アクセル・ワールド -群青の軌跡-   作:根津

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第五話です。ここからブレイン・バーストについてのレクチャーが始まります。少し細かいかもしれません。


第五話

僕は目を覚ました。

 

変な夢を見てしまった。

絶対にあのアプリのせいだ。

 

ダイニングに向かうと、置き手紙が4通。

 

―目玉焼き作っておいたからそれを食べて頂戴 母―

―スマン。ハルキの目玉焼き食べちゃった ナツミ―

―ついでに炊飯器の中は空だよ マフユ―

―友達のところに遊びに行ってきます アキ―

 

仕方がないので冷凍しておいた食パンをトースターに放り込む。

焼いている間に冷蔵庫から牛乳を取り出しグラスに注ぐ。

 

と、ここでふと時計を見てみると、もう昼の12時を過ぎていた。

休みとはいえ、寝すぎた……。

 

こんがりきつね色に焼いたパンをかじっていると来客を示す電子音。

だが僕が解錠の操作をする前に来訪者は入ってきてしまった。

 

「おはよー、ってもうお昼だけどね」

 

「お前、勝手に入ってくるなよな」

 

「いいじゃない。あたし、お母さまからインスタンスキー貰ってるんだもの」

 

1つ年上なだけで、まるで僕の保護者みたいな待遇だ。

 

そうこう言っている間にパンを完食してしまった僕は、グラスの牛乳で喉を潤す。

 

「よし、食べ終わったわね。早速ブレイン・バーストについて説明するわよ」

 

僕は歯磨きもさせてもらえないんですか…。

 

 

 

 

 

「それじゃあ、改めてブレイン・バーストについて説明するわよ」

 

あのあと、必死の懇願により歯磨きと着替えをさせてもらった僕は、自室でマキと直結して向き合っていた。

 

「まずは何をすれば……」

 

「そうね…ボイスコマンドを教えるから私と一緒に唱えなさい」

 

そう言って、僕の目の前に1つの言葉が表示された。

 

「いくわよ……3、2、1」

 

僕は大きく息を吸い込み、そして叫んだ

 

「「バースト・リンク!!」」

 

コマンドと同時に視界が青く染まり、僕の身体はフルダイブ用のアバターへと変わった。

 

「こ、これは…?」

 

周りを見渡してみると、景色はさっきまで僕らがいた僕の部屋だが、全ての色が青で統一され、そして…

 

「と、止まって、る……?」

 

現実世界の僕とマキが向かい合って座っているが、ピクリとも動かない。

いや、僕とマキだけならば今はアバターとなっているから不思議ではないが、よく見ると僕が趣味で置いている旧式の壁掛け時計の針や、窓の外に見えている景色の全てが静止している…ように見える。

 

「ようこそ。加速世界へ」

 

それは、昨日見たあの文言と同じ言葉だった。

その声に後ろを向くと、そこにはフルダイブ用アバターのお姫様風ドレスへと姿を変えたマキがいた。

ちなみに僕は執事服だ。一発で関係性がわかるだろう。

 

「加速、世界…?」

 

「そうよ。この世界は一見静止しているように見えるけれど、実際にはゆっくと動き続けているの」

 

言われて僕は時計を確認してみるが、とても動いているようには見えない。

 

「ど、どんだけ加速してるんだよ…」

 

「1000倍よ」

 

「せ、せん……」

 

「さあ、次の行程に行くわよ」

 

「は、はぁ」

 

納得しきっていない僕を置いてけぼりにして、話が進んでしまう。

 

「視界の左側にある"B"のアイコンをクリックしてみなさい」

 

言われるまま、それに触れてみる。

するとメニュー画面のようなものが表示された。

 

「これは?」

 

「ブレイン・バーストのメニュー画面よ」

 

「なんかすっごく格ゲーっぽいんだけど」

 

「そうよ」

 

と、あっさり言うマキ。

初耳なんだけど…

 

「言ってなかったかしら。まあいいわ、そうしたらマッチメイキングのボタンを押して」

 

押すと、名前が2つ。

Indigo Mantis(インディゴ・マンティス)〉レベル1と〈Gardenia Bomber(ガーデニア・ボマー)〉レベル8。

 

「ガーデニア・ボマーっていうのがあたしね」

 

つまり僕の名前は

 

「インディゴ・マンティス…」

 

「それがバーストリンカーとしてのアンタの名前」

 

「バーストリンカー?」

 

「あたしたちのようにブレイン・バーストを利用している人たちのことよ。まぁ自称だけれど」

 

「な、なるほど」

 

「さあ、あんまり時間ないからサクサク進めるわよ」

 

「は、はい」

 

「次はあたしの名前をクリックして対戦を申し込みなさい」

 

「えぇっ!?」

 

「早く」

 

「は、はいっ!」

 

促され、僕はマキ―〈ガーデニア・ボマー〉の名前をクリックし【DUEL】を選び、【YES】。

すると、僕の身体は再び変化を始める――

 

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