Fate/Meltout -Epic:Last Twilight- 作:けっぺん
ただ、普段使っていない鯖を使えるのは中々に面白いですね。
育てたけど使っていない鯖が結構多いので、活躍の機会を設けられるのは嬉しいところです。
ところで、GOマテリアルがもうすぐ我が家に届きます。
多分、次回以降よりある程度、マテの内容も含んでいくと思います。
これまでの時点で矛盾があったらそれはもう知らないです。
始まりの日。
その後は城から出ることなく、夜を迎えた。
規模に比べ人の少ない城で、細やかながら開かれた宴席。
主にアルトリアとブーディカが騒がしたそれも幕を閉じ、解散となった。
それぞれに貸し与えられた部屋に案内され、今日は一先ず休息を取る、ということに落ち着いたのだ。
「……良い夜ですね。まさかこうして、ハクトさんたちとまた夜を迎えることになるとは」
「そうだね。あの事件が終わった頃は……もう二度と会うことはないと思ってた」
しかし夜もまだ深まってはいない。
そこで、もう暫く話をしないかとレオが提案してきたのだ。
「にしても、驚きましたよ。今日この時代に降りたんですね」
「そこは僕たちも驚いた。正しい時間ではほぼ同時期だった筈だけど……こんなにも差があったなんて」
そう。レオは、この時代に来て二日が経過しているらしい。
その間、オペレーターもなしであったこと……危険もあるし、やはり反省点となるか。
行き当たりばったりであったのは否定できない。それでも、こういうことを想定して策を講じておくべきだった。
「まあ、そのおかげで貴方が来るまでに状況が掴めました。良しとしましょう」
言って、レオは酒を口に含む。
最初は多少驚愕したものだが、当然レオは既に成人である。
彼のこうした挙止動作が、十年という歳月の長さを表している。
「……ん? どうかしました?」
「いや。……やっぱり、懐かしいなって」
「確かに。再会ならば……もっと別の形を望んでいたことは否定できませんが」
「……また事件に巻き込んでしまったこと、本当にすまないと思ってる。今回も、あまりお礼は出来そうにないけど……」
「構いません。事が世界の危機に及ぶなら、僕も出向かない訳にはいきません」
また出会えるのであれば、何の事件も起きていない、平和の中でということを求めていた。
望むならば、この事件を大事なく終わらせて、皆をまたムーンセルに招きたい――そうも思う。
レオは一旦言葉を切った後、寧ろ、と続ける。
「月の眼がなければ、我々は何も手立てがなかったかもしれない。解決に手を貸せること、少なくとも僕は嬉しく思いますよ」
その、レオの優しさに少なからず助けられる。
或いは本心を隠しているのかもしれないが……それでも、協力してくれることは嬉しかった。
レオは残った酒を飲み干し、器をテーブルに置く。
「お開きにしましょうか。明日も何が起きるか分かりません」
「そうだね。お休み、レオ」
レオの部屋を後にする。
そう離れていない場所に、僕たちに与えられた部屋がある。
「ハク、王様との話は終わったの?」
「ああ。さて、休むとしよう」
メルトは部屋に残っていた。
もしかすると、気を回してくれたのかもしれない。
「その前に。吉報があるわ。いえ、吉報かどうか、至極微妙だけど……」
「ん?」
『カレンちゃん、見つかったよ』
「――――!」
ようやく、と安心感が全身を包む。
行方知れずとなってから、体感していた時間は一日程度だったが、それでも大きな不安の種だった。
僕たちと同じように、何処か別の時代に降りたカレン。
AIたちが各時代の検索とマスターのオペレートを行っている以上、発見は遠くないと思っていたが……
「それで……?」
『時代識別番号、二番。1498年のイタリア、ミラノで確認したよ。オペレーターはBBちゃんが担当してる』
そうか……現在は
それぞれの時代の異変が大きすぎる以上、互いの通信は恐らく不可能だ。
出来れば、何も手を出さず、月に戻ってほしいが……残念なことに、誰に似たのか自分以外の誰かが起こした目の前の異常をどうにかせずにいられる性格ではない。
「……くれぐれも注意するように言っておいて。ヴァイオレットがいるなら、その辺りは大丈夫だと思うけど……」
『了解。他にも一人、マスターが同じ時代にいるみたいだし、上手く協力できれば大丈夫かな』
協力、か。
当然ながら、カレンが地上に在った人間と出会うことは初めてだ。
その時代に行ったマスターがどんな者かは分からないが、上手く協力できる人物か……。
此処で気にしていても何にもならないのだが、不安は残る。
「……一先ず、こっちはこっちでやるしかないわね。カレンも、馬鹿な訳ではないわ」
「そう、だね」
カレンは利口だ。機転も利くし、よくそれを悪用して小さな騒ぎを起こしていた。
その判断力を上手く扱えば、恐らく大丈夫だろう。
『とりあえず、休んだら? 一応、周りの警戒は強めておくから。それから、もう一人のマスターとコンタクトを取ってみる』
「ああ――頼む、白羽」
この次代の観測は未だ不安定のままだが、観測の中心であるマスターたちの周囲の生命反応くらいならば分かるらしい。
そして……可能であればもう一人のマスターとも協力したい。
どうしても別行動というならば仕方ないが、一つになった方が策も練りやすい。
「じゃあ……休もうか」
「ええ」
未だに慣れない大気中の神秘の中で眠るのには時間が掛かった。
だが、それも何時間と続くこともなく。
夜の深みが極まる前に、意識は沈んでいった。
翌日、昼過ぎ。
僕とメルト、それからブーディカは、キャメロットを出ていた。
というのも、またもアルトリアがその鋭いらしい直感を働かせたことにある。
“――今のは……サーヴァントというものですか?”
そう言われても、此方は何も分からない。
白羽が確認出来るほど近場にいる訳でもないらしく、こうして出向くしかなかったということだ。
アルトリアも付いて行きたいと志願したが、流石にアグラヴェインによって制された。
騎士王として完成された頃は、そのようなこともなかったのだろう。止めるアグラヴェインは、何処か慣れていない様子だった。
「じゃあ、僕たちの時は偶然だったってこと?」
「そ。偶々近くにいたあたしが、偶々君らを発見しただけ。まあ、あのまま手ぶらで城に戻ったとしても、そのうちアルトリアが気付いてたんだろうけど」
こうして城の付近を警戒して回ることは、ブーディカにとって日課のようになっているらしい。
だが今回はそれが、れっきとした目的のあるものになっている。
またも召喚されたらしいサーヴァント。
ムーンセルによって召喚された、協力意思のあるだろう英霊を発見することが、今回の目的だ。
「君らに会えたのは僥倖だったね。レオも喜んでたし」
ブーディカは、それがまるで自分のことのように嬉しそうに笑う。
その笑顔に、少し感じ入るものがあった。
これほど心優しい彼女が、アヴェンジャーとしての適性を持つことになった経緯。
ローマによって蹂躙され、一体どれほどの苛烈な憎悪を抱いたのか。
もしかしたらそれを、今はひた隠しにしているだけではないか、と。
「……ん? どうしたの?」
「いや……なんでもない」
「……? 変なの。隠し事は良くないぞ?」
軽く責めるような口調のブーディカは、例えるならば母のようだった。
本当になんでもない、と返し、思考を切り替える。
彼女がどう思っているにしろ、やはりそれを勝手に考えるのはあまりに失礼だ。
「なら良いけど。ところで、さ」
ブーディカはふとメルトに目を向ける。
「なんかあたし、メルトに嫌われるようなことした?」
――そういえば、ブーディカに同行すると言った頃からどうにも、メルトの機嫌が悪い。
というより、何処かブーディカを敵視しているように見える。
「……別に。ただ、あまりハクに近寄らないで貰えるかしら」
「あー、そういうこと。大丈夫、あたしは旦那さん一筋だから。君のカレシ……ん? まあ、関係性は良くわかんないけど、ハクトを取るつもりはないよ」
……どうも、そういう訳らしい。
こういうメルトの思い違いは多いが、周囲から見ればそんな風に見えているのだろうか。
「あの、メルト? もう少し信頼してほしいんだけど……」
「信頼はしているけれど……まあいいわ。程々にね」
どうにも疑いが晴れていない。
どうしようか、と考え始めた矢先、妙な空気を払拭する白羽の一声が掛けられた。
『えっと、皆。サーヴァントの反応、見つかったよ。数は二騎、そこから真っ直ぐ。なんか向こうからも近付いてくるみたい』
「ッ」
談笑から気持ちを切り替える。
観測の中心となっている僕たちが近付いたことによって、ようやく把握できたようだ。
アルトリアに成り代わってブリテンの王になっている存在が強力な敵であるならば、是非とも協力したい。
白羽が昨夜連絡を取ってくれたマスター――どうやら日本の出身らしいが、自身の方針があるらしく単独行動を行うとのことだ。
一つの敵を討つ目的が一致している以上、それでも構わないが……やはり、共闘できる状態でいることに越したことはない。
「さて、どんな人たちだか。君たちみたいないい子だと話が早いけど」
「話の通じないバーサーカーでないことを願うほかないわね」
暫くすると、二つの人影が見えてくる。
「――――」
「……メルト?」
突然として立ち止まったメルトに振り返ると、目を丸くして声を呑んでいた。
その驚きようは、昨日レオと再会した時のような。
「おぉ、これは心強そうだね」
ブーディカの感嘆。
メルトとブーディカのそれぞれの反応に適したサーヴァント。
メルトの手を引いて、また少し歩く。ようやく、その姿が鮮明になってきて――
「あ――」
見えてきた。
二人の騎士。そのうち一人は、見覚えがあった。
背中に剣を背負った長身。銀灰色の長い髪は後ろで左右に分かれ、強靭な肉体は胸元の大きく開いた鎧に身を包む。
厳格さを表出する顔立ちは、かつて大きく頼りにしたものだ。
「――なんだあ? 女となよっとした男じゃねえか。期待外れも良いところだぜ」
そして、もう一人は、初めて見るサーヴァントだ。
背こそ低いが、全身を覆う鎧は重厚で、生半な攻撃など微塵も通さないだろう。
二本角の兜、その奥から覗く双眸は眼光だけで人を切り裂くかの如き鋭さ。
そんな騎士は、声が届く距離になるや否や、そんな挑発染みた言葉を投げてきた。
「しかし、この戦地でお前が悟った者が彼らなのだろう。ならば間違いないのではないか」
「だけどよぉ、だからってこいつらは……まともに剣の一つも持てなさそうじゃねえかよ」
顔を覆う騎士は、どうやら不満だったらしい。
遠慮もなく愚痴を吐く騎士に応じる男は、此方に向き直る。
「すまない。お前たち、我々が此処に呼ばれた理由――この国の状況を知っているか」
その男は、此方を知っている様子はなかった。
当たり前だ。英霊に二度目の召喚があれば、一度目の記憶は引き継がれない。
当然のように初見である男の問いに答え、状況を説明する。
召喚の理由と、この時代の
騎士王から離れたブリテンが、何者かの手によって支配されていること。
「……そうか」
話し終えた時、先に口を開いたのは、兜の騎士の方だった。
少しの間、思案するように顔を伏せていたが、やがて顔を上げ、虚偽は許さんという威圧を込めながら聞いてくる。
「そっち側にち……騎士王は生きて、残ってるんだよな?」
「え? ――ああ」
「なら、決まりだ。オレはお前たちに付く。騎士王の元へ連れていけ」
騎士王の存在が、どうやら決定打だったらしい。
騎士は兜の現界を解れさせ、素顔を晒す。
「――――女?」
現れたのは金髪を後ろで結んだ、アルトリアに瓜二つの少女だった。
疑心を覚え、メルトが呟くと、その鋭い眼がメルトを刺す。
「二度目はない。オレを女と呼ぶな」
彼女にとって、性別の話は禁忌なのかもしれない。
その殺気に、メルトは黙り込んだ。
それを確かめ、仕切り直しと、少女は溜息を吐く。
「……オレはモードレッド。騎士王アーサーの息子たる、真として王座を継ぐべき騎士だ」
その名前は、この時代から暫く後、最も忌まれるであろう名だった。
モードレッド。アーサー王の義姉モルガンが奸計により、アーサー王との間に作った子供。
円卓の騎士の一人にして、アーサー王の栄光を終わらせた叛逆の騎士として名を残している。
だが、その騎士は、この時代を救うために現れた。
もしかしたら――自分以外の存在に脅かされるこの国に、何かを思ったのかもしれない。
「次は俺だな」
そして、続いて男も前に出てくる。
彼の真名を知っていた。どのような英霊か、どんな宝具を持っているかも、理解していた。
何故ならば――
「俺は、ジークフリート。此度、セイバーとして召喚に応じた。お前は言わば召喚者――マスターだろう。よろしく頼む」
その竜殺しの英雄に、かつて月の裏側の事件で力を借りたからだ。
「へえ、どっちも、凄い英雄みたいだね」
「ああ……よろしく、モードレッド。ジークフリート」
紛れもなく強力であろう英霊二騎が味方となった。
敵は未だ不明瞭なれど、状況は良いと言えた。
――不明瞭な、今のうちは。
+
――そして、観測する。
その事件の、最初の終わりを。
「や、めて……助けて、ジル……!」
「ああ……ジャンヌ……どうか、憎悪を捨てぬよう……そうすれば、いつか、また……」
その時代の癌であった二つの悪が、消えていく。
野望は志半ばに果て、霊核はその残骸すら残らずズタズタに裂け。
邪に手を染めた魔元帥と竜の魔女は、粒子となって世界に溶けていった。
「はいっ。お仕事お終いっと!」
悪を祓った正義は殺人の後とは思えない呑気な声を零した。
「で、コトミネって言ったっけ? コレで良いんでしょ?」
『ああ。間違いなく、この時代のフランスの癌は取り払われた』
悪辣な
しかし達成感に浸っている様子はない。そこにあるのは、目の前に先程まで在った惨状への愉快さだけ。
「よし、よし。これでセカイを救うのに、一歩近付いた訳だ。嬉しいものだね」
そんな、本心とは裏腹であることが赤子でも分かるような虚言に顔を顰めたのは、隣に立つサーヴァントだった。
「……やはりか。この戦で理解した。貴様、真実外道であったか」
「外道? まさか。敵に情けを掛けないことに外道も何もないよ。魔術師たるもの時には冷酷に、さ」
「なるほど。戦場の常は理解しているが――貴様たち暗がりの在り方は生涯知ることはなかった。此処までのものだったとはな」
「厳しいな。この解決に思うところがあるかい?」
「無論だ。黒く堕ちたとはいえ我が先達。ここまでされて不愉快にならぬ筈がない」
「それは悪かった。確かに無神経だった。今後は気を付けるよ」
事を終えた魔術師は血に濡れた手袋を不快そうに投げ捨てながら、己のサーヴァントの物言いに返答する。
サーヴァントたる少女はキャスターではあるが、魔術師の心情を知らぬとばかりに苦言を吐いた。
「で、コトミネ? そっちに戻って、次の仕事はいつから? そっちでは何日くらい経ってる?」
『休みたいとあれば、幾らでも。次は全員が帰還してからだ。その後地上の日付と照らし合わせるが――凡そ二日、三日と言ったところではないか?』
「ふうん。流石、時代の異常なだけある。随分誤差が生じているねえ」
『では、帰還の術式を組もう。大人しくしていたまえ』
オペレーターの言葉に頷いて、カリオストロは瓦礫に座り込む。
「……一つ問う。貴様、もう一人のマスターが連れるサーヴァントを知っているのか」
その問いに、少年の笑みが一瞬消えたのを、キャスターは見逃さなかった。
沼の底が如き、濁った眼が少女を捉える。
感情は読めないながらも、良いモノではないことを、キャスターは直感で悟った。
「さて、どうだか。まあ、天然なお姫様に知り合いはいるけどね」
「つまり、その知己に重なったものを感じたと?」
「そういうこと、そういうこと。まあ、気に入っていると言っては嘘になるか」
キャスターでも、その眼の奥に在るものを読み取ることが出来ない。
だが、それは高名な英霊であるキャスターが、言いようのない不安を覚える程のものではあった。
「しっかし。気になるのはマスターだね」
「さしたる才でもないように思えたが?」
「その通り。だけど……ああ、人生を努力に捧げてきたことが分かった。そういうのは僕は好きだ」
「ほう。貴様にも人並みの倫理があったか」
カリオストロの言葉は紛れもなく本心だった。
そう見て取ったキャスターは、多少なり、外道な魔術師の評価を改める。
同じ時代の修復を目標とした、もう一人のマスターは真実善人だった。
カリオストロとは性質が明らかに違えど、好ましい部分があったようだ。
それが、努力の如何。なるほど、年月を積み重ねた努力というものは、キャスター自身も嫌いではない。
それこそが人の可能性である。キャスターも、縁が無かった訳ではない。
「僕だって努力の人だ。同胞として、ああいう若人は期待できる」
――やがて、帰還の術式が起動する。
此度の戦いを経て、キャスターはマスターを測っていた。
正体不明で、何処か引っかかるマスターが何者であるのか。
ごく僅かに見えた人並みの感情に、小さな可能性を見る。
だが――それは濁った瞳に、いとも簡単に呑まれてしまう程度のもので。
「……若人、か」
その始まり以上に、警戒を強める。
どうせ邪なのだろう目的とやらが何であるのか、未だ見えず。
一先ずキャスターは、それがサーヴァントの役目と口を出すことなく静観することにした。
『救国の聖処女
AD.1431 邪竜百年戦争 オルレアン
人理定礎値:C+』
――――定礎復元――――
モーさんとすまないさんことジークフリートが仲間入り。味方強すぎないかな。
CCC編の短編やら夢の対決にて、モーさんとは知り合ってますがあくまでギャグシナリオにも等しい話のため、此方とは直結していません。そのため、彼女とは初対面となります。
また、カレンについて、少し判明しましたがそれだけです。特異点の内容について書かれることはありません。
ただ、万能なあの人が何かしら関わっているとは思います。
そして、早くも一つの時代が解決。残る特異点は29です。邪ンヌとジルに慈悲はないです。
次回から、キャスター以外のオリ鯖が登場します。
登場以降に公式で登場しても、変更は出来ないので突っ走ります。アルジュナもセーフだったし行ける行ける。