完全なる妄想でクエストやシステムやその他諸々書きすぎたかもしれません、すみません。
ウィンドウを開きマップタブを呼び出すと三層に切り替える。
「あぁ、ズムフトか!そうだった、そうだった。」
転移門のある主街区だけは未踏状態でも名前が分かるシステムになっている。
気を取り直して転移を完了させたリズは、ズムフトの町並みを眺めた。
「うわーでっかい木!あれ全部が建物になってるのかなー?」
見上げる巨大樹は、現実世界で見たことのある木々よりも遥かに大きく美しい。しかも三本も生えている。
巨樹の根本には大きな穴が空いており、人々が出入りを繰り返していて幹の側面には窓と
一頻り巨大樹を見上げてから目的の場所を探す。
待ち合わせは三本の巨大樹の内、北側に生えている巨樹の入り口前、目的地に近付くとすでに何人かの顔見知りが到着しているのが目に入り挨拶を交わす。
総勢6名、ワンパーティーだが何とかなるだろう。
純粋な戦闘職は二名しかいないが他の職人達もそれぞれ武器を持っている。
本当はもう少し戦闘職プレイヤーを雇う予定だったようだが、結局二人しか見つからなかったらしい。
「よし、みんな揃ったしクエスト開始しますか!」
リーダーの職人が叫ぶ
「「「おー」」」
と唱和し、一斉に巨大樹内に足を踏み入れた。
このギルド結成クエスト、採取お使い多めヴァージョンは、非常にめんどくさい代物だった。
採取、お使いが多いのは、非戦闘系ビルドのプレイヤーを考慮して設定されたのだろうが、その分移動や採取に費やす時間が多くなっている。
戦闘スキルを上げていない者がクエストを開始すれば100%受託でき、その後リーダーを移してもクエスト続行可能である。
通称バオバブの木、正式名称ユーツリーには階段しか移動手段はなく、最上階は20階という、お年寄りには全く優しくない作りになっていた。
最初の一本を登り下りしてユーツリーを出た時、ヘルプの戦闘職プレイヤーと、筋力に全振りしている職人一名がリタイヤ。二本目が終わり三本目に向かう時、リズとリーダーのみでクエストを進める事となってしまった。
幸いパーティーリーダーさえいれば別にリズも同行せずともよかったのだが、自分の入るギルドのクエストを妥協する気はなかった。
三本目が終わった時、移動と報告だけで開始から二時間ほど経過していた。
最初の町長の話がとても長かったが。
もし現実世界で、同じシュチュエーションで商品の配達か何かのバイトがあったら恐らく誰もしないだろな、などと考えながら小休止を挟んで、今度は町中を走り回る事となった。
移動につぐ移動で正直すでに、うへぇと言いたいところだが、奥歯を噛み締め何とかズムフト内のお使いを終えると、更に一時間が経過していた。
やっと
夜、ズムフトの町に戻ったリズ達は、皆、
リズは一層の宿屋に戻ると食事をすませ、まずリーテンの部屋をノックしてみた。
しかし応答はなく自室に戻ると、誰にも聞こえない事をいいことに大きく伸びをしながら、
「あ"あ"ぁぁぁ疲れたぁぁ」
と叫んでベットに入ろうとした。
ふとテーブルに目が行くと、今朝書いたメモにリーテンの返事が書いてあった。
《いってらっしゃい!あ、おかえりのがいいかな?私は今日から二層のマロメを中心にクエストしようと思うので、しばらくここには戻って来れないかも。宿屋のBOXも丁度スッキリしたし、部屋の更新来ても問題ないしね!私が居なくて淋しいとは思いますがギルドクエストがんばってね!》
「淋しいのはリーテンでしょ…」
と呟き、そのメモを大事にストレージにしまう。
ストレージ内の《メモ:001》をタップしメニューを表示させ名称変更をタップ、リーテンと入力しOKボタンを押す、《メモ:リーテン》に変更されたアイテムを見て軽く頷く。
大雑把そうに見えるリズは、以外とマメなところがあったりする。
リーテンにメールを送ろうかとも思ったが、返事が来たら顔が見たくなる気がしたのでやめておく事にして眠りについた。
翌朝、再びズムフトに集合したリズ達は、この層の中心辺りにいる中ボスを倒しに森に分け入った。
中ボスと言っても、別ルートのネフィラ女王の様なバリバリの戦闘系ボスではなく、地面にしっかりと根を張った枯木のオバケ的な、移動は一切しない(出来ない)ボスだった。
《トレント・デストゥリー》HPバーは2本。
戦闘職プレイヤーがしっかりとタゲを維持して、まぁしなくても回転もしなかったかもしれないが…死角から職人プレイヤーがチクチクとHPを削り20分程で撃破する。
キーアイテムも首尾よく入手した一行は報告にズムフトまで戻る。
報告後、新たにお使いや採取したりで、最後の章に入った時には、15時を過ぎていた。
最終章、ズムフトに伝わるどこかの王様に下賜された
この時点でヘルプの戦闘職プレイヤーにお礼と挨拶を済ませて別れ、最上階の町長に報告すると見事クエスト達成であった。
全員でハイタッチを交わし、しばらく談笑した後、今度は一階目指して階段を降り始める。
ゆっくりと階段を降りる職人達の最後尾を進みながら、時折現れる外壁の窓から外の景色を眺めてみた。
青い川の流れの向こうに、白い霧を纏った深い森が静かに佇んでいる。
その光景を眺めていると、むかし博物館か美術館で見た、襖絵によく似ているなと思った。
気が付くと周囲に人の気配もなく、慌てて階段を駆け下りた。
一層に戻り職人向けの施設が多く点在するエリアにある一軒の無人宅に入る。
ギルド設立許可証である
続いてギルド名《artisan spirit》と入力し決定ボタンをタップする。
すると、重奏のファンファーレが盛大に鳴り響いた。
同時にリーダーの頭上に月桂樹の葉に囲まれた真紅の旗が靡いているエフェクトが発生。
「「「おおー」」」
皆が揃ってリアクション、数秒後エフェクトが消滅する。
ギルドマスター、この世界ではリーダーと呼ぶのかもしれないが、になった職人がそれぞれのカラーカーソルをタップしギルド招待を行い、各自受託。
加入したのは、一緒にクエストを行ったリズを含めて三人と、非戦闘型の職人二人、リーダーの知り合いの戦闘職プレイヤーが一人(まだ三層には行けない程のレベルらしい)の計7人の少数ギルドだ。
現在、勿論ホームなどない、当面このいつもの集合場所をホームと定めて活動していくのだろうが、生産職のプレイヤーは慢性的なストレージ圧迫に陥るものだ。
当面の目標は早期のホーム購入と、新たな職人の獲得…
小さな一歩だが、確実な一歩を踏み出したギルド《
皆でささやかなお疲れ会を開き、乾杯する。
しばらく各々今後のギルド方針など話し合った。
早速、ギルドリーダーがギルド専用掲示板に職人ギルド設立の告示と職人募集の書き込みをする。
専用掲示板は、はじまりの街の結構目立つ場所に幾つか設置してある、閲覧は誰でも自由に出来る。書き込みの内容も自由だ。
現状入手困難である
残り全員で木材や鉱石を取りに
その都度素材が一番多い職人がホーム番する事にし、解散となった。
一人で宿屋に戻り、ベットに転がったリズは、左手の中指にはめた指輪を眺める。
「ギルド、入っちゃったなぁ…」
期待と不安を胸に、今後の目標を考えていると
「そうだ、リーテンの防具を作るなら金属防具のスキルとんなきゃ!」
ギルドクエストの中ボスとの戦闘後にレベルが12に上がっていたリズは、ウィンドウを開きスキルタブを開くと迷わずスキルを選択し、今度はフレンド欄からマップ追跡をしてみる。
「お、まだフィールドかぁ、がんばってるねリーテン」
などと呟き、メール画面に移行しメッセージを送信。
しばらくしてリーテンより返事があった。
《おめでとう!おつかれさま!今度装備のメンテお願いする時にお祝いしようね!そうそう、このメイス強すぎてサクサク敵倒せちゃうんだよ!この調子だと三層到達もすぐだよ!ありがとうリズ様さま!》
《ありがとう!おつかれさま!メンテ必要になったらいつでも連絡してね!私も今から鉱石堀に行って、バリバリスキル鍛えます!リーテンは安全第一でお願いね!じゃぁ、また連絡するから!あ、淋しかったらいつでも連絡して来てもいいんだよ?》
そんなメールのやり取りをしばらく続けて、リズは宿屋を出て北門を目指す。
体に疲労はあるものの、新たな目標を糧に圏外に飛び出し、我武者羅にスキルを鍛えていこうと心に誓った。
ギルドの初期メンバーが7人なのはちょっと多いかなとも思ったりしますが、ギルドリーダーが面倒見の良い人だろうと勝手に想像して7人にしました。
ギルド専用掲示板はMMOなら有りがちなので設置させてもらいました。
イメージとして、A4サイズほどの羊皮紙に入力した文章が書き込まれ、NPC様が自動で張り付けてくれると思ってます。