「タドコロさんに是非見てもらいたい物があるんです」
少年、いや少女が本をこちらへ持ってくる。俺は死んだ顔をしているのだろうか。
ここはかつて俺が想いを寄せた少年の部屋、夢見た場所。今となってはただのボロ宿の一室だ。
少女がくたびれた本を開いて見せる、バビロン34と書かれている。
「ほら、ここの伝説の野獣を見て下さい。腕の紋章がタドコロさんの剣のそれとそっくりです」
…………
「魔法により昏睡レイプを繰り返す、ソープを好む色欲の塊、人間の屑ステロイドハゲ、イボが最高に汚ない。その名もセンパイ、野獣センパイです」
口に出してて恥ずかしくないの?
「この野獣はタドコロさんと何か関係があるんですか?」
「(知ら)ないです」
少女が関心無さそうに「そう」と呟いた、頭来ますよ〜。
少女が「あの、」と声を掛ける、俺が顔を向けると顔を赤くしながら目をそらす。ヴォェッ。キモスギィ!!
「……その、私が……私が大きくなったら、タドコロさんといっしょに冒険させてもらえませんか?」
風俗にでも行って、どうぞ。
少女が俺の目を見た。
「………私、タドコロさんと一緒にいたいんです、お嫁に貰って下さい!!」
メスと腕を組み幸せそうな俺を想像してしまった。アーハキソ。
たまらず俺は部屋から飛び出した、メスなんていらねーー! フゥン!フォォン!
「ちょっと! タドコロさん!」
俺は振り返らない。
そのまま宿からも飛び出した。
アーキソさんが俺に向かって何かを言っている、俺は「いらねー!!」「いらねー!!」とだけ叫んだ。
夜の街にさそわれて……
「ファファファファファファファファ(高速)」
俺は暴走列車だ。
「ファファファファファファファファ(加速)」
夜の街を走る。
「おっ、待てい(江戸っ子)」
「うー☆うー☆」
バカ二人が追い付いてきた。
「うまいラーメン屋うまいラーメン屋うまいラーメン屋うまいラーメン屋」
俺は呪文のように繰り返した。
!!!
急ブレーキを掛け立ち止まった。
「こ↑こ↓」
うまいラーメン屋の屋台を発見。
「腹へったなぁ〜」
「ラーメン食べたいにょ」
忘れよう、嫌な事はラーメンでも食べて忘れようじゃないか、俺達には5万オォンがある。たしかポケットに……
ポケットをまさぐったが――
……!!?????
無い、どうやら宿に忘れてきたみたいだ。
「さっきのタドコロカッコ良かったゾ〜あの人達の為に5万オォンを置いてくなんて」
――は?
「アーキソさんが『お金忘れてますよ!』って言ったのに『いらねー!!』って返すなんて、……男の中の男だゾ」
「うー☆うー☆」
オオォン(驚愕)!!
――(俺って)粋スギィ!!
「僕たちはお金よりももっと大切なものを手に入れたにょ。うー☆うー☆」
俺はヒデの腹に思いっきりヒザ蹴りをいれた。
「ヴォェッ!! 痛いんだよぉ!!」
その時!!
「はいよ、うまいラーメン3丁お待ち」
ラーメン屋の店主がこちらに向かって声を掛けた。
ラーメン屋の屋台の端に男が座っている、見覚えのあるサングラスだ。こちらを向いて言った。
「なんも言わんでもええ、分かっとるわ」
俺達は勢い良く席に座ると我先にとうまいラーメンをすすった。
「はは、ラーメンは逃げへんで」
魚介系の豚骨スープ、出汁がしっかり利いている、うまい!
すべての疲れをぶっ飛ばす極上のラーメンだ、今日の地獄の1日を忘れてしまうほど。
「カアリさんの分のうまいラーメンあがりぃ!」
「イーナーリ、イーナーリ」
耳を疑う。え?
「特製イナリラーメン、名付けてうまいラーメンおまたせ!」
異臭の漂う湖、ウンコまみれの水面
「「「ヴォェッッ!」」」
俺達3人は同時に吐き出した。
イナリ編、完。