アクセル・ワールド -群青の軌跡-   作:根津

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いよいよ第十話です。新アバターも登場。


第十話

ステージに降り立った僕は、ガイドカーソルの示す方向を目指して走る。

 

幸い、ダイブした地点から2人がいる地点まではあまり離れていなかったようで、5分も移動すると見知った顔に会った。

 

「ブレイブさん!」

 

「マンティスさん、ちょうど始まりますよ」

 

ブレイブさんの指す方を見ると、2組のアバターが対峙していた。

片方は、先日会ったセイバーさんとスターさん。

それぞれ、Iolite Saver(アイオライト・セイバー)レベル5とFire Star(ファイヤー・スター)レベル4と表示されている。

 

もう片方は、小柄な動物のような姿をしたアバターと身体全体が光っているアバターの2人だ。

アバターネームはそれぞれ<Apricot Sloth(アプリコット・スロウス)>レベル5と、もう1人は……

 

「じゃ、じゃんぶり……?」

 

<Jaunebrillant Shiner>レベル7と表示されているが、正直読めない。

Shinerは光る者(シャイナー)のことでいいだろう。

 

「ブレイブさん、あの、シャイナーさんの名前、なんて読むんですか?」

 

「えーっと、確か<ジョンブリアン>って読むらしいですよ。フランス語で『輝く黄色』っていう意味があるそうです」

 

なるほど。

 

僕が到着する前に、2組はそれぞれオブジェクトを破壊していたようで、すでに少しずつ必殺技ゲージが溜まっている。

 

「んじゃ、私はいつも通り休んでるから、あとはよろしく~」

 

「オッケー!今日もビビッと、頑張っちゃうぞー!」

 

いよいよバトルが始まる、と思いきやスロウスさんは突然その場に座り始めてしまった。

 

「え?何、あれ?」

 

「あー、あのタッグはいつもあんな戦い方なんですよ」

 

スロウスさんの挙動に僕が困惑していると、ブレイブさんがそう解説してくれた。

それぞれのアバターに役割があるタッグは知っているけれども、あんな風に片方に完全に任せきりのバトルスタイルは初めて見た。

というか、あの2人くらいじゃないだろうか。

いくらスロウス(なまけもの)だからといって、そこまでする必要はないんじゃ……。

 

「それじゃ、いこうか。援護射撃よろしく」

 

「任せて!」

 

セイバーさんは細剣型の強化外装を、スターさんは二丁拳銃型の強化外装をそれぞれ構えた。

 

「ヤァッ!」

 

「とぉぅ!」

 

セイバーさんの細剣による一撃を、ヒラリと躱すシャイナーさん。

 

「今だよっ!」

 

その隙にスターさんが、じっと座っているスロウスさんに向けて銃弾を撃つ。

 

「あぶなーい!<ブライトブランチ>!」

 

シャイナーさんが必殺技の発声をすると、シャイナーさんの影がぐにゅーっと伸び、スロウスさんの前に立ちはだかるように立体的になった。

銃弾を受けたソレは次第に形を変えシャイナーさんの姿になった。

 

「分身体を生み出す必殺技なのか」

 

よく見ると、シャイナーさんの体力ゲージが少し削られている。

どうやら分身体がダメージを受けると、シャイナーさんもダメージを受けてしまうらしい。

しかし、そこまでしてスロウスさんを守る理由はなんだろうか?

と、ここでふとスロウスさんの必殺技ゲージを見た僕は、あることに気づいた。

 

「あれ?スロウスさんの必殺技ゲージが増えてる…?」

 

さっき見た時よりもわずかではあるが、必殺技ゲージが増えているのだ。

 

「あ、気づきました?それがリコちゃん…スロウスちゃんのアビリティ、<懶惰労働(レイジーワーク)>です!」

 

僕のつぶやきに、ブレイブさんはそう答えた。

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