ゼロのヒカセン   作:MKeepr

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複数の誤字報告ありがとうございました。修正いたしました。

暗黒騎士のプランジカットがかっこよすぎる。


二話

 今日は夢見が悪かった、とクリンセは思う。具体的にどんな夢だったかは覚えていないが、とりあえず疲れたので夢見が悪かったのだと結論付けている。

 それに比例してかなぜかルイズの挙動がよそよそしい。なぜかクリンセより早く起きていて、先に着替えも自分で済ませてしまっていた。

 ただ、脱ぎ散らかされている服を片すのはクリンセの役目の様で、服をかき集めてメーメーの背中に乗せる。

 

「じゃあ、洗濯いってくるから、授業頑張って!」

 

「ちょっと待った、クリンセ、今日は特別に授業についてきて良いわよ」

 

 突然そんなことを言う物だから今日は雨でも降るのだろうかなどと呑気なことをクリンセは考えていた。授業に行くと言うので洗濯は粉を振ってものの数秒で終わらせ、ルイズと並んで食堂へ向かう。外へ行くのがおじゃんとなったメーメーが唸っているので、シルキスの野菜を二個くらいおいて出ていくことにした。

 そうして廊下を歩いているといつも通りキュルケが絡んできたので、クリンセは約束していたものをキュルケに渡すことにした。

 

「はい、キュルケ、約束の奴」

 

「あら? 突然指輪だなんて、私に求婚かしら?」

 

 ルイズが求婚と聞いて突然固まったが、気付いたのはタバサだけ。タバサも無視して読書である。

 

「ほら、この前に引き分けだからアクセサリー作ってあげるって言ったでしょ。何がいいかなと思ってやっぱり指輪かなぁと」

 

「ふーん、あら綺麗」

 

 二つ、受け取ってキュルケが眺める。中心にオパールを入れた美しい指輪だ。早速はめてみると、指にぴったり合う。

 

「ありがとうね、クリンセ。大切にさせてもらうわ」

 

「駄目になりそうだったら言ってね、直すからじゃあまたー!」

 

 そう言って貴族用の食堂に入れないクリンセは厨房の方へ向けて走って行った。それを手を振りつつ見送るキュルケはなぜか固まったままのルイズをつついて再起動させるのだった。最近使い魔とキュルケが絡んでもムスっとしなくなってきたルイズであるが、この反応はキュルケでも初めてだったので、食事しつつ問いただすことにした。

 

 そして朝、教室にやってきたは良いものの、クリンセ、何もすることがない。教室の中をせわしなく動き、そわそわしている様は突然変なところに連れてこられた猫である。

 あまりに動き回っているのでルイズが襟首を掴んで大人しくさせる。完全に猫である。ルイズはルイズでクリンセの胸部を見ないようになぜか教室の天井の染みを数えられそうなほど上を見ている。食事中に事情を聴いたキュルケは溜息をつくのだった。

 教室の扉ががらりと開き、黒マントの男が入ってきた。見るからに怪しい風貌だが、これでもれっきとした教師である。名前はギトー。

 締め上げられるオスマンに噛みついたあの先生である。そしてその締め上げてた張本人であるクリンセが居ることに気付いて、人知れず眉間にしわを寄せた。

 教室が静まり返ったのを確認し、ギトーは授業を開始する。

 ただ、クリンセとしては聞いていてもハテナ? な内容だった。キュルケに問われたのは『最強の系統』が何かという問いである。

 キュルケは火の系統が得意なので火と答えればギトーがあざ笑うかのように挑発する。なんだろうか、既視感があるなどと思いながらギドーを見ているとみんなが一斉に机の下に隠れた。

 ルイズもクリンセの襟首を掴んでいた手を離して隠れている。なんか熱源があるなーなどと思いながら横を見ると、キュルケが火の玉作っていた。キュルケの赤髪がまさしく炎のように逆立っている。

 キュルケからギドーに向けて超える力が見せる直線の攻撃範囲が見える。あ、これヤバい奴だと察してクリンセも机の下に隠れた。

 

「ちょ、ちょっとクリンセ?」

 

「ご、ごめんルイズちょっとそっちへ」

 

 机の下に既にいたルイズをちょっと押すような形でクリンセも下に入る。ルイズより背が高い分下に入りにくいのである。

 

「いやクリンセ谷間がこっちを」

 

「いやいやそれどころじゃないってやばいって」

 

「いやいやいや待って、私があなたの作ったの着た時、爆発がすごかったけど、もしかしてあの指輪」

 

 ふと思い出す。ルイズが貰った服を着ていた時のあのロック爆発の威力を。まっとうじゃない魔法だけでアレなのだ。まっとうな魔法を放つとどうなるのか、ルイズの顔が青ざめる。

 クリンセがテーブルから少し顔を出すようにしてあたりを見る。キュルケが今まさに火の玉を放とうとしていた

 

「大丈夫ポーションはある」

 

「それ大丈夫じゃない!」

 

 キュルケから火球が放たれる。唸りを上げ飛ぶ火球を避けようともせずギドーは腰に差した杖を引き抜き、まるで剣で切り裂くように薙ぎ払う。

 烈風が舞いあがり衝突する。

 本来のキュルケの火の玉ならばここで掻き消えている。実際ギトー『先生』もキュルケの実力を把握した上でおこなったことなのだろう。

 だが、何が悪かったか、しいて言えば今朝指輪を渡したクリンセが悪いのか。

 指輪によって増幅された力によって火の玉は掻き消えず、切り裂かれた前方から弾けるように火炎をまき散らした。溢れる火炎がギトーを包みこんで教室内は阿鼻叫喚の地獄絵図である。

 だがギトーも馬鹿ではない。すぐさま風で鎮火させる。マントの端と髪の端が焦げたが、黒い故に見た目的にはわかりにくかったのが幸いだったのか。

 キュルケも自分が放った魔法が予想外の威力を持っていて冷や汗吹き出しながら両手を上げて降参の姿勢を取った。良く考えたらクリンセから服を貰ったルイズも似た状況になっていたのを忘れていたキュルケだった。

 

「その、なんだ……風は見えざる盾になり、すべてを薙ぎ払う矛にもなるそれはどの系統にも言えることだ、各々の鍛錬を怠らないように」

 

 本当はかっこつけて風最強だぜと言いたかったのだが、知らぬところでクリンセに妨害されたギトー先生だった。

 その時、ミスタ・コルベールが現れた。だがその格好はクリンセをして珍妙であった。ミラプリ失敗したのかな? と思うレベルである。

 全員がいそいそと机から顔を出して元の状態に戻ると、コルベールが口を開いた。

 

「今日の授業はすべて中止であります!!」

 

 教室から歓声が上がった。いろいろ大惨事だし授業したくないというのもある。それ以上に学生というのはあるはずの授業が中止になるというのは嬉しい物なのだ。

 

「皆さんにおしらせですぞ、なんと、なんと」

 

 興奮を隠しきれない様子でもったいぶるコルベールの頭から、大きなカツラがボトリと落ちた。

 クリンセの脳内で『頭部装備の開閉』という単語が浮かんだ。

 

「滑りやすい」

 

 タバサが指を指しながらそんなことを言う物だから教室は爆笑に包まれる。

 だが締めるところは締める男コルベール、一喝して教室を静まらせる。

 

「本日はトリステイン魔法学園にとって、良き日であります。始祖ブリミルの降臨祭に並ぶめでたい日であります。我がトリステインがハルケギニアに誇る可憐な一輪の花、アンリエッタ姫殿下がこの魔法学院に行幸なされます!!」

 

 生徒たちが真剣なまなざしになった。クリンセはだーれそれーとハテナを浮かべており、脇腹をルイズに小突かれた。

 

「急なことですが、今から全力を以て、歓迎式典の準備を行います。生徒諸君は正装し正門に整列すること」

 

 生徒が真剣な表情で頷いて、うんうんと頷いて怒鳴った。

 

「御覚えがよろしくなるように、しっかり杖を磨いておきなさい!! よろしいですかな!!」

 

 ふと、クリンセは自身が王族やらその類に関わるとどうなってきたかを想像した。

 大使にさせられる。

 なんかいつの間にか担ぎ上げられてる。

 なんか暗殺の罪をなすりつけられる。

 王族じゃないけど一番偉い人とガチの殺し合いになる。

 絶対面倒なことになる、とクリンセは確信した。

 




イコンアロイキャスターリング(HQ)
INT+51 クリティカル+32 意志力+44

ギトー先生
風厨。だいたいクリンセのせい。

クリンセ・マム
お偉いさんと絡むとろくなことがない系ミコッテヒカセン
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