聖秀高校に天才入れてみた   作:ホタル隊長

3 / 4
忘れた頃に投稿



3話

俺のホームランの後は特に描写する必要もなく攻撃が終わり表の守備が始まる。

 

 

投手は1人で勝ってやる宣言の茂野、捕手に女子ソフトボール部の清水。この時点で既に1人でやっているわけではないのだが、これを言ったらいけない気がするので黙っておくことにする。

 

 

 

茂野は仮にも高校野球界の絶対王者である、海堂高校出身であるだけあって表の守備を見事3人で終わらせた。

 

簡単に言ってはいるが正直かなり驚いている、圧倒的な球速に……だ。目測ではあるがおそらく150キロはでている筈だ。

1人で試合に勝つ、なんて言える実力は持っているのだと理解できる、………だがあの球速、それにミットに収まる時の凄まじい音、衝撃はとてつもないものである事は理解できる。

 

故にあのボールを受ける清水は一球毎にどこか苦しそうな痛みに耐える顔をしているが、茂野の球に驚いているのと、清水がキャッチャーマスクをしていることによって気づいた奴はいない。とてもじゃないが9回まではもたない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2回の攻撃は3人であっさり終わり3回へ、ここも茂野は3人で抑え再び攻撃を迎えた。

 

 

「おっしゃぁぁ!!」

 

気合い充分、打席に向かう茂野だが仮にも相手は強豪校、茂野が投手としての圧倒的な才能、がっしりとした体格、初回のホームラン、相手にしても勝機はないと判断したのか対策を取ってきた

 

 

圧倒的な力を持ち勝負をしても勝ち目がない打者を歩かせる行為………敬遠である。

 

確かに言っては悪いが相手の投手の球では茂野と勝負をしても勝ち目はない、良くて長打。それくらい力の差は歴然だ。

 

 

続く清水は相手投手の制球が定まらず四球で出塁、藤井は三振に倒れ打席が回ってくる。

初打席こそホームランを打ったが茂野には及ばないと判断したのか俺に対しては敬遠はしてこない、真剣勝負といったところだろう。

 

 

 

「松井ー!もう一回ホームラン打てーー!!」

 

「藤井うるさい!!」

 

ベンチで叫ぶ藤井に同じくベンチに座るマネージャーの中村の怒号がとぶ。

 

 

 

俺はそこまでパワーのある打者ではないんだがな、

 

 

 

 

 

 

 

 

初球——外に大きく外れボール、2球目——ゾーンより僅かに上に外れボール、3球目——初球同様外に外れた球だがバットは届く距離!レフト線へ流す様に当てる!!

 

 

 

キィィーン!!

 

 

打球は狙い通り三塁手の頭を超えライン際を転々と転がる。

その間にセカンドランナー茂野がホームへ帰ってくる、際どいが判定はセーフ。送球&審判の判定の間に俺は二塁へ、清水は三塁へそれぞれ出塁。

続く田代はバットを振る気もなく三振、そしてベンチに戻ってきてそれは起こった。

 

 

 

「ふざけんじゃねぇよ!!女にボール捕らせて何が1人で勝つだよ!?」

 

「じゃあボールは俺が捕る!!」

 

 

捕手変更、清水→藤井

 

 

仮にも野球経験者であり、現在もソフトボール部に所属している清水だからこそ捕れていた茂野のボールは野球初心者の藤井には到底捕れるものではない。

 

 

思った通り数球の投球練習、いや捕球練習は散々な結果に終わり決められた数を投げ終わった両者からこんな声が聞こえてきた

 

「いいから黙ってミットを真ん中に構えておけ!!俺がそこに投げ込んでやる」

 

 

 

 

 

 

調子に乗りすぎだろう、幾ら何でもふざけすぎだ!なんて思っていたが、いざ始まってみると茂野は宣言通りに真ん中に構えた藤井のミット目がけて投げ込んだ。

 

 

……しかし仮にも相手は強豪校、例え150キロの球とはいえ真ん中にストレート……振れば当たる。相手の打者は徐々に茂野の球をバットに当て始めた。

運良く4回の守備は3人で終える事ができた。運良くだ!

 

 

手をスプレーで冷やす藤井を気遣うこともなく攻撃は3人で終わり再び守備へ。

 

…………これまでだろう、ラッキーは続かない。

 

 

 

 

 

 

 

 

案の定、茂野の球はミートされるようになりファールで済んでいた球はサードに転がる。球威に押され簡単なゴロではあるがサードを守るのは田代。

茂野に反感を持つ男である。そんな男の前にボールが転がる。当然何もしない。

 

ボールは田代の横を転がりレフト前へ

 

 

 

 

これじゃ野球にもなんねぇな、ただの処刑にしかならない。

 

 

 

次の打者は運良く投手前に打ち上げ1アウト。

 

 

次の打者は再びサード前へ——

 

「おっと!あまりに正面すぎてグラブが出ちまったぜ」

 

素早いグラブ捌きで捕球した田代。

 

「ファーストに投げろ!!」

 

清水がそう声をかけるが、

 

 

「いや1アウトランナー一塁なら投げるのはこっちだろ」

 

 

球をセカンドベース上に投げる——捕球するものがいるならばここ!というくらい高さも位置もドンピシャだ。

 

 

バシッ!

 

 

球を捕球、ベースを踏みファーストに送球、田代の送球を見て唖然としてファーストミットを動かすこともできずに唖然としていた清水のミットにボールは収まりツーアウト。

ダブルプレーでスリーアウト攻守交代

 

 

 

ベンチへ戻ると藤井が左手を押さえ軽く悲鳴を上げた

 

左手を大きく腫らした藤井のを見て茂野、清水そして顧問の英語教諭の山田先生が棄権を申し出る、藤井は「まだやれる!こんな所で辞めたらまた俺は前みたいに戻っちまう!!する事もなくただ毎日無駄に過ごす日々に!!」

 

「よくやってくれたよ藤井、もういいんだ。1人で勝つなんて無理だったんだ」

 

「そんな事言うなよ!俺、俺はあの時感動したんだよ!!人間ってこんなに早く球投げられんだってよ!そんなお前が諦めんなよ!!俺に夢を見させてくれたお前がよ!!」

 

 

 

熱い言い合いが茂野、藤井間に続く——その時、

 

 

「今回だけだ!俺が捕ってやるよ!……お前の球をよ!」

 

 

「お前に捕れんのかよ?気持ちは嬉しいけどよ」

 

 

「ふざけんなよ!リトルシニアで正捕手6年間やり続けた俺に手加減なんかしたらぶっ飛ばすぞ!」

 

 

茂野の全力の球を田代は見事捕球する。

 

この試合の勝敗が決定した瞬間である。

 

 

 

 

 

4 — 0 試合終了

 

 

勝者——聖秀高校野球部(仮)




早足で進めます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。