質問等あればお気軽に!…取説あまり読んでなくてすみません。
始まりの街の片隅にある一軒の無人家の扉を開ける。
「こんばんはー」
「こんばんはリズさん、今日も急ぎの依頼?」
リーテンの盾を急いで作って貰ったのは、つい先日の夜の事だった。
「ううん今日は依頼じゃなくて、木材は手に入らなかったけど、革と繊維アイテムが手に入ったから渡そうと思って」
「おぉ!ありがとう、助かるよ」
「いえいえ、私も色々お世話になってるから」
「あ、そうだリズさん、三層攻略が始まって攻略本が配布されてたけど、もう見た?」
「あっと、まだ見てないです」
「実は三層でギルドを作るクエストが受けるみたいなんだけど、僕たちも職人ギルドを結成しようって話しがあるんだよ」
「へぇ、職人ギルド…」
「ギルドを作って、ギルド専用掲示板にも広く職人クラスの募集をしていこうって感じなんだけど」
「あぁなるほど、街を出ない人でも材料さえあれば職人クラスは可能ですもんね」
「うんうん、でね、よかったらリズさんにもギルドに加入して貰えないかって思ってさ」
「あ、私もですか?うーん…」
「まだまだ将来性の話しで申し訳ないけど、職人クラスがフィールドに出なくて良いようにするのが最終的な目標なんだけど、それまでは護衛の戦闘クラスを雇ってみんなで採取に行ったり、素材の採取特化のプレイヤーや、作成武具や素材を売買する商人プレイヤーを育てたり、あと、まだ護衛ってまでもいかないけど、戦闘職の人も加入予定なんだ」
「うわー、すごいですね、そっかー、ギルドかぁ」
「まだ、ギルドのクエストも開始してないけど、考えててくれないかな?結成間近になったらまた連絡するから」
「わかりました!じゃぁ、また素材が手に入ったら連絡します」
挨拶をすませ、リーテンの待つ宿屋へと足を向ける。
途中で思い立ち、各層の攻略本が委託販売されている大きな道具屋に立ち寄り、アルゴの攻略本、第三層編を入手。
「職人ギルドかぁ…」
数分後、宿屋に着いたリズはリーテンの部屋に向かった。
「おかえりー遅かったね」
「あー、うん、ちょっと話しが長引いてさ…」
いつもより若干険しい顔をしたリズを見て「どうかしたの?」と首を傾げる。
「知り合いの木工職人の人がさ、職人クラスの人達とギルド結成するらしいんだ」
「へぇ!職人ギルドなんてすごいね!」
「だよねー、クエスト受けないとギルド作れないらしいんだけど…」
と、言ってアルゴの攻略本を二人で読み出した。ギルドクエストはかなりの連続クエストのようだ。
「職人クラスの人だけで、このクエストは結構大変そうだね…」
心配顔をするリーテンをチラリと見て
「だよね…大丈夫なのかなぁ、まぁルートによってもだいぶ違うみたいだから、戦闘の多いルートの時は破棄して再受託とかするんだろうけどさ…」
「パーティリーダーだけ職人さんで、後は戦闘クラスの人に手伝ってもらった方がいいかもね」
「まぁ、それが一番現実的だよね…手伝ってくれる人がいればだけど…」
「何か気になるの?」
「ん、あぁ、気になるって言うか…私もギルドに誘われたんだ」
「あ、そっか、そうだよね…リズが誘われない訳ないか…」
「職人ギルドは確かに魅力的だし…職人目指すなら加入した方がいいだろうし、レベル1の時から色々お世話になってる人なんだけど…」
首を傾げるリーテンを再度見ながら
「職人クラスの人達と何人か会った事はあるんだけど、みんな男の人なんだよなーって」
「お、モテる女はつらい的な?」
「コラ!別にモテはしないけどさぁ、例えばそんな感じになったりしてよ?断ったりとかで気まずくなるのはやだなぁって」
「そっかぁ…この世界で彼氏が出来るかどうかはまだ分かんないけど、確かにギルドに入って好きじゃない人から告白とかされたら困るよねぇ…」
「でっしょー、ギルドだとほぼ毎日顔合わせる事になるだろうし…あーぁ、せめてあと三、四人女性の職人クラスの人がいたらなぁ」
「あ、ギルドに入って、リズが積極的に女性の職人を募集するってのは?」
「む、そうか。上手くいけば職人の層も厚くなって、女性も増えるか…まぁでも、探すのが一番大変だろうけど…」
ふと思いつきニヤリと笑ってから、真剣な顔でリーテンを見る。
「リーテン……今から職人に転職してくれない?」
「ちょ、ちょっと!そんなこと言われたら困る!」
「あはは、じゃぁレベル上げに挫けたらって事でよろしく!」
もう!っと頬を膨らますリーテンの頬を突っついてみる、しばらく怒った振りをしていたリーテンが不意に口を開く。
「あ!今度二人で探してみよう!この街のどっかにいるはずだし」
「ありがとうリーテン、まぁ、この街ってのがやたらと広いけど」
「まぁ、いつかは見つかるよ!」
「そう…だといいね…」
それからしばらく他愛もない話しをしていると
「リズは職人の人達とはどこで知り合ったの?」
「ん?あー、リーテンもやったかな?あのクエスト」
「クエスト?」
「この街の南の方でさ、タマってペット探すクエストあるの知ってる?」
「ああ!あれかー、私も最初全然わかんなくて苦労したよー」
「あははは、だよねー、てっきり猫かと思ってたら犬なんだもん」
「そうそう、でもめっちゃ可愛かったよねあの犬」
「えぇ!めっちゃ大きかったじゃんあの犬、てか最初見たとき白熊かと思ったし」
「えーそこが可愛いんじゃない!あーもっかい触りたいなぁ」
両手を持ち上げ何かに抱きつく様な仕草をするリーテンを見て
「あははは、でね、そのクエストやってる時に声掛けてくれて教えてくれたんだ」
「そーなんだ、私も誰か教えてくれたらあんなに時間掛らなかったのに」
「大体、名前もそうだけど『体は丈夫だがまだ幼いんだ、早く見つけてくれ』って引っ掛けだよね」
「私も小ちゃな猫ばっかり追っかけてたよー」
その後、明日の時間を決めリーテンの部屋の扉を閉めた。
翌朝、共に一階で食事を済ませ二層に移動する。
「リーテン、この層はレベルいくつまでいる予定なの?」
朝日を受けるウルバスの街を出発しながら尋ねる。
「ん、あー、たぶん10くらいまでかなぁ」
「あと3かー、なかなか遠いねぇ」
「だねー、残りのクエ全部報告したらもう一個あがるかな?」
「ほんじゃ、残りのクエスト片付けますか!」
「おー!」
と威勢良く叫んだものの、手間の掛かるクエストを後回しにしたせいもあって、全てのクエストを完了させた時には午後四時を過ぎていた。
「いやー、なかなか大変だったね!」
「おつかれさまー、あぁ疲れたぁ」
「壁役お疲れ様!しっかし頑張ってたねリーテン」
「うん!もう途中からなんだか楽しくなっちゃって」
基本的にリーテンが
そんなリーテンの姿を、リズは少し
一層の宿屋に戻ってきたリズ達は、リーテンの部屋でゴロゴロしながら休憩をとっていた。
「クエストもやり切ったし、今日はここまでかな?」
「そうだね…リズ、明日はどうしよっか?」
ベットの上で寝返りをうったリーテンが床に寝転がるリズを見ながら思案顔で尋ねる。
「うーん、次の街に行っちゃうとここに戻ってくるのがなぁ」
職人クラスのリズにとって、自由に使用可能な設備がある街は、一層はこの始まりの街のみ二層も主街区のウルバスだけで、サロメの町には転移門もなく、なかなか離れ難い。
携帯
町にNPC鍛冶屋店はあるので鉱石を溶かす事は出来るが熟練度を少しでも上げたいリズにとって委託するのは
と言っても鉱石加工ではそこまでスキル値は上がらないのだけど。
「そうだよね、かと言って三層に行くのもまだちょっと早い気がするしなぁ」
「「うーーーん」」
あれこれ意見を出し合って、三層の街中で完了出来るクエストを受けようと話が
ポーン!電子音が鳴り、リズの視界にメールが届いた
「あ、メールだ…」
そう言いつつメールを開き確認すると、メールが来た時点で予感していた通りの内容だった。
ウィンドウを閉じたリズは椅子に座り、リーテンを見ながら考える。
このメールの内容を承諾すると、リーテンと過ごす時間は少なくなるだろう。
せっかく仲良くなれたリーテンと離れてしまうのは、正直淋しい。
しかし、危険な
リズはそっと瞳を閉じる…すると、出会ったあの日の光景が浮かんできた。
夕焼けに染まる森の小道を、いろんな話をしながら二人で歩いていた時、
『こんな私でも攻略の力になれたらいいな』
と、少し恥ずかしそうに言ったリーテンの笑顔が蘇る。
リーテンの輝く笑顔に力を貰い、リズは職人としてリーテンを支えていく事を決意した。
正直、コンビ狩りではそろそろ足手まといになりかねない。
深呼吸をして心を落ち着かせ、瞳を開くとリーテンと目が合った。
意を決し、口を開く。
「明日からギルドクエストを開始するんだって」
不安そうにリズを見つめていたリーテンが一瞬戸惑い目を伏せる。
「そうなんだ…予想よりだいぶ早かったね…」
「だね……それで、私にもクエスト手伝って欲しいって…」
リーテンは「私も手伝うよ」と言ってくれた。
リズは微笑み、軽くかぶりを振った。
「ううん、ギルドクエストは時間が掛かる割に経験値が低いから手伝いはいいよ、それより二層で狩りした方が断然実入りはいいから…」
「でも…」
言い
「すごく残念で、淋しいけど…パーティは今日で解散しよう」
「えっ…」
すでに両目を潤ませていたリーテンの頬に、涙が一筋流れ、美しく散っていく。
いつしかリズの頬にも涙が一筋流れ、儚く散った。
しばらく無言で見つめ合っていたが、大きく息を吸い「よしっ」っと椅子から立ち上がると
「お腹空いたしご飯にしよう」
とリズは笑顔で手を差し出す。
「うん」
同じく笑顔で差しだされた手を取り、街の小さなレストランへ向かった。
パーティ最後の食事を堪能すべく、多いに会話を楽しみながら食事を終え、おやつも注文して、食後の珈琲を追加注文。
しかし徐々に口数が減っていき、しばらく無言で珈琲をすする。
「そろそろ、戻ろうか」
「そう…だね」
トボトボと家路に着いた二人は、部屋の扉の前で向かい合うと
「ギルドクエストがんばってね!」
「うん、リーテンも無理しちゃダメだよ!」
淡い笑顔で「おやすみ」と言い合い、同時に部屋に入った。
ギルド。個人で立ち上げ、仲間と共に作る団体。稀にソロでギルド作る人も居ます。
大抵、自由にデザイン出来るギルドアイコンが頭上や名前の近くに表示され、それ目的って事もなくもないと思います。
オリジナルでちょっとしたクエストの話しを入れました。そんなクエあるか!と思った方すみません。
今後はギルド結成のクエストを、と思ってます。大雑把にですが。