ゼロのヒカセン   作:MKeepr

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お久しぶりです。
赤魔導師決定らしいですねやったぜ。
あと光のお父さんもドラマ化すると聞いてヤッタゼと言わざるを得ない。
さらには3.5が1月に来ると聞いて吉田ああああああとなりました。


九話

 ギーシュ達が足止めをしている頃、クリンセ達は桟橋に向けて走っていた。月明かりのお蔭で道は明るく、迷う心配はない。逆に言えば見つかってしまいそうなものだが、追手が迫ってくる様子はなかった。

 先導するワルドが建物の隙間の階段を駆け上がり始め、ルイズを担いだクリンセもそれに続こうとしたが、さすがに壁にルイズをぶつけてはまずいと降ろしてルイズ本人に走ってもらう。

 階段をのぼりながら、おもむろにクリンセが口笛を鳴らした。

 

「ちょっと! なにしてるのクリンセ!」

 

「目立つ行為は避けてもらいたいものだ」

 

 先を行く二人にそう抗議を受けた。そうして遠くから何かが迫る音でワルドとルイズが表情を硬くする。

 

「見つかった?」

 

「いいや違うよ。大丈夫」

 

 階段の下、建物の隙間を何かが擦る様に無理やり突き進んでくる。何かを引きずるような音を伴って凄まじく早く、建物の隙間故に暗くて何がやってくるのかわからないワルドとルイズが杖を抜くが、近づいてきたそれが「クエッ」と鳴いたことでルイズが杖を降ろして胸をなでおろした。

 

「なんだ、メーメーを呼んだのね……」

 

 暗くて分かりにくいが、メーメーである。人一人が通れる階段の横幅目いっぱいを羽毛と鎧が占領している。

 いつもだったら餌をねだってクリンセを加えて振り回すのだが、空気を読んでいるのかなんなのか、やけに従順である。

 

「クリンセ? メーメーは確か馬小屋に繋がれていたはず……いやなんでもないわ」

 

 ルイズが疑問に思ってメーメーの手綱を見るとそこにはしっかりと馬小屋の手綱を縛るであろう場所の石の柱が足元に手綱に結ばれて落ちていた。おそらくぶち壊してやってきたのだ。クリンセともどもなんなんだとルイズは頭痛を覚えた。

 

「私が抱えてると何かあった時不味いから、階段超えたらメーメーに乗ってね」

 

「なるほど、良い案だ」

 

 ワルドが納得するように頷いた。ルイズもしぶしぶだが従う。クリンセはこの三人の中でまず間違いなく最強の打撃力を持っているとルイズは確信している。それと渡り合ったワルドもおそらくそれに並ぶことは想像に難しくない、ただ、クリンセのソレは基本体を使った近接戦だ。ルイズを抱えたままで戦うのは無理という事なのだろう。実際やれなくもないがやったら確実にルイズは貴族としてあるまじきものを口からまき散らす羽目になるが。

 言われた通り長い階段を上りきってからメーメーに乗る。

 丘の上をワルドが手綱を持ってメーメーを先導し、クリンセがそのあとを続く形になった。

 丘から見えるそれは巨大な木だった。あそこまで巨大な物はエオルゼアでクリンセも見たことがない、山のような巨大な木。それが月光に照らされる空に、黒い枝葉を伸ばしている。クリンセが後を着きながら、木を観察する。

 ある意味あれがラ・ロシェールランディングといったものなのだろう。

 あとはあそこを上ってしまえばこっちのものだ、空を飛べば追手はついてこれないだろう。

 クリンセが突然立ち止まった。ルイズがそれに気づいて後ろを見る。

 いつからそこにいたのか、そこには黒い影のような人物が立っていた。漆黒の服にまるで浮き上がるような白い仮面をつけた人物だ。服装から体型が判断できず、顔も判断できない故に性別さえもわからない謎の人物だ。

 だが、これが危険な存在だというのはクリンセにだってわかった。逆に此奴さえ撃退できれば追手はもういないだろうという事も。

 

「ルイズ、先に行ってて、すぐ追いつくから」

 

 ワルドも立ち止まってクリンセの方を見る。クリンセが目線を送ると、ワルドが頷いた。その隙を狙ってか黒い人物はクリンセを飛び越すようにルイズに向かって行こうとする。

 

「させないよ!!」

 

 飛び越さんとする影の足をクリンセが引っ掴んで地面に叩きつける。地面が陥没するがそれをものともしないように飛び起き、クリンセから距離を取った。

 

「早く!」

 

 ワルドがメーメーを引っ張り木へ向かっていく。その音を背中に感じながらクリンセは背負ったデルフリンガーを引き抜く。

 

「さて、悪いけど足止めと練習台になってもらうよってうわっ!?」

 

 クリンセが剣を引き抜いたのを見て、仮面の人物が手をかざすと、そこから暴風が溢れ地面を抉りながらクリンセに迫ってきた。間一髪でそれを回避し、デルフリンガーを上段から振り下ろすように一足飛びで切りかかる。ワルドの時と違い、試合としての手加減も減ったくれもないので振り下ろされた剣が地面を切り裂く。デルフが痛えっ! と悲鳴を上げるが気にしたら負けである。避け方に女性特有の体の柔軟性があることにクリンセが気付いた。背の高さはワルド並に大きいので、背が伸びにくいミコッテのクリンセからするとかなり相手の方が背が高い。

 接近したままに剣を叩きつけるが、相手の右腕に防がれる。一見するとただの服の様だが、とてつもなく硬い。刃が立っておらず、腹で殴りつけるようになってしまっていたのも原因の一つだ。

 

「痛えっ! 相棒!! 刃先を立てるのをイメージして振りやがれ! オレは棒じゃねえんだぞ!!」

 

「分かった!」

 

 そうは言われても素人なので、刃先が立たない。動かない物ならまだしも攻防の最中で刃を立てるにはまだまだクリンセには技量が足りていない。

 クリンセの脇を風の魔法が掠め、躱した先に先回りして用意さていた風の鉄槌がクリンセに迫った。デルフの刃が立つイメージをしながらそれを受け止め、風の鉄槌を切り裂く。

 短時間の攻防だが、互いに致命傷には至っていない。だが、クリンセとしては刃を立てるイメージがついてきた。相手もなかなか倒せないクリンセに焦れたのか、何かをつぶやきはじめる。

 呪文だ、と気づいた時にはもう遅かった。

 仮面の女から何かが放たれる。それは風で出来た一枚の鳥の羽根のようなもの。素早くクリンセの目の前に着た瞬間にそこから超える力を介して破壊力の高さをクリンセが悟った。もはや避けられない。少しでも威力を殺すため、後ろに下がる。デルフが叫んだ。

 

「相棒! 構えろ!!」

 

 瞬間、羽のようなものが爆ぜ、まるで竜巻が巻き起こるかのように風の刃がクリンセを飲み込んだ。

 それを満足そうに眺める仮面の女、並の人間では原型も残さないであろう風の暴虐に攫われた子猫に憐憫を向ける。これで邪魔者は消えた、と。

 しかし、消えてなどいなかった。

 

「舐めるなっ!!」

 

 刃の竜巻がデルフリンガーの軌跡に合わせ切り開かれ、まるで破けた水風船のように風の刃を竜巻の中から吐き出しながらクリンセが現れる。クリンセの服に僅かとは言え傷が入り、露出している部分には薄く血がにじんでいるものの、そこまでの損害は与えられていない。しかし、今まで傷一つつかなかったクリンセの装備に対してここまでできるという事からもその風の竜巻の破壊力の高さが伺える。

 予想外に健在なクリンセに意表を突かれた仮面の女に向け勢いに任せ右手一本でデルフが振るわれた。

 それをサイドステップをするようにクリンセの左側に逃げた。片手故にデルフは届かない。しかしそれは、クリンセが剣士で合った場合だ。クリンセの本質は、拳である。忘れてはいけない。

 躱されたとみるやデルフを地面に突き刺して方向転換、顔面に向け左手で全力の拳を叩きこむ。左手版の正拳突きだ。手ごたえと共に仮面を砕きながら、首が捥げ飛んでもおかしくない破壊力で仮面の女を吹き飛ばす。

 仮面の女は数十メトルは吹き飛ばされた。クリンセが再びデルフを握って近づこうとすると、ゆらり、と幽鬼のように立ち上がった。

 仮面の下の顔が月光に照らされる。

 仮面の女は自身の仮面が割れたことに気付くと風で土煙を巻き上げ、その場から姿を消した。

 誰も居なくなり、土煙が晴れた場所を見ながら、クリンセは、その、顔を思い浮かべ、呟くしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ガルーダ』?」

 




ガルーダ
イクサル族が信奉する嵐の神。
最凶の蛮神と恐れられているのだが、アルテマウェポンのせいでヘタレを発揮してしまいかわいい、と言われる。初見で羽を壊さず爆散するのは誰もが通る道。
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