風がきもてぃ〜
俺達3人は港町ホアァーに向かって歩く、穏やかな朝だなぁー
人とすれ違う頻度が高くなってきた。
「この道は魔物が滅多に出ないから気が楽だゾ〜」
「うー☆うー☆」
広い道だなぁ。港町は北地区と南地区に別れてるらしい(両方海に面している)、楽しみだなぁ。
?、道の脇に人だかりが出来ている。
「さぁよってらっしゃい見てらっしゃい」
「露店だゾ!珍しいゾ、見ていくゾ」
「僕もしゅる〜」
3人は店へ向かった。
テントの隣に敷物が敷かれ、店主の後ろに品物が無造作に置かれている。
品物の立て札を見ながらミウラが言う。
「くさ草(そう)がいくつか欲しいぞ〜」
「回復ならヒデがいるじゃないスか」
「白地図さえあれば次の町まで迷わないゾ〜」
「コオトまでは一本道だし、迷いそうになるのはミウラさんが近道したがるからじゃないスか」
「おっ、そうだな」
「インムの杖が1000オォンで売ってるにょ、お得だにょ。僕の魔法力を上げる為にかっちくり〜」
「安スギィ! たぶん偽物じゃん。アゼルバイジャン」
「セミアニキなら魔物に会わずに冒険できるにょ、はやく700オォンよこすにょ!」
「(レベルがあがら)ないです」
俺は使えるものがないか見る。
フケツの剣、盾ってフケツシリーズ一式揃ってんのか、デカマラの靴が少し欲しいな……4000オォンか、無理だな。魔力切れに備えて天然ガマンジルを小瓶で2つ欲しいな。合計600オォン。……!?
俺は目を見開いた、魔球だ、魔法球体が売ってるじゃないか。
そこにははっきりと回復魔法LV1LV2と書かれていた。ガンホルとガンホリンだ。雷、風、水属性の魔法球体もある。
俺達の所持金はカアリから貰ったタバコ代の3000オォン。
ガンホルは20000、ガンホリンは50000オォンだ。魔球はやはり高い。
基本的に、人間の使える魔法は天職によって決まる、だが例外もある。
それは魔導師の特殊な技法により創られた直径3㎝ほどの球体、魔法球体を飲み込むという方法だ。 後はその魔法を修得出来るほどのケツマンと適性さえあればいいそれだけの話だ。リスクは無い。
「ミウラさん! ガンホルが欲しいんスけど」
なにか手が無いか、ミウラに話しかける。
するとミウラが黙って店主の前に立った。まけてもらうつもりだな、アイツならごり押しで成功しそうだ。
ミウラが初めて頼もしく思えた。
だがミウラの行動は斜め上をいった。
「露店での魔球の売買は禁止されてるゾ、そんな事しちゃだめだゾ」
どうやらミウラのアホ加減を見誤ったようだ。
テントからぞろぞろと男達が出てくる。そりゃそうなるわ。俺はミウラとは他人のフリをする決意をした。3人がミウラの前に立つ
「おいちょっとこいつどうする?」
「おいやっちまおうぜ!お前!」
「やっちまうか?」
「やっちゃいますか?」
「やっちゃいましょうよ!」
「その為の右手?」
「右手」
「あとその為の拳?」
「拳?」
スベったな、俺は確信した。
3人組はミウラの回りをぐるぐるとまわってる。妙に耳触りの良いセリフが聞こえた。
「金!暴力!SEX!」
「金!暴力!SEX!」
……やめてくれよ(絶望)
* * *
こうなってしまったのもすべてミウラのアホのせいだ。
「今から〜、君達にはこのイニギの大洞窟に入ってもらいま〜す」
「楽しそうだね〜」
あの3人組がこちらを見て笑ってる。
「お前もう絶対助からねぇぜ〜」
草木の無い禿げた地面から黒い穴が不気味に口を開いている。大きな穴だ。
「クボタイニンさんっ、こいつらにイニギの大洞窟の恐ろしさを教えてやって下さいよ」
「速攻おしおきかよお前〜……」
どうやらこの隣にいるクボタイニンと呼ばれる男が親玉のようだ。乳首が肥大化している、そこのインパクトが強すぎる。
俺はミウラの方を見る、ヤツはアホ面で遠くを見ている。すべてお前のせいだ。俺達が捕まって身動きが取れないのも、これから穴に突き落とされるのも。
――あれからどうなったのか説明しよう。
結論を言うと俺達は抵抗むなしく捕まった。ミウラは「閣下モードは1日開けないと使えない、タドコロ助けてゾ!」と俺にしがみついてきた。
逃げる事を選択したかったがミウラがしがみついて離れない。ヒデも「僕もしゅる〜」、と俺に抱きついた。
その隙にあの3人組は風属性魔法LV3アバレンナヨを生成、3人の力を一つにした上級魔法だ。俺達は束縛されてしまった。って抵抗できてないじゃないか!
クボタイニンが大洞窟の説明をしている、所々噛んでいる。
この大洞窟は古代都市キモティカの名残で中には数多くの魔物が潜み、ドラゴンが住んでいるとの言い伝えもある。いまだに数多くの宝が眠っているらしい
「ほんとぉ」
ヒデが目を輝かせた。
「金金って言うんじゃねぇよガキのくせによオォン!」
まったくだ。
俺達3人は穴の前まで連れてこられた、底が見えない、落ちて死ぬんじゃないか?
「落ちろ!」
クボタイニンが3人まとめて突き落とした。
「ヌッ!」
「ポッチャマ・・・」
「ヤだぁぁぁぁ」
3人の声が暗闇に消えてゆく。
「……落ちたな(確信)」
―――
――
―
穴は蛇の体のように畝っており俺達は何度も壁にぶつかった。痛スギィ………そして。
「オォン!!」
「オッチャマ・・・」
「痛いんだよぉ!」
体が止まった。とうとう穴の底まで辿り着いたようだ。
埃はらいながら立ち上がる、ミウラやヒデの姿を認識できる程度には明るい。おそらくこの洞窟のケツマンパワーの影響だろう。俺達が通ってきた天井の穴を見つめながら言う。
「ケガは無いスかぁ?」
「なんとか、だゾ。オレのせいでこんな事になってすまないゾ」
「うー☆うー☆」
「大丈夫だって安心しろよぉ」
今一番重要なのはこの洞窟から脱出する方法である、ミウラの言う通り白地図を買っておけば良かった……。
「洞窟を進んで脱出するしか無いにょ」
天井の穴には届かない。相当の覚悟が必要だがそれしか無い。
「ホラいくどー」
出発、悩んでる暇は無い
推測だがこの洞窟は小さな小部屋のようなものが多数存在し、部屋同士が細い通路に繋がれている構造のようだ。
俺、ヒデ、ミウラの順に歩く。俺は天井を見ながら名案を模索する。
「オォン!?」
なにかにつまづいた、大きい、魔物か?体制を崩しながらも俺はその物体を見た。何だ?
「女性だ! 女性が気絶しているゾ!」
「こいつも高く売れそうな女だにょ」
「ウーン(昏睡)」
俺は何かに呪われているのだろうか?