チューボー戦隊 ファミレンジャー 紅一点は狙われっぱなし!?   作:邪道切支丹

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第四章:変身不能の正義の乙女、孤独な闘い!!

雲一つない晴天の下、湘南の海岸でスクール水着姿の沙羅が奮闘している。

「あぁ、ボク、膝を擦りむいちゃったのね、大丈夫大丈夫、男の子だもん、我慢できるよね?」

そう言って救護テントの中で、男の子のけがの手当てをする沙羅は、まるで浜辺の天使と言ったところだ。午前中から、迷子を保護し、保母さんの代わりをしてみたかと思えば、溺れた小学生の女の子を人工呼吸し、お友達の男の子たちから羨望の眼差しをもらうライフセーバーのお姉さんを演じてみたり…。

「英聖学園の梨本はなかなか、この仕事の素質がありそうですね、蟹瀬教授」

とリーダーのイケメンお兄さんが満足げに頷く。

「うむ、あの娘は良い! 今時珍しいほどに甲斐甲斐しいし、家庭的で母性を感じる。おまけになかなかマニアックな体形をしているし、スクール水着が似合うしねぇ~~」

と、ライフセーバーの本質とはまるで異なる見解を述べるのは、人命救助の権威、蟹瀬守教授だ。

「だが、あの子が守るのは浜辺の平和だけではないだろうからねぇ」

と、意味深なご発言…。

 

午後の僅かな休憩時間。沙羅はスポーツドリンクのペットボトルを、薄ピンク色の唇に押し当てる。こくんこくんと水分補給を続けるたびに、スクール水着の下で小さな二つの膨らみも上下運動する。少女から女へと変わりつつある正義の乙女の肉体だが、その心の方はまだ純真で真っ直ぐな現役中学生だ。

「ふぅ~~、夏の海って、こんなに困ってる人がいっぱいいるなんて思ってもみなかった。…でも頑張らなくっちゃ、一人でも大勢の人の命を守って、幸せにすることが私の夢だもん」

ファミレン・ピンクであるときも、夢に向かって真っすぐの女の子であるときも、沙羅の優しさは変わらないのだ。その時だ、浜辺に無数の悲鳴が上がる。沙羅は表情を引き締め、ペットボトルをその場に投げ捨てると、薄チョコレート色に日焼けした健康的な乙女の肉体を躍動させるように走り出した。

 

白い砂浜は、まるで蟻地獄にでも早変わりしたかのように、ノーマーシー戦闘員の蜘蛛男に制圧されきっていた。年端のいかない女の子ばかりをさらおうと追いまわす非道な戦闘員。沙羅の怒りが最高潮に達したことは言うまでもない。

「みんなが幸せな時間を過ごす、この浜辺を穢すなんて、絶対許さないんだからッ」

ファミレン・ピンクに変身すべく手首飾りに指を伸ばす沙羅。しかし…。

「はッ、ここにはたくさんの人がいる…。今、変身すれば、私がファミレンジャーだってばれちゃうじゃない。でも、このままじゃ、子供たちが誘拐されちゃうし…どうすれば・・・って迷っている場合じゃないわ」

12歳の闘う乙女が出した決断は、そう生身の肉体で戦う事。意を決した沙羅は、ネイビー・ブルーの水着に包まれた思春期前の丸みを帯び始めた肉体を躍動させ、敵に立ち向かっていった。

 

「悪ぅ~~いオジサンたちが、楽し~~い場所に連れてってあげるよぉ~~」

泣きじゃくる女児に迫りくるノーマーシーの鬼畜な戦闘員。そんな、鉄仮面の顎を少女の正拳が砕く。

「罪のない子供たちを狙うなんて、絶ッ対許さないんだからッ、わたしが相手よ!!」

と正義感に満ちた表情の沙羅は技を繰り出す。実は小学生時代から、空手の有段者の沙羅。ノーマーシー戦闘員相手に堂々たる闘いぶりだ。

「えいッ、はッ、やぁッ」

凛とした掛け声とともに真正面の相手に掌底を食らわしたかと思えば、左右から襲い来る戦闘員の攻撃をかわし、もう一人の敵の腕を捩じり上げ、砂浜にたたきつけ、ボディに拳を叩きこむ。

「今日という今日は、てってーてきに懲らしめちゃうんだから!!」

人命救助という夢と希望に燃える沙羅ちゃん、今日は怒り倍増のご様子で敵をなぎ倒す。

「受けなさいッ、梨本沙羅の上段蹴りィ――ッ、はいや、せいや、そいやぁ――ッ!!」

現役中学生の肉体は成長著しい。ちょっぴり小さめの水着が、薄チョコレート色に日焼けした肌に食い込むことも気にせず、微かにダイコンな生足で白砂を蹴り上げる沙羅。スク水格闘娘の大乱舞にたじたじのノーマーシー戦闘員たち。12歳の少女に懲らしめられる悪の秘密結社っていうのもどーなの?、という突っ込みは他所に、顎、腹部、そして股間を痛打された男たちは砂浜に悶絶する。

「もうッ、弱いくせに日本制服なんか企んだバツよ! これに懲りたら、もう二度と悪事に手を染めないこと!! わかった?」

沙羅は、腰に手を当てて戦闘員たちを見下ろし、不良を構成させる女教師のような口調で言い放つ。そんな沙羅の背後に忍び寄る影…。

 

「梨本クン、君は勇敢だねぇ。惚れ惚れする闘いっぷりだったよぉ~~」

目尻を下げて、キショイ笑みを浮かべる男は誰あろう、蟹瀬教授だ。

「い、いえ、そんな…。蟹瀬せんせい…?」

まるで狙った少女に言い寄る痴漢、いや小動物を追い詰める獣の表情でじりじり沙羅に迫る蟹瀬教授にただならぬものを感じる。

(蟹瀬先生は何か変だわ。いつもの先生じゃない。もしかして…?)

「君は察しが良いねぇ。いかにも私はノーマーシーの一員…」

蟹瀬は両手を宙にかざす。すると冴えない教育者は、全身グリーン一色、頭のてっぺんには巨大な皿を載せた筋骨隆々の大男に変貌を遂げた。

 

「私はノーマーシーの生み出した奇怪人エロガッパだ!!」

「きかいじん…えろがっぱ…ですって?」

これまでもノーマーシーの奇怪な面々の存在は闘いの中で薄々気づいていた沙羅だが、人間とは似て非なる魔物を前にして中学生の女の子が恐怖を覚えぬはずはない。幼女から少女へと変わりつつある、スク水に包まれた身体を守るように後ずさりする。

「それに私は勘が鋭くてね。察するに君は我らの目の上のタンコブ、ファミレンジャーの一員とお見受けするが、どうかね? ファイティング・スピリットに溢れる君じゃないか。変身してこの悪ぅーい怪人とお手合わせ願いたいものだね、フヒヒヒヒ」

(私がファミレンジャーの一員だって、ノーマーシーに知られたら、まずいわ。一般の人にも内緒の事を、悪の組織に教えるわけにはいかない! 私の力だけで、コイツを倒さなくちゃ)

悲壮な決意をする現役中学生戦隊ヒロインだ。

「ファミレンジャーなんて知りません。…つて、エロガッパとかって、名前からして怪しいもん。戦隊ヒロインじゃなくてもやっつけたくなるのが普通でしょ!! いいわ、私が絶対、あなたを退治して、この浜辺母平和を取り戻して見せるんだから!!」

恐怖に震えつつ、戦隊ヒロインは生身で戦く抜く覚悟を決めた…。

 

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