Fate/Meltout -Epic:Last Twilight-   作:けっぺん

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FGO二周年、フェス行った方はお疲れ様でした。
曜日半減期間もあと少し、頑張りましょう。

さて、二章も残すところ二節となります。


第二十一節『変転、時代の終焉』

 

 

 ローマ宮殿から出る。

 ラーヴァナと杯によって現界していた羅刹たちは役目を無くし、徐々に消滅していく。

 だが、それでこの時代の災厄は終わらない。

「流石に、ここからだと見えないか……」

 神殿で何が起きているのか。

 いや、何であろうと、向かわない訳にはいかない。

 例えオジマンディアスになんら異常が起きていないとしても、聖杯を回収しなければ特異点は解決されない。

「サクラ、解析は?」

『まだ途中です、サーヴァントの霊基に近しいですが……ッ、皆さん、前方を!』

 解析に集中していたのだろう、サクラは気付くのにやや遅れた。

 この場にいる僕たちは、気付いていた。

 一度目の前に立てば忘れることのない圧倒的な気配。

 ラーヴァナに決して劣らない脅威が待ち受けていることに。

「……ラーヴァナは、死んだようですね。やはりいつの時代だろうと大魔の栄える事は無し、ですか」

「……アルジュナ」

 白い装束に身を包んだ大英雄は、僕たちを待ち構えるように街路の中央に立っていた。

 ラーヴァナのサーヴァントとして召喚されたアルジュナ。

 彼はまだ、生き残っていたのだ。

「ええ。約定通り、傷を癒し参じました」

「……ラーヴァナはもう消えた。戦う理由があるのか?」

「ええ。極めて私情ですがね。我が顔を見た者を生かしておく訳にはいきません」

 アルジュナの逆鱗に触れた要因を、未だ悟ることは出来ない。

 わかることはただ一つ――。

 彼は、僕たちを殺すつもりだ。

「……そこをどけ、もう一つの聖典に語られし大英雄。余は貴様と争っている暇はない」

「通りたければ通るがいい。私が射抜くはその者たちのみ。剣を向けるとあらば……受けて立ちますが」

 複数のサーヴァントを相手にしても、アルジュナは一切敗北を考えない。

 ラーマという同等の英霊がその中にいても、等しく、一つの外敵として――。

「……ローマのサーヴァントたち。周囲の避難を。この辺りは危険だ」

「……承知した。お前も頼むぞ、クレオパトラ。カリギュラも、この行動ならば狂気も収まろう」

「はい。皆様、ご健勝を」

「ッ、女神……ディアーナ、余、は……」

「良いから、さっさと行きなさい。貴方の行動は一々読めなくて厄介よ」

 カエサル、クレオパトラは迅速に行動する。

 このローマ領にいるのは戦士だけではない。呼び出されただけの一般人もまた存在している。

 自身を守る手段のない彼らを避難させないと、アルジュナとの戦いでは周囲の被害は免れまい。

「……愚かな。民を巻き込まぬ姿勢は見上げたものですが、私を倒すつもりとは思えませんね」

「いや。突破させてもらう。立ち塞がるなら、貴方を倒す」

「そうですか。加減はしません。どうか、覚悟を」

 ラーヴァナと戦った直後で、此方は消耗している。

 全快の状態だろうアルジュナを倒すのは至難の業だが、やるしかないのだ。

『ッ――前方から高速で反応接近! これは――!』

 しかし、その時。

 膨大な魔力の接近を感知する。

「――まさか――!」

 アルジュナもまた勘付き、咄嗟に反転、ミサイルの如き矢を射出する。

 炎熱を伴った“それ”は矢を弾き、アルジュナと僕たちほどの距離を置いて着地した。

「どうやら羅刹王討伐は叶ったらしいな。その後何が起きたかオレの知る事ではないが……お前たちの様子を見る限り未だ有事は続いていると見える」

 荘厳に輝く黄金の鎧が覆う細い肉体。

 目の前の敵と正反対な白い肌と、虚飾を是としない瞳。

 それは、僕が知る限り最強クラスの英霊。

 そして――

「……そうか。貴様が世界を正す側に呼ばれた。ならば私が羅刹王に呼ばれるのは必然だったということか」

「然り。お前が悪ならば、オレは善に立つ。それがオレたちの摂理であり運命。この宿痾あればこそ、オレたちが同じ陣営に立つことなどあり得まい。そうだろう――アルジュナ」

「ああ――世界の帰趨などどうでも良い。私は、何にも邪魔されずに貴様との決着をつけたかった。これは、この召喚で、いや――英霊となってから、初の歓喜だよ――カルナ」

 ――授かりの英雄アルジュナ。

 インドの叙事詩マハーバーラタに謳われし、秩序と誠実の権化たる大英雄。

 彼が生涯最大の宿敵と定めた施しの英雄。

 エジプト領の英霊として召喚されたカルナは、その瞳にそれまでにない感情を込めてアルジュナと相対する。

「行け。この男はオレが討つ。オジマンディアスは任せたぞ」

「カルナ――」

 彼は、特段僕たちを助けるべく来た訳ではない。

 自身の相手はアルジュナ。これは、バビロン会議の折に決めたこと。

 生前より希った、一切邪魔されることなく、互いの武を競い合う戦い。

 それが、遂に成し遂げられるのだ。

「……頼む。僕たちは、エジプト領に向かう」

「ああ。ウシワカが待機している。合流するがいい」

 此方を見ることなく――既に、その視線はアルジュナのみに向けられている――カルナは告げてくる。

 ここは既に、カルナとアルジュナの戦場となった。

 最早この戦場において、僕たちの存在は不要なものなのだ。

「行こう。メルト、ラーマ!」

「ええ!」

「武運を!」

 二人の横を通り抜けていく。

 誰も、妨害する者はいなかった。

 アルジュナも、カルナも、少しでも意識を此方に移せばその油断を互いは突ける。

 そんな決着は許されない。二人は何者にも邪魔されない、ただ武と武をぶつける戦いを望んでいる。

 この特異点において、これ以降彼らと話すことはないだろう。

 どちらが勝つか――神話の戦いが再現されようとも、その結果は知り得ない。

「……随分と気にかけているな。貴様のそのような眼、見たことがない」

「そも眼差しを交わすことさえ少なかっただろう。少々彼らに不思議な感覚を抱いた事は否定しないがな」

「ほう? その感覚とは?」

「さて、な。英霊の身ではあり得ない事だが……あの背中を、知っているような気がしただけだ。疑いもせず、信頼以外の何かで繋がりを確信しているようなあの男の背中を、な」

 走っていく。走っていく。

 遠ざかっていくカルナとアルジュナの語らい。それが聞こえなくなった頃、耳をつんざくような轟音が背後で聞こえてきた。

 振り返って確かめるまでもない。それは開戦の証だ。

 神話の弓兵と、神話の槍兵。信念をかけた戦いを背に、僕たちは“それ”へと向かっていく。

 

 

 ローマ領からエジプト領へ行くにおいて、必ずしも王都バビロンを通る必要はない。

 三国の中心部にあるバビロンを中継するのは、寧ろ遠回りと言える。

 僕たちは時間を優先し、ローマ領から直接エジプト領へ行く道を選択した。

 そして、間もなく国境――二領の境だ、と言う時。

「よぉ、あの女の討伐は終わったか。ご苦労さん」

 通路を塞ぐように立っていた英霊が目に入り、足が止まった。

「クー・フーリン……!」

「おうよ。本当はそっちに行きたかったんだが、生憎オジマンディアスに神殿の守護を任されててな。自分がバビロンにいるからそっちの指揮はいらねえって事だったんだろうが……」

 自分が決戦においてあの混沌とした戦場にいなかった理由を説明するクー・フーリンは――何故か、言いようのない雰囲気を纏っている。

 間違いなく味方のそれであるというのに、何処か――

「……そうか。それで何故その神殿の守護者がここにいる。余は一刻も早くあそこへ向かわねばならん。無論、その道を通してくれるのだろうな?」

「ああ……ラーマ、アンタはやめとけ」

 邪魔が入ることに、いい加減苛立ちを感じたのだろう。

 僅かに声を低くしたラーマの問いを、クー・フーリンは首を横に振って拒絶した。

「アンタの嫁さん、ありゃもう無理だ。オジマンディアスの最後の命令だ、アンタを通す訳にゃいかねえ」

「何……?」

「あちらこちらに転移のルーンを張っといたんで、オレはどうにか此処まで来れたが……あとやる事はアンタへの阻止だけだ。この先へ行っても良い未来なんてねえよ」

 即ち――シータは、助からない。ラーマと会えることはない、と。

 であれば、此処で彼は止まるのが正しいのだ、と。

 この特異点で幾度か話した限り、彼は命令があってもそんな邪魔をする人物ではないように思えた。

 しかし、その目は何処までも本気だ。遊びのない眼差しは、その結論が冷静に考えたがゆえのものであると証明している。

「……オジマンディアスは、どうなってるんだ?」

「嫌でも分かろうさ。ありゃ英霊の一人二人が行ってどうにかなる問題でもねえ」

 やはり、変質した聖杯の影響でオジマンディアスに何らかの異変が起きていることは間違いないらしい。

 それでも――

「……退け、光の御子。例えどれだけ低い確率であろうとも、これは余がシータと出会えるまたとない奇跡だ。それを、邪魔しないでくれ」

「悪いがな、オレにもここまでアイツに付き合ってきた義理がある――通りたけりゃ、押し通れ」

 断固としてラーマの懇願を聞き入れず、クー・フーリンは杖で大地を一度叩く。

 瞬間、顕現したのはルーン魔術による陣地構成。これは――

「お前らは知らねえだろうな。だが、オレらにとってこれは不退転の戦場の証明だ。この陣を布いた戦士に敗走は許されず、この陣を見た戦士に退却は許されない。無論、戦いを放棄して先へ行くことも、な」

「貴様――!」

 四つのルーンによる結界――魔術師(キャスター)として現界したクー・フーリンは、この秘儀を陣地にまで昇華させたのか。

 ラーマとクー・フーリンには一目でわかる束縛が掛かっている。

 それは戦士であるがゆえ。この陣が発動した以上、彼らは戦いから逃れられなくなった。

「ああ、坊主と嬢ちゃんは戦士じゃねえか。だが、先へは行かねえ方が良いぞ。あんなモノ、見ない方がマシだ」

 僕たちは、この陣の束縛を受けない。

 戦士として生まれた訳ではなく、今もそう在る訳ではない。

 先へ行くなら止めはしない。だが、それでもクー・フーリンは忠告してきた。

 一体この先に何があるのか。彼が止めようとも――僕たちは止まる訳にはいかないのだ。

「……ハクト、メルトリリス! 先へ行け! どうか、シータの無事を……そして、この時代の、恐らく最後の腫瘍を絶て!」

「……分かった。ラーマ……君とシータには、色々と教えられた。ありがとう」

「私からも、礼を言っておこうかしら。貴方たちの関係が、ハクの楔になってくれると良いのだけど」

「ふっ……礼などいらぬさ。余もシータも、ただ己がしたい事を成し、言いたい事を言ったまで。それでお前たちが成長したなら、それはお前たちの成果だ」

 もしかしたら、ラーマはすぐにクー・フーリンを打倒し、合流できるかもしれない。

 そんな期待はあったけれど、しかし、これが別れになるという確信もあった。

 ラーマを残し、走る。クー・フーリンと目が合う。

 何かを告げているような気がした。それを問うことも、彼が自分から告げてくることもなく、通り過ぎる。

 僕とメルトだけになった。この先で、牛若が待機している。早く合流し、神殿へ向かわなければ。

 この時代の戦いを、終わらせるために。

 

 

「白斗殿! メルト殿!」

 ラーマと別れて十分ほど移動したところで、牛若と合流する。

 見たところ、傷はないようだ。

「無事で何より。突如沸いた鬼どもをカルナ殿と共に始末していたのですが……収まったところを見るに、羅刹王とやらの討伐は叶ったのですね」

「ああ……だけど」

「分かっています。この距離でも感じられる、神殿からの邪気……すぐ向かうべきでしょう」

「ええ。行くわよ。ここで止まってる暇はないわ」

 一刻を争う事態だ。

 少しでも早く向かい、現状を把握しなければならない。

「元より、そのつもりです。では、行きますよ!」

「ッ――」

 牛若に手を引っ張られる。

 メルトはもう片手に。そして、牛若が跳び上がったと同時――牛若が馬を召喚した。

 小柄な白馬。牛若は素早い動きで僕たちを後ろに乗せると、馬の横腹を軽く蹴って走らせる。

「許せ、太夫黒。そなたの小さな体で三人を運ぶのは酷な事だろうが、事態が事態だ。例え慣れぬ砂の地だろうと、駆け抜けられような?」

 牛若の愛馬たる太夫黒は、主の問いに答えんとばかりに力強く嘶く。

 騎乗の心得の無い僕は、やはり聖骸布の力がないと満足に乗る事さえできない。

 前に座るメルトにしがみつきながらも、振り落とされないよう注意する。

 自分の足で走るより、遥かに速い。ここで足手まといになり、辿り着く時間を遅らせる訳にはいかないのだ。

「お前たち、生きていたか――!」

「ッ、百貌の……!」

 エジプト領に入り、砂漠の地に、僅か太夫黒の足が鈍った頃。

 その横を並走するように、黒い影が現れた。

 僅か、その顔を覆う髑髏面に寒気が走る。

 違う。静謐ではない。百貌のハサン――ローマ領に属していた、同盟が成立してからは各所の偵察や情報交換を担当していたサーヴァントだ。

 百貌のハサンは多重人格という特異性を有し、その人格一つ一つに独自の肉体を与える宝具を持つ。

 長い髪を後ろで縛った女性個体――彼女は、その中でも中心であり主軸の存在だったか。

 動きが鈍っているとはいえ、ハサンは太夫黒と同等の速度で走っている。

 この地形は、ハサンにとって取るに足りないものなのだろう。

「馬を有しているならばそう時間は掛からんな……オジマンディアスは既に変転した。早くどうにかせねば……この時代の終わりにそう時間は掛からんぞ!」

「変転……!?」

「最早オジマンディアスという英霊はこの時代にいない! 月のオペレーターとやら! 神殿に在るモノの解析、可能だろう! アレでもサーヴァントと基本は変わらん筈だ!」

『確かにサーヴァントと似てはいますが、数値に相違点が多すぎます! もう少し時間が掛かります……!』

 ハサンは、この先に待ち受けているものの正体を知っている。

 サーヴァントとは、似て非なるもの……それは、一体。

 そろそろ神殿が見えてくる頃合いなのだが、いつもより砂嵐が強く、遠くを視認することが――

『――ッ、皆さん! 前方から敵対反応接近! これは――スフィンクスです!』

「なっ!?」

 突然のサクラの警告。

 前方に、何かが近付いてくる様子はないが……。

「接敵するぞ! 二匹だ!」

 ハサンには、その姿が見えているらしい。

 僅か、ハサンが体勢を低くした瞬間――

「二人とも! しっかり捕まって!」

「ッ――!」

 砂嵐を切り裂きながら、神獣が視界に飛び込んできた。

 あまりにも高速であるからか。近付いてくる様子はほぼ見えなかった。

 太夫黒が爪の下を滑るように回避する。

 追撃を馬とは思えない軽やかな動きで走り抜け、対応するもそれに対して何もしないスフィンクスではない。

 回避された足を軸にして向きを反転、一度の跳躍で開いた距離を詰めてくる。

 オジマンディアスの指示によるものか。それとも、そもそもそういう風に訓練されているのか。

 スフィンクスは完全に僕たちを敵と判断している。

「くっ……おのれ、体の作りで根本的に差があるか……!」

 先端さえ触れるだけで細切れになるだろう爪を、続けざまに三度躱す。

 上手く回避したものの――気付けば次の追撃は避けられない程にまで距離を詰められていた。

 動きを読まれた――力もさることながら、智慧もまた、この神獣は卓越しているらしい。

 ハサンは、その身のこなしでもう一頭をどうにか翻弄している。

 あちらが僕たちを襲うことはないだろうが、ともかく今はこの一撃をどうにかしなければ――!

「自在天眼・六韜看破!」

 そんな窮地に焦ることなく、牛若は宝具の真名を解いた。

 瞬間、有利不利は逆転する。

 僕たちの騎乗する太夫黒はスフィンクスの真上へと転移する。

 ハサンもまた同じ。

 どれだけ智慧が回ろうと、突然視界から消えれば咄嗟に行動する事は出来ない。

「これぞ遮那王流離譚が一景。兵法を学ばぬ獣には分かるまい!」

 落下の勢いそのままに、刀で首を断つ。

 スフィンクスが崩れ落ちるのと、太夫黒が着地するのはほぼ同時だった。

 一頭倒した――あとは……!

「ハサン! そっちは――」

「無理に決まっているだろう! スフィンクスを叩きのめせるアサシンがいて堪るか!」

 必死な怒号が返ってきた。

 僕たちよりも危なげなくスフィンクスの攻撃をいなしていたのだが、それでも攻撃力は神獣を討つのに及ばないらしい。

「太夫黒、暫くお二人を頼むぞ!」

 牛若が跳ぶ。彼女の剣技ならば、スフィンクスの首を断つことも出来る。

 一頭倒したとて油断はできないが、牛若なら問題ないだろう。

「ハクッ!」

「え――? ッ!」

 突如聖骸布の拘束が強まる。

 メルトが牛若に代わり、太夫黒を操る。

 牛若程ではないが、メルトが有する騎乗スキル。

 何故それを今行使したのか、すぐ傍を掠めていった爪で悟る。

「胴体だけで……!?」

「無茶苦茶ね! とにかく避けるわ、ハク、しっかり捕まって!」

「ッ!」

 驚異的な耐久力だ。首を断って尚、平然と動き戦闘を可能とするなどと。

 これが単体のサーヴァントの宝具として存在しているなんて、こうして相対してみても考え難い。

 これでは、神殿に辿り着くのも難しい――!

「――!」

 ――瞬間、スフィンクスの胴が粉砕された。

 彼方より飛来した二丁の武器。

 矢ではない。遠距離武器とは思えない剣が、ただの一撃でスフィンクスを打ち砕いたのだ。

「何が……」

『カレンさんのサーヴァントです! スフィンクス、完全停止――今の内に神殿へ!』

「カレンの……?」

 カレンのサーヴァント――ゲートキーパー。

 およそ戦いに参戦する気には見えなかった彼が、力を貸してくれた、のか?

「……今は気にしていてもしょうがないわ。ハサン、ウシワカ! 神殿へ向かうわよ!」

 太夫黒の手綱が牛若に返され、再び走り出す。

 理由など分からないが、ゲートキーパーが窮地を助けてくれたことは事実。

 スフィンクスを一撃で破壊するほどに強力な英霊とは、一目では分からない。

 しかし、もしも本当に規格外のサーヴァントだというならば――カレンは、そんな存在の協力を勝ち得たのか。

 そんな事を思いながら、神殿へと近付いていく。

「あれは――!」

 見えてきた。輝きを失った大複合神殿。

 そこに寄生するように、何かが出現している。

 見るも悍ましい肉塊。赤黒い二つが捻れて結合したような異形。

 明らかに人型ではないそれから伸びる、人のような腕はあまりのアンバランスさに吐き気さえ覚える。

 人で言えば胴の部分に怪しく輝く瞳。それは、確かに生物であるらしい。

『解析、完了しました! クラス反応不明(アンノウン)! 別個体の二つが結合した存在です!』

 あえて例えるならば、それは悪魔。

 そうでなければ、ここまで悍ましい姿をしていられるわけがない。

 怨嗟にも、慟哭にも聞こえる奇怪な呻き声。

 これが、ラーヴァナの最後の一手。この特異点における、最後の敵。

 怪しく輝く目玉。その視線は、獲物を見つけたように此方に合わせられた。




カルナVSアルジュナ、ラーマVSクー・フーリン。そしてローマ領の面々はパーティから外れました。
ここにきてカルジュナ対決が実現。CCC編一章以来ですね。
そして二章のラスボスが出現。一先ずアモン・ラー(偽)とでも名付けておきましょうか。
魔神柱とは異なります。手ないですしね、彼ら。

二章は次でラストとなります。また更新遅れるでしょうが、気長にお待ちいただけると幸いです。
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