アクセル・ワールド -群青の軌跡-   作:根津

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第三話です。


第三話

「キミに頼みたいことがあるんだ」

 

「な、何でしょう…」

 

僕は他のギャラリーに聞こえないように近寄ってささやくように言う。

残り時間もあまり余裕がないことだし、端的に済ませよう。

 

「僕と今からリアルで会ってほしい。できれば、あの2人も連れて」

 

「へっ!?」

 

「あっ、ちがっ、へ、変な意味じゃなくて、ここじゃできないような話だから、っていうことで…」

 

「あ、あぁ。なるほど…」

 

「で、どうする?もしダメなら他をあたるけど…」

 

「えっと…2人に聞いてからでもいいですか」

 

まあ、リアル割れはバーストリンカーの禁忌の1つとされてるし、すぐに決められないのもうなずける。

ましてや僕が男だしなぁ…。

 

「わかった。場所だけ伝えるから、2人に相談してOKだったら来てほしい。1時間たって来なかったら僕は諦めるよ」

 

「わ、わかりました」

 

 

 

 

 

「ふぅ…」

 

対戦を終え現実世界に戻ってきた僕は、ニューロリンカーのグローバル接続を切ると、ボトルの中の水を飲み干し、そばに設置されていた屑籠にそれを放り込む。

 

そして、軽く頬をはたき、気合いを入れる。

 

「よしっ!」

 

 

 

 

公園を出た僕は、10分ほど歩きとあるケーキ屋さんに入る。

 

「いらっしゃい。"奥"は空いてる」

 

「あ、ありがとう」

 

ほとんど無表情のメイド服の店員さんの横を通り、僕は奥のプライベートルームに入る…前に店員さんに話しかける。

 

「アイスコーヒーを1つ、と多分後で女の子が3人くらい来るから、注文を聞いて案内してあげて」

 

「K。今日マスターは来る予定ないから安心して」

 

「う、うん」

 

僕はそそくさと奥に進む。

顔が熱くなってるのが自分でもわかる。

あの人は真顔で冗談を言うから、ドキドキしてしまう。

 

 

 

 

部屋で数分ほど待っていると、扉がノックされる。

 

「ど、どうぞ」

 

緊張でどもってしまう。

入ってきたのはさっきの店員さんだった。

が、その後ろから女の子が3人入ってきた。

 

店員さんは、4人分の飲み物を置いていくと、ぺこりとお辞儀をして立ち去ってしまった。

 

机をはさんで、僕の反対側に3人が座る。

僕から見て左側に座っている女の子はいかにも女の子という感じでふんわりとウェーブのかかった髪。

少し緊張しているような表情をしている。

真ん中に座っている女の子は長髪でストレート。

つり目がちな目がこちらをにらんでいるように見える。

右側に座っている女の子はショートボブくらいの髪型。

左の子とは逆にワクワクしているような雰囲気が感じられる。

 

一言目をどうやって切り出そうか悩んでいると、真ん中の子から切り出してきた。

 

「で、何なの?アンタが来いってこの子に頼むから来たんだけど」

 

と言って真ん中の子が右の子(僕から見て左側)をちらりと見る。

どうやら左の子がさっき対戦したブレイブさんのようだ。

 

「えっと、まずは自己紹介を。生天目(ナバタメ ) 治樹(ハルキ)です」

 

自己紹介と同時にネームタグをさらす。

それを送ると、アイスコーヒーを飲んでいた真ん中の子が噴き出した。

他の2人も動揺しているようだ。

 

「ア、アンタ本気なの?いきなりネームタグまでさらすなんて」

 

住基ネットの認証マークつきのネームタグは偽造はほぼ難しいため僕は今、初対面のバーストリンカーに身分証明書を差し出したようなものだ。

名前を言うだけなら、偽名などの可能性もあるが、ネームタグに記されたものは本名だと疑いようがない。

 

「アンタ、そこまで本気なんだね」

 

「ああ、うん」

 

僕がそう返事をすると彼女は「はぁ…」と1つため息をこぼし、デスクトップ操作をする。

 

「あ、待って。そっちのはいらない。代わりにアバターネームだけ教えて」

 

「は?それでいいの?」

 

「うん」

 

「……〈アイオライト・セイバー〉」

 

「私は〈ファイヤー・スター〉」

 

黒髪ロングの子が〈アイオライト・セイバー〉、ショートボブの子が〈ファイヤー・スター〉というらしい。

ということは、やはり左側に座ってる子が

 

「は、はいっ!私が〈ブロンズ・ブレイブ〉です」

 

今までの対応からすると、セイバーさんがこの3人の実質的リーダーのようだ。

 

「それで、アンタがここまでして私たちに頼みたいことって何なの?」

 

「それを話すには、まず僕がバーストリンカーになった経緯から話すよ」

 

僕は深呼吸を1つして、話し始めた。

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