は帰るだけだ。
「ミウラさん、夜中腹減んないすか?」
「腹へったなぁ」
「すよねぇ?」
「うん」
「この辺にぃ、美味いラーメン屋の屋台、来てるらしいっすよ。」
「あっ、そうか」
「行きませんか?」
「行きましょーよ」
「じゃけん夜行きましょうね〜」
「おっそうだな」
タドコロとミウラが無駄話をしている時、エナはロマンの亡骸を強く見つめた
ロマンはホンダ同様 闇の力の代償により体は溶け、跡形も無い様子だった。
「……」
「おっ、大丈夫か?。気にすんなよ…気にすんなよ…」
「そうだよ」
「あれ、おかしいね跡形も無いね」
エナは感じていた。
闇の力が激しく渦巻いているのを…
魔帝は倒した、だが上空の暗黒の雲は力を増し 妖しく蠢いている。
そして暗黒の雲が徐々に地上へと迫って来ている…
――おかしいわ…?
「フゥ〜↑俺たち王都の英雄だから 野郎尻掘り放題じゃないっすか?」
「あぁ、いいゾ〜」
「ぼくもしゅる〜」
「エナ、お前もしてほしいだら?」
「……」
「嬉しいダルルォ?」
「この人おかしい…」
その時、大地が揺れた!
そして……
「そ…そんな」
「ファッ!?ウーン」
「ポッチャマ・・・」
「やだ!ねぇちょっとやだ!」
王宮の上空の雲、そこから巨大な魔神が 大地に向かって上半身を乗り出していた。
王宮と等しい大きさの魔神、膨大な闇の力……
「うそ……秘術が完成してたなんて…」
【古代禁断魔法LV7ビウコスオ】
――魔帝は死の直前、自らの命と引き換えに秘術を発動させたのだ。
――すべてを飲み込み、破滅させる秘術を…
そして、ゆっくりと 暗黒の雲が地表を闇の力で押し潰そうと迫る。
――すべての人間を葬ろうと…
タドコロ達は呆然と立ち尽くした。何ができる?―――何もできない。
――圧倒的破壊の前では…
「みんな!早く中へ!」
エナが叫んだ だがもう遅い。
上空から闇の稲妻がタドコロに放たれた。
「ファッ!? 邪剣『夜』!」
【魔宵音】
威力はケタ違いだった。
「オ゛ォン!ア゛ォン!!」
稲妻はいとも簡単に魔方陣を破り、タドコロに直撃した。
「タっ、タドコロ君!」
「ゾ!」
「やだぁぁぁあああ!」
3人がタドコロに駆け寄り介抱する。――が
「うそ…。息をしてないわ」
「うそつけ、絶対生きてるゾ」
「ねえニコ入んない!」
「は…早く中で治療しましょ!急いで!」
「おぁーいいゾ〜」
「アーボ…」
が、再び雷鳴が轟き 彼らの退路を破壊した。
「そ、そんな…」
「うそだよ…」
「スタ丼・・・」
3人は黙って空を見上げる事しか出来なかった。
いや、何もできなかったのは3人だけでは無い。
魔神の姿は大聖堂からでも捉える事は出来た。
「まずいですよ!」
「やはりヤバイ!」
「やめてくれよ…」
「無駄……だよ」
「魔神?」
「もう勘弁してくれ」
「モゥムリ〜」
「そんな…こんな事が」
「ゲロゲロ」
「…ゲコ」
「ウソウソ」
「・・・タドコロ」
「ヴォー…」
「…ニャ」
そして大聖堂の上空で、暗黒の雲が闇を唸らせた。
瞬間雷鳴が轟き、大聖堂の屋根を突き抜け、トオノの存在するクリスタルに攻撃した。
「アーン!」
トオノは弾き飛ばされ、聖なる力が消えてゆく…
「国王! ご無事ですか!?」
「あぁ、大丈夫です。それよりも…クリスタルにヒビが・・・」
国の象徴とも言える リザード大聖堂のクリスタルがひび割れ、黒い力が疼いていた。
「…そんな。聖なる力の加護が…」
国を覆っていた『世界の歌声』の加護は消え、闇が一層力を増した。
しかしもう国民を操る事も必要無い…
ただ滅ぼすだけなのだから。
暗黒は刻一刻とこちらへ迫っている。魔神の高笑いが王都にこだました。
――皆、言葉を失った
絶望的状況、すべての希望は失われた。待っているのは死だけだ。
言葉を発しようとする者は誰もいなかった。
――……唯1人を除いて
「・・・タドコロ。・・・タドコロ」
彼女はタドコロを信じていた。複雑な理由は無い、ただ彼が大好きで また会いたいから。
――だから信じていた
「・・・タドコロ・・タドコロ」
彼女は祈るようにインム君を抱きしめた。
健気に、優しく、『想い』を込めて
――――タドコロ・・・タドコロ・・・
その時、インム君の右腕がゆっくりと そして静かにつきあげられた。
右腕が掲げられると、溢れんばかりの光が広がった。
「こ、これはムンイノルヨ!!」
「国王! それは何なのですか?」
[《聖属性極魔法LV6ムンイノルヨ》
人々の『想い』を聖なる力に変える極魔法。『想い』が強い程威力を増す。]
トオノは即座に理解できた、この魔法が照り輝く希望なのだと。
「皆さん! 光はまだ消えてません!最後にもう一度力を貸して下さい」
まだ望みはある。
「タドコロさん達への『想い』を胸に込めて下さい。それを僕が『世界の歌声』で届けます」
何よりも強い光だ。
「ドロヘドロ!」
「わかりました。」
「はい。」
「ええこと言うた!」
「ハハハハ」
「ア゛ッ!」
「届けましょう、私達の想いを」
「ゲロー↑!」
「ゲッコゲッコ」
「オモイオモイ」
「タドコロ・・・」
「ヴ゛ォー…」
皆は目を閉じ、タドコロ達への言葉、気持ちを込めた。
それをトオノが『世界の歌声』で彼らに届ける。
光の力は大聖堂を包み、…王都を飲み込み、国中に広がった。
――この国を、タドコロさん達を助けて下さい。皆さんが強く想えば必ず助けられます。
祈りを込めた歌声が国中に響き渡った。
―――
「お姉ちゃん! タドコロさん達が!」
「…私にも、聞こえたわ。いっしょに祈りましょう」
「おい。にゃんにゃんにゃん」
「金!暴力!SEX!」
「ウェアッ!」
「今度は俺がタドコロさん達を助ける番だ!」
「パイパイパーイ チーッチッチッチッ」
『タドコロよ……』
「お兄さん許して、お兄さん許して〜」
***
込められた『想い』が聖なる力としてタドコロに届けられる。
流星の輝きのような光がタドコロの体、心に降り注いだ。
――ウーン。
「タドコロさん起きて!!」
――この声は…ヤンホヌ君?
「あなた達への感謝を忘れた事は一時たりともありません」
――じゃあ5万オォン返せ
「乙ゥ〜〜」
――ドラゴン君オッスオッス。
「金!暴力!SEX!」
――は?(威圧)
「タドコロさん!マヒロが君を守っててくれるよ!」
――(必要)ないです
「気持ちんぽ〜」
――誰だよ(ピネガキ)
『お前は強い輝きを持った若者じゃ』
――ヌッ!黒イボ!
「太い太い太ぉ〜い」
――生きてたのか(困惑)
タドコロ達を想い慕う様々な声が届けられた。
聖なる輝きはタドコロを優しく包み込んだ。
想い、願い、祈りが彼に力を与える。
「オッスお願いしま〜す。」
眩いまでの聖なる光を放ちながらタドコロは立ち上がった。
「タドコロ君!」
「いいゾ〜コレ」
「うー☆うー☆」
「ま、多少はね?」
タドコロの右手には剣が握られていた。
光輝く剣が……
邪剣『夜』ではない。
――聖剣『暁』
聖剣がかつての輝きを取り戻し、希望の光を放っていた。
「見とけよ見とけよ〜」
タドコロが一筋の光となり、魔神目掛けて飛び上がった。
皆の願いを乗せて
危機を察した魔神がすかさず魔法を繰り出す。
だが光が闇の雷を弾き、タドコロはさらに勢いを増す。
――タドコロ早くしろ〜
――タドコロ倒しちくり〜
――自分を信じて!
――ターミナルさん!いいっすねぇ^〜
――ナイスゥ!
――お前のチンコに火を灯そう。
――ホモの兄ちゃん…勝つんだろ?
――クォラお前〜!
――タドコロ君大丈夫か?
――マ゜ッ!
――暗黒の雷に気をつけて下さい!
――ゲロー
――ゲコゲコ
――ガンバレガンバレ
――ニャーン
――タドコロさん、あと一息だよ!
――あなたならできます!
――イナリのおかげやん!
――お〜いい格好だぜぇ!
――金!暴力!SEX!
――乙ゥ〜
――マヒロを信じて!
――ちゃんちゃちゃちゃんちゃん!
――『魔神など倒してしまえ!』
――すごくすてき〜
――ハハァ
――救ってくれたらしゃぶってあげるよ
――オナシャス!
イキますよ〜イクイク
――ケツ筋の ビートを刻め!!
【聖剣『暁』―淫夢之一太刀】
渾身の一撃!
仲間達の想い、国民の想いを1つにした、巨大な光の刃が魔神を2つに斬り裂いた。
魔神はうめき声をあげながら崩れていく、闇の力が煙となり空へと昇っていった。
恐怖の時代が……
闇による支配が……
暗黒の力が……
風に流されてゆく
そして暗黒の雲が消え失せ、そこから空が顔を覗かせた。
だが空は暗い。夜なのだろうか。
――今は夜か…
空を見ながら上空でタドコロは思った。
――いや…
東の空からうっすらと赤い陽が顔を出そうとしている。
――夜ではなく『暁』だ
長かった夜が終わり、温かい太陽の光が王都を包もうとしていた。
王都編 ―完―