サクサク進みたい
前回までのあらすじ
茂野「1人で勝つ!清水捕ってくれ!」
↓
清水「手痛い」
↓
藤井「俺が捕る!…手痛い」
↓
田代「俺が捕る!勘違いするなよ!今回だけだからなっ!」
↓
勝ったー
「田代助かったぜ!これから練習出てくれんだろ?」
試合に勝利した後に茂野が浮かれた様子で田代に声をかける。問題点が何個もあるんだが気づいていないのか?
「はぁ?練習?どこでやんだよ?硬球使えるグラウンドがあんのか?ソフトボール部に借りるのか?その辺の申請考えてんのか!」
「…………」
沈黙の茂野。
「練習に参加云々はそれ全部解決してからだろーが!」
「す、すまん」
その後、茂野は学園長に交渉し顧問と練習できる場所を獲得してきた。
驚異の
練習できる場所というのが屋上である。……屋上である。当然、地面はただのコンクリート、こんな所で練習なんかできるはずもない……そこで!交渉人、茂野五郎はその持ち前の
聖秀高校野球部(仮)土木作業員に転職。
自分を除く現2年生部員(仮)と現1年生部員(仮)が茂野を手伝っている光景の中、流石に無視はできないと俺も手伝うことにした。
山から掘り出した土をバケツに込めてせっせっと屋上まで運ぶ。
1年近くマトモなトレーニングをしてない俺からしてもめちゃくちゃ辛い……のに内山宮崎の凸凹コンビはなんで、あんなに頑張れるのだろうか?
土を運ぶこと約1ヶ月…等々グラウンドが完成した。まぁいい運動になったからよし!
これで聖秀高校野球部(仮)からはおさらば!
「松井!明日から練習だかなら!」
………したかった。
練習試合が思っていたより楽しかった。とか、実は未だに甲子園への憧れがある。とか、茂野が楽しそうに野球をやるのを見た。
………そんな事は関係あるのかもないのかもわからないけど、自惚れでもなく〝茂野五郎〟という男は少なくとも確実に俺〝松井裕之〟と同レベルで野球をやれるだけの実力を持っている選手だ。
それだけでも、リトルやシニアの時みたいな思いはしなくてすむ。
1人で野球をやって、勝っても喜びを共有できる仲間……チーム内で同じ目線で野球をできるチームメイト……
何より一緒に野球を楽しめる。……そんな存在。
シニアの時、心が望んだ。
1人でやってやる宣言の、今の茂野では難しいが。
これから先の茂野なら可能性はある。
貪欲に勝利を目指し、
楽しみながら勝利を掴み、
勝ったら喜ぶ。
そんな当たり前がもし、
できるのならば約1年程度しかない短い期間だけど………
高校野球をやってもいいかもしれない。
もう1度、甲子園を目指して野球を楽しんでもいいのかもしれない。
総文字数1096文字……み、短い。
けどキリがいいのでここまで。来週中には次を投稿したい。