私の中の『大井』がノンケの私を全力でレズ行為に走らせようとする   作:持ち杉

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〇〇二 鎮守府案内ツアー!

 突然ですが、私の元クラスメイトの話をさせていただきたい。

 私の学校は一クラス十五人。クラスの数は全部で三つの構成。ちょっと少ないけど、少子化と貧困化が進んでるから仕方がないよね!

 私は窓際の席の一番後ろに座っていたんだ。一番後ろと言っても、一列につき三人しか居ないけど。

 私の前の席には彼女──キャシー・マッカートニーが座っていた。

 

 

 むか〜しむかし、おおむかし! 深海棲艦はホントーーッに突然現れたんだよね。もうあれだ、朝起きて学校行こーと思って、玄関出た瞬間──はいもうそこに居た! 居ましたぁ! てなくらい突然ですよ。

 だから日本に来てた観光客とか仕事で来てた人とか、一部のVIPを除いてみんな帰れなくなっちゃったんだよね。

 帰す手段もないし、変に拘束して外交問題にするのもアレだし、かといって保護するほど余裕はないから、移住許可は出してないけど取り締まりもしないっていう微妙な立場に置いたんだよ。

 

 

 キャシーの家はそんな感じの家庭の一つでさー。キャシーの両親は偶然日本に来てた観光客だから、全然日本語喋れないんだけど、娘のキャシーはバイリンガルなのよ。

 私はそれが何だか面白くってさー。良くポストとか指差して「申し訳ありません、マッカートニーさん。後学の為に、ポストの正しい発音を教えて下さらないかしら?」とか言ってたのよ。

 そしてたらキャシーはにこやかに「まあ、お姉様は勉強熱心ですのね。もちろん構いませんわ。こほん……『ポスト』これでよろしくて? 何だか少し恥ずかしいですわ」って言ってくれんのよ。それがまた発音良くってさー。その直前のバカ丁寧な日本語も相まって、何かこう、笑っちゃうのよ。爆笑ってわけでもないんだけど、ふへへーって感じで。

 そんな面白バイリンガルのキャシーなんだけど、もっと面白いことがあってね。

 

 

 ──メッチャ鼻血出すのよ。

 

 

 外人だから血圧が高いのか何なのか良くわかんないんだけど、いつもいつも凄い勢いで鼻血出すの。花京院典明の『エメラルドスプラッシュ』あるじゃん? もうほとんどあれよ。むしろ『エメラルドスプラッシュ・レクイエム』くらいまで行ってる勢い。マジヤベーわよね。

 私鼻血出したことなかったから、初めてキャシーの鼻血を目撃した時メッチャビビったわ。新種の疫病か何かに発症したと思ったよ、マジで。

 ちょうどその頃、曖昧なまま放って置かれてた外人達が、満足に医療サービスが受けられないって社会問題になってたからさあ。

 ほら、保険証とか見せると7割引とかになるじゃん、医療機関てさ。それが無いわけよ。まあこの問題は民間企業が、そういう人達向けの新しい保険作って解決したんだけどさ。

 まあまあそんな感じで、キャシーはヤベエくらい鼻血が出んのよ。

 

 

 今の私がそれね。

 

 

 もうヤベエ。一周回って笑えてくる。だってもうギャグの領域レベルで鼻血出てんだもん! 『タラー』って効果音じゃなくて、『ドボボボボッ!』みたいな効果音が相応しい感じだもん!

 北上さん見た瞬間、鼻から何か垂れてきたのよ。さっきも言ったけど私鼻血出したこと無かったから、何が起きたのか分からなかったの。んで、何だ何だーって思ってたら次の瞬間トバババーって! マジヤベェわ。

 そりゃあ思わず語彙力も貧困になるってもんよ。

 そんでもって、私の体は溢れ続ける鼻血も無視して北上さんに抱きつこうとしてる。それを私の強靭な精神力で止めているわけだ。グギギギギ〜ってね!

 もしも街中で鼻血をメッチャ出しながら、踏ん張ってる奴がいたらそれが私だ。

 

 

 私がドバドバ鼻血を出していると、加賀さんが手ぬぐいをサッと出して拭いてくれた。加賀さんも艦娘だからね、私みたいに物を空間にしまっておける。

 あざーすってな具合でお礼を申し上げていると、提督が話の続きをし始めた。

 

「……止まったようだな。知ってるとは思うが、ここにいる北上は君の姉妹艦だ。ここでは、姉妹艦は同じ部屋で生活してもらうことになっている。部屋内での取り決めもあるだろうから、その辺りの説明も兼ねて鎮守府内の案内を頼んである」

「まあそういうわけだからさあー。よろしくねー」

 

 あーなるほどねえ。

 北上さんを呼んできたのは、私を慰める為かと思ってたけど、そういう訳じゃあなかったのか。というかまあ、考えてみれば当たり前か。向こうはわたくしこと『大井』が無類の北上さん好きとは知らないものねえ。なるほどなるほど、なるほどなぁ。

 『大井』としての本能もあるかもしれないけど、私から見て北上さんは中々魅力的──エロい意味じゃなくて──に映った。

 私の周りにはこう、何ていうの、ダウナー系? の子とかいなかったんだよね。だから新鮮。そして私は腐敗してる物より、新鮮な物の方が断然好きだ。つまり私は北上さんが好きということになる。

 おっと、今の言い方だと私がレズに目覚めたみたいだが、もちろん違うわよ。か、勘違いしないでよね! ……マジで。マジでチゲーから、レズじゃねーから。そこんとこシクヨロ。

 

「それじゃあ早速鎮守府探検ツアーに──」

 

 麗しい北上さんの声を邪魔して、私の後ろの扉がなった。まあ端的に言うとノックされたわけだ。

 

「長門だ。新しい艦娘を連れてきた」

「だー! この、離せゴリラ! アタシはこんな所で働かねえーぞ!」

「……入れ」

 

 メチャクチャ露出の高い服を着たムッキムキの痴女が、片手で紫色のピッチピチの服を着た女の人を持ち上げたまま入ってきた。

 持ち上げられてる女は、はしたない言葉で痴女を罵倒しながら、腕やお腹に暴行を加えてる。しかし残念! 痴女の方は物ともしてない!

 

「任務ご苦労、長門。それでそっちが──」

「うむ。妙高型三番艦の足柄だ」

「その名前でアタシを呼ぶんじゃねえ、ゴリラ!」

 

 一際力を入れて、足柄さんが長門さんの腹筋を殴りつけた。

 ゴキンッ! というおおよそ人が殴った様な音ではない、むしろ金属音の様な何かが響いく。

 そして何故か、殴りつけた方である足柄さんが拳を抑えて、その場にうずくまった。僅かに見える拳からは、血が滲んでいる。ついでに指も変な方向に曲がってた。

 何だろう、私はいつの間にかギャグ漫画の世界に入り込んでしまったのかもしれない。どうでもいいけど、もし普通の人間がボーボボとかのギャグ漫画の世界に入っちゃったら、恐怖でしかないよね。

 つまり今の私は恐怖に囚われてるということだ。意味不明なモノって怖い。

 

「く、クソッタレガァ! てめえ、腹に鉄板仕込んでやがるな!?」

「いやいや、どう見ても鉄板仕込むスペースないでしょー。あの服」

 

 北上さんがやる気のないツッコミを入れると、足柄さんは憎しみのこもった目で北上さんを睨んだ。あの目は堅気じゃあない。証拠として、私がドチャクソビビってる。間違いないだろう。尤も、北上さんの方はどこ吹く風だけど。

 

「彼女は君の同期の足柄だ。後他にも二隻ほど同僚がいるが──それぞれの紹介は今日の夜行ってもらう。……北上、そろそろ」

「分かってるって。それじゃあ行こうか、鎮守府案内ツアーにさあー。ねー、大井っちー」

「は、はい!」

 

 私は北上さんに手を引かれて、執務室を出た。

 

 

   ◇◇◇◇◇

 

 

 さあて諸君! ここで世界とか日本の情勢と絡ませながら、鎮守府内の施設を紹介しちゃうぞ! 興味ある奴はついて来い!

 

 

 先ずは食堂!

 ぶっちゃけこれはほとんど意味なぁし!

 シーレーンが途絶えた事で今の輸入輸出は空輸のみ! その空輸もお偉いさん達のための薬とかに使われてるから、今の日本に食料はほとんどなし!

 一応東京以外のビルとかぶっ壊して、地方を農園にする改革が進んでるけど、今のところはほとんど成果なしだ! 何せ、石油がないからね! ビバ、手作業状態だぞ!

 ちなみに、電気はあるよ! 海沿いの火力発電所とか原子力発電所は沈んじゃったけど、日本中の温泉をぶっ潰して、地熱発電所に変えたからね! ギリギリセーフ! その代わりに観光業が衰退して、失業者が増えちゃったけど、政府が雇って農園作る仕事に就いて貰ってるから結果的に良し!

 まあまあそんな感じで、とにかく今の日本には食料がないのよ。だから今は、基本的に栄養剤みたいなの食べてるのが主流!

 ここの食堂も例外じゃなくて──どころか、もっと酷い! 何せ私達兵器だからね! 人間様が食糧難で苦しんでるのに、兵器が食べとる場合かぁー! てな感じでなんっっっもないのよ!

 ただ、出撃の前にここで補給を済ませるんだってさ! だから食堂という名前の、補給所だね、ここは! 名前を食堂にしてるのは、実態が万が一にもバレたら世間体が悪いから! 普段は兵器だけど、都合が良い時は少女なのだ!

 ちなみに、間宮さんと伊良湖さんっていう補給艦タイプの艦娘が居て、彼女達は私達が銃弾とかを出せる代わりに、食料を出せるんだって! でも彼女達はこの国になくてはならない人の為に働いてるから、ここにはいない! 残念!

 ついでに言うと、世界最高の補給艦はかの豪華客船タイタニック号らしいよ! 今のイギリスの13分の1の食料は彼女が作ってるんだってさ!

 

 

 次に開発室!

 ここもヤベエ!

 偶に逃げ遅れたりした深海棲艦を捕虜にできるんだって! ここではその深海棲艦を、新しく艦娘を作る用の食料に加工したり、解体した補給用のエサにしたりするのよ!

 深海棲艦って言ってみれば動物みたいなもんでさぁ、知能はあんまないけど五感とか本能とかはあんのよ。個体によっては、鼻歌みたいなのを口ずさむ奴までいるんだって! だから、悲鳴がスゴイんだよ。

 ここで働いてるのは明石さんと夕張さん、偶に霧島さんの三隻。彼女達は、週に最低でも三回はカウンセリングを受けてる。昔の戦争の時に、銃声がトラウマになっちゃう人とかいたらしいけど、彼女達は悲鳴がトラウマになっちゃうんだって。

 艦娘になった以上戦争の記憶があるから、シェル・ショックにはならないらしいけどね!

 

 

 後は他にも、弓道場とかあるよ! なんか空母の方々は弓で戦うんだってさ! 意外と原始的! 古き良い日本の心ってね!

 私は軽巡っていう船なんだけど、当然それ用の訓練施設もあんのよ! 特殊な砂が溶けた水、水飴みたいになったおもーい水が張ってあるプール的なやつ! そこで魚雷をぶっ放すわけ! そん時の水の跳ね具合で、魚雷の威力を測定するんだってさ!

 ちなみに戦艦とかはパンチングマシーンの途轍もなく精度が高い奴とか殴ったり、道場的な所でお互い殴り合ったりするんだって! 戦うのは海の上だけど、練度が上がってくると海の上でも地上と同じくらい、いやそれ以上に動けるようになるらしいよ!

 運動した後はお風呂! ──つまりは入渠ドッグだけど、これはハイテンションな私でもちょっと説明出来ないかな! とりあえず砲撃戦、人の焼ける匂い、メチャクチャ吐いた、とだけ言っておくよ!

 

 

 そして最後に、球磨型の部屋に案内された! 真ん中にコタツがドン! 後はタンスと何故かダンボールがいくつか!

 部屋の奥には押入れがあって、中にはお布団があるんだってさ! 上から二番目のお姉様──多摩さんはお布団を出さないで、押入れの中で眠るんだって、かわいいね!

 後北上さん曰く、末妹──木曽さんが私の隣で寝たがってるらしいよ! 木曽さんは恥ずかしがり屋だそうだから、自分からは言えないから私から誘って欲しいんだって! かわいいね!

 ちなみにちなみに、それを聞いての私のリアクションは「北上さんは……何処で寝るんですか?」だ! 恋する乙女か、私は!

 といわけで、今日の夜は木曽さんと北上さんに挟まれて寝ることになりました。私の中の『大井』が騒いでるぜ!

 ──艦娘同士で性的暴行があった場合、どういう措置になるのか調べておいたほうがいいかな。

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