ゼロのヒカセン   作:MKeepr

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サブタイトルの形式を変えました。


六話

 勝利の舞を一通り終えたクリンセが、地面に突き刺さり気絶しているであろうギーシュを引き抜く。けっこうな衝撃にも係わらず、怪我一つない。

 このリミット技の原型は、彫金師と呼ばれる、クリンセが拠点にしていたウルダハのクラフター職のリミット技である『マンダヴィル・メテオドライブ』は、例えば石畳に叩きつけようが、硬い地面に叩きつけようが、服が破ける程度で大けがを負うことはない非殺傷のリミット技なのである。

 別名ウルダハ・スープレックス。

 

(なんだったのあの踊り……いやきっと獣人にとっては大切なものなのね……)

 

 ルイズが真顔で現状を振り返る。

 手を広げ、顔の横に持ってきて左右に振り、さらに両手を体の横でフリフリっと軽快に振る様は滑稽と言わざるを得ないが、きっと獣人の勝利の舞のような物だと突っ込まないことにした。

 実はそんなことはなく、紳士の舞とよばれる物で体が勝手に動いてしまうだけである。

 あまりの馬鹿らしい事態に逆に冷静になるルイズであった。

 

「……ん」

 

 ギーシュの目がゆっくりと開くと、目の前に双丘の谷間が飛び込んできて目がクワリと開く。目線をさらに上にやれば、先ほどまで戦っていた獣人がこちらを心配そうに見ていた。いや、戦いにすらなっていたのか怪しい。

 ならば認めるしかない。それさえ否定してしまえば決闘の名と自身を汚す以外の何物でもないのだから。

 ゆっくりと起き上がるとルイズの方へ目を向ける。

 合わせて立ち上がったクリンセが手でルイズを促すと、ルイズが歩み寄る。

 ギーシュがゆっくりと、謝罪の姿勢を取った。

 

「すまなかった。ミス・ヴァリエール、ギーシュ・ド・グラモンとして、ここに謝罪させてもらう」

 

 そして高らかに宣言する。

 

「君たちの勝ちだ」

 

 静まり返っていた広場が歓声に包まれた。

 

 

 

 

 

 

「獣人にもメイジ殺しはいるのかしら?」

 

「それは無い」

 

「どうして?」

 

「メイジ殺しなら合理的」

 

 少し離れた場所から様子をうかがっていたキュルケと、それに無理やり連れてこられた、長い杖と青色の髪を持つ少女、タバサが受け答えをする。

メイジ殺し、とはその名の通りメイジを殺すことに長けた平民の暗殺者である。あんなのがメイジ殺しの当り前だったら今頃貴族は廃業不可避である。

 

「それにしても、予想通りね。どうしてわかったの?」

 

 キュルケが、ルイズが血相変えて使い魔の元へ行った後、タバサに何気なく聞いたことだ。

 あの使い魔―――クリンセと、ギーシュどちらが勝つだろうかと。

 タバサは即答と言っていいほどに悩む様子もなく、クリンセと答えたのである。

 キュルケの笑みを含めた問いに、再び本を開こうとしたタバサが億劫そうに本を閉じて喧騒へ目を向ける。

 生徒たちで構成されていたコロシアムは教師たちによって蜘蛛の子を散らすように崩れ、ギーシュとルイズはそれぞれ教師たちに別の方へ移動させられているところだった。

 タバサの目はのんびりと歩く、白銀に青を落としたような髪を持つクリンセに向けられていた。

 

「見てればわかる」

 

 動作が洗練されている。それこそメイジ殺しの連中とは格の違う動きだ。

 だが、その全体の流れは連中の合理性の塊と言える流れとは程遠い。

 真にメイジ殺しならばギーシュが杖を抜く前に屠ることでワルキューレなど生み出す暇もなかっただろう。

 それに対し、あの獣人のソレはまさしくメイジのような存在と正面からなぐり合ってきたような物だ。そもそも青銅とはいえメイジの作った金属を真正面からただ拳でぶち壊す時点でメイジ殺しも何もない。

 なんども言うようだがあんなのがメイジ殺しとしてごろごろいるようだったらメイジは貴族に何てなれない。

 

「………」

 

 タバサがちらりと見たキュルケの顔は、子供がおもちゃを見つけたような笑みとも、肉食獣が獲物を見つけたような笑みとも取れた。普段ルイズに対してちょっかいかけて楽しそうにしているキュルケのその笑みに、ルイズは溜息を残してその場を離れようとする。

 

「あら、私もついて行くわよ」

 

「……好きにすればいい」

 

 素直じゃない友人に抱き着くキュルケなのであった。

 

 

 

 ルイズとクリンセが連れてこられたのは再びの保健室である。正確には医務室らしいが、クリンセ的には学校にあるなら保健室である。

 理由は単純で、ギーシュのワルキューレを素手でぶち抜いたせいで怪我をしているのでは、と思われた故だ。本来なら担当の水のメイジ先生が治療をしてくれるのだが、その担当は今ギーシュの方を見に行っているらしくいない。見た目のボロボロ度でいえばギーシュがひどいので当然の措置である。

 

「い、いいよルイズ。別に私怪我してないし」

 

「うるさい! この馬鹿猫!! あんたが怪我してないって言ったって私自身の目で確認しなくちゃ信用しないからね!!」

 

 ルイズが強引に服を引っ張るがただの布のようなその服は千切れる様子も何もないが、着ている本人であるクリンセの首が締まるわ、服の圧力でいい感じに歪む双丘を見てルイズが余計に怒りさらに引っ張るわ治療どころか追い打ちである。

 ようやく収まったルイズをベッドに腰掛けさせて手甲を外す。ゆっくりと置かれた手甲をルイズが興味深げに眺める。対してクリンセは自分の左手のルーン文字の頭文字が光っていることを確認した。

 ルイズが包帯やらを引っ張り出してクリンセの手に臨むが、傷一つなく、痣もない綺麗な手をしていた。

 

「ほら、何ともない」

 

 ここは喜ばしいことだ。使い魔がメイジに素手で勝ったうえに怪我もなく帰ってくる。

 だがルイズはそんな単純な人間ではない。

 ルイズの場合はこうなる。

 

「私があんなに心配したのに!! どういうことよこの馬鹿猫ォぉおぉぉ!!」

 

 急に立ち上がったと思うとクリンセの頭を掴んで揺らし始める。いくら三半規管が鍛えられているクリンセでもこれは辛い。前後不覚になってルイズを押し倒すようにベッドに倒れた。

 双丘がクッションとなってルイズの鼻がつぶれることを回避したが、その柔らかさにルイズがさらにキレかけたとき、入口から声がかかった。

 

「ミス・ヴァリエール。いらっしゃいますか?」

 

「!? はい!!」

 

 女性のゆったりとした落ち着きある声に、ルイズはクリンセを横に弾き飛ばして立ち上がり、背筋を伸ばして服を整えた。

 やってきたのはミス・ロングビル。緑色の髪に眼鏡をかけた美人である。歩くたびヒールの音が部屋の中を反響する。

 問題ありな学院長を支え、紳士な働きを見せる淑女としてルイズは一種の憧れと、スタイル的な意味合いで嫉妬という名の憧れもしている。

 

「何かご用でしょうか、ミス・ロングビル」

 

「学院長がお呼びです。理由は、……その獣人に関してです」

 

「……はい」

 

 やはりか、とルイズは心の中で嘆息した。わかりきっていることだ。騒ぎになったし、教師が散らしに来た。ただ、いきなり学院長から直接、というのは予想だにしていなかった。

 これは場合によっては実家に連絡がいく。

 そうなると地獄絵図が発生することは想像に難しくなく、想像してしまったルイズの胃が胃液をまき散らして痛みを訴えた。

 だが、ここまで来てしまったなら腹をくくるしかない。自分の為怒ってくれた使い魔の気概を、その胸の双丘やらに嫉妬があるが、ルイズは認めている。

 ならば今度は主たる自身が気概を見せる番だ。

 ベッドで上半身を起こしてロングビルの方を見ているクリンセにルイズは声をかける。

 

「行くわよ、クリンセ」

 

「りょうかい」

 

 ベッドから跳ね起き着地したクリンセは外した手甲をまたすぐつけてルイズの後ろに着いた。

 不安なルイズにとって、クリンセの存在はなんだか、とても心強かった。

 

「ところで」

 

 ロングビルが小声で、ルイズに話しかける。

 

「いくら医務室とはいえ、使い魔とそういうことをしようとするのははしたないかと」

 

 そういえば、ルイズのあの動きはそういうことをしようとしていたのを邪魔されて着衣を急いでただしたように見えなくもなかったかもしれない。その後ろにベッドに寝ていたクリンセがいたならばなおさら。

 

「違います!!」

 

 ルイズは顔を紅くして否定するのだった。

 




クリンセ・マム
身長162サント 85/61/86
どこがとは言わないが双丘と谷。ホーリーレインボーストライカーシャツが悪い。

ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール
身長153サント 76/53/75
どこがとは言わないが平原。コンプレックス。

キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー
身長171サント 94/63/95
どこがとは言わないが山。脱がなくてもすごい。

シエスタ
身長162サント 83/60/85
 隠れた巨峰。脱ぐとすごいんです。
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