――みんなもう出航した頃かな…
戴冠式を前に女王エナはヨスマーデを撫でながら浮かない顔をしていた。
「あら、エナちゃんその格好も綺麗だわねん」
「あっ、ピンキイさん」
「あの子達の事が気になるの?、それとも冒険が恋しいの?」
「……両方。かな…」
「あなたは冒険者気質だものねぇ…良い仲間に出会えてよかったわねん」
「…えぇ、本当に。……みんなが私を成長させてくれました」
「羨ましいわねぇん」
「…みんなに出会って私思ったんです」
「何を?」
「『仲間』って…お互いを心の底から尊敬し合える存在、大切に思える存在だって」
「うん」
「彼らに出会えて……本当に良かった…」
「…あら泣いちゃだめよ、お化粧が落ちちゃうわ」
「…ごめん なさい。……でも」
「涙が止まらないならしゃぶってあげるよ」
「止まりました」
―
――
―――
〜〜〜港町ホアァー
「ちゃんちゃんちゃん」
「出航の時間はもう間もなく、急げとダディーは言っております」
「あせんなよぉ〜まあ見とけよ見とけよ〜」
「そうだよ」
「うー☆うー☆」
【聖属性魔法LV1ワンワン】
光の球が海に向かって放たれた。
「タドコロすごいゾ!聖魔法を修得しちゃったのかゾ」
「ワーオ!」
俺のために、タダノさんが王宮に置いていったのは聖属性魔法の魔球だった。
俺はこれをタダノさんからのメッセージと受け取った。
――邪剣の闇を振り払い、聖なる力を取り戻せ
タダノさんがそう言っているように思える。
1週間前、みんなの力で輝きに溢れた聖剣を手にした。だが魔神を倒し、魔法が解けるとまた邪剣の姿と戻っていた。
これもうどのくらい時間がかかるかわかんねぇな
「た、ターミナルさん!! 船に乗って下さい。」
トオノだ、なぜか俺の事を『ターミナルさん』と呼ぶ。頭来ますよ〜
「・・・・・・」
「ヴォー…」
「ローズ、お前も海楽しみだら? ほらいくど〜」
俺、ミウラ、ヒデ、トオノ、ローズ、そしてもう1人の6人は船で海を渡る事になった。
魔帝の恐怖は消えた。だが次の脅威は大英帝国だ。
俺達の王国と大英帝国は不可侵協定を結んでおり、その期限が2年後に切れるらしい(よく知らないです)。
それまでに《あるもの》を探し出すのが目的だ。
その為に港町にある国内唯一の魔法船(定員6人)に俺達が乗り込む事になった。
ちなみにトオノが乗るのは『世界の歌声』で魔物の襲撃を防ぐためだってさ。
俺が船に乗るとミウラがいそいそと動き回っている。
「いつでも行けるゾ〜」
準備は出来ているらしい、さあ出発だ。
オッスお願いしま〜す。
港に見送りの人達が沢山来ている、俺は手を振りヒデはケツを振った。
船の揺れがにわかに大きくなって波を体で感じる。
潮風が…き、きもちいい
――タドコロ達を乗せた船は穏やかな海を行く
海鳥達が出航を祝うかのように鳴いて
彼の目は海の先へと向けられている。
「まあ大海近いからね、しょうがないね」
彼は待ち受ける『冒険』に心を奪われていた。
まだ知らぬ土地、人々がお前を待っている。
「オッスお願いしま〜す」
――タドコロの冒険はまだまだ終わらない
―完―
よんでくれてありがとナス