宇宙人ジョーンズ︰幻想郷調査結果報告書《完結》 作:ココナッツ・アナコンダ
宇宙人ジョーンズ︰家政夫
──この惑星の『薬』と呼ばれる毒物には、甚だ感服させられる。
「それではお薬出しておきますね?」
「あの、永琳先生……ぎっくり腰って薬で治るんモンなんですかい?」
「私の調合した薬でしたら治りますよ。ただ当然、2, 3日の安静は必要になりますけれど」
「そ、そうですか! 助かります!」
「それが私の仕事ですから──はい。お薬の方、こちらになります」
「ありがとうございやす! ……ぁぁ〜、こいつぁ、どう使うんで?」
「患部に湿布を貼り付けるときに接着面に塗りつけて使用してください。湿布は市販のもので構いませんので」
「分かりやした」
──人体そのものに悪影響を与えない毒物を投与し、活性や殺菌、また有害物質の消毒を促している。
「すみません、ありがとうございました。ほら、しっかり捕まりな?」
「へへ、すまねぇなぁ」
「そいつは言わない約束だよ? それでは失礼します」
「お大事に」
──『毒をもって毒を制す』という言葉の通り、原始的ではあるが実に有効的な手段だ。
「さて、と……うどんげ! ちょっと来てちょうだい!」
「はぁーい! ──どうなさいました師匠?」
「今日の予約客たちはまだ残っていたかしら?」
「いえ、それでしたら先程の夫婦で最後となっています」
「そう──なら、急患が来なければ時間は空いてるわけか……」
「そうですね」
「じゃあ、最近忙しくて手を付けられなかった新薬の開発でもしましょうか。うどんげ、手伝いなさい」
「はい!──あっ、ジョーンズさん。残りの掃除は任せてもいいですか?」
「大丈夫デス」
「すみません、お願いします」
「うどんげ、行くわよ」
「はい、すぐ行きます!」
──ただ…。
「あの……師匠? 私はお手伝いのはずでは?」
「そうね。確かにそうお願いしたわ」
「では何故、私は椅子に縛られているのでしょうか?」
「薬の形は出来ていたの。ただ薬品の場合、それで完成とはいかないじゃない? だから誰かで実け──試飲して正しい効果が出るかどうか確かめてもらわないといけなかったのよ」
「ああ! 今、実験って言った! やっぱり私をモルモットにするつもりなんですね!?」
「やーね、うどんげ。流石にウサギをモルモットに変える薬なんて作ってないわよ」
「違います! そういうことじゃなくて……それに私、このあと友人と飲みに行く約束があるから薬が残ってると困るんですぅ!!」
「なら安心なさい。今回試すのは精力剤だから」
「どこに安心する要素があるんですか!? お酒入るって言ったじゃないですか!!」
「と言っても、性的な方面よりも活力を滾らせる方面に重きをおいたから、発情するなんてことはないと思うわ」
「あっ、そういうことですか。なんだ、良かった……」
「多分ね」
「へ?」
「言ったでしょ? 正しい効果かどうか確かめる必要があるって」
「…………いやぁあぁぁぁ────!!!!」
「フフフ、どんな効果が出たか……ちゃ〜んと教えなさいよ?」
──この惑星の、薬を作る『薬剤師』と呼ばれる存在は……。
「……!?」
「小さい缶に的当てっていうのも面白いわね──コーヒー、飲みすぎよ? 控えなさい」
「……イヤダ」
「そう──ねぇ、ジョーンズ? 実はまだ試してない新薬、残ってるのよねぇ……。しかも、
「控エマス」
「それがいいわ。何せ──身体を壊されると私も困るもの……ね?」
「……」
──容赦がない。
ドラマとかでやってるウサギなんかでの投薬実験って本当にやってるんですかね?
それとこれはジョーンズさんが永琳さんを見て思った主観の意見ですので、薬剤師の方を悪く言うつもりがあるわけではございません。
一応、ジョーンズさんは宇宙人だと隠しているようですが……バレてましたね。流石えーりんさんです。