Fate/Meltout -Epic:Last Twilight-   作:けっぺん

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ネロ祭、再び。
今回は何より、超高難易度クエストが楽しいです。
かなりやりごたえがありますね。ああしたクエストは結構頻繁にやってほしいです。呼符も貰えるし。


第六節『鉄と騎士王』

 

 

 ――少々、話がある。よろしいか。

 

 夜になって、食事を終えた後、アグラヴェインに呼び出され向かった先は、玉座の間だった。

 月明りに照らされ、神秘的な様相を醸す部屋に、黒鎧の男は一人立っている。

「来たか。先ほどの責務、ご苦労だった」

「あ、ああ……僕がそうしたくて、同行しただけだから」

 硬い表情を崩さないアグラヴェイン。

 内心の読めないその様子は、まさしく鉄だ。

 熱されることなく、常に冷たいこの黒鉄は、騎士王にとってさぞ信頼できる重鎮であったことだろう。

「それで、どういった用件かしら。あまり時間を掛けないでもらえる?」

「そのつもりだ。先程の報告から私なりに対策を用意した。陛下とマーリンには話したが、お前たちにもと思ってな」

「何故、僕たちに?」

「我々を呼んだのはお前たちだ。言わばマスターであり、時代の外より来た者では最も尊重すべき存在だろう。ムーンセルの管理者の慧眼を信頼してのことだ」

 アグラヴェインの言葉は淡々と、事務的に口から流れ落ちる。

 マスター……確かに、そういう見方も出来るか。

 召喚したのはムーンセルの機能によるものだが、その管理者たる僕たちを、彼はマスターと見ているらしい。

 そう、信頼してくれるならば此方も喜ばしい。先を促すと、やはり淡々とアグラヴェインは話し始める。

「カムランの丘に陣取る黒竜王とやら。恐らく英霊だろうが、如何せん情報が足りん。よって明日、何人かをカムランへ向かわせようと思う」

 なるほど……どの道、このままでは埒が明かない。

 向こうがどういった意図を持っているかは不明であり、膠着状態である確信はない。

 様子見、場合によっては交戦。そうして敵の力を測り、策を練ろうということか。

「英霊にも何人か同行してもらうが、お前たちに、それらの指揮官として向かってもらいたい」

「指揮官……?」

「アーサー王を此処から離させることは出来ん。どうしても、実働の指揮官が必要だ」

「それを私たちに任せる理由は何かしら」

「月の観測者としての実績を見た。お前たちに戦う力があることも、先程の一件でわかった。問題はないだろう」

 味方を分散させるにおいて、アルトリアを外に出すという選択肢はない。

 彼女は王であり、諸侯が次々黒竜王の手に落ちている現在、アルトリアは最後の砦ともいえる。

 彼女が落ちれば、この時代のブリテンは成り立つまい。

 そうなってしまった時こそ、この時代の終わりだろう。

 そんなアルトリアが、自ら敵の本拠地に入り込む時など――それこそ、決着を付けん時だけだ。

 僕たちとしては、一刻も早く異変の原因を断ちたい。

 役に立てるならば、全力で努めよう。

 メルトと頷き合う。答えは決まった。

「分かった。やらせてもらうよ、アグラヴェイン」

 その回答に、アグラヴェインも小さく頷く。

 鋼鉄は表情を崩さず、しかし方針は決定したらしい。

「ジークフリート、ブーディカ。そしてレオ殿とアルテラを連れていけ。出立は明日の早朝、カムラン付近までマーリンが運ぶ。同行する者らには私から伝えておく」

 前者二人は、先程その能力を垣間見た。

 ブーディカに関してはその一端だろうが、ジークフリートは今より遥か前から、全力を知っていた。

 月も忘れたあの事件(CCC)で、サーヴァント複数を相手に決して劣ることなく立ち回り、強力極まる敵の打倒にもなくてはならない存在だった。

 サクラ迷宮の、最後の壁を打ち破ったのも彼の剣だ。

 レオについては、最早思い返すこともない。

 聖杯戦争で最強の敵として、月の裏側では頼れる指揮官として。

 今回召喚したのはあの時連れていたサーヴァントではないが、あれほどのステータスを持った大英雄だ。

 その実力に問題はないだろう。

「加えて、兵を用意する。英霊には及ぶまいが、竜牙兵やワイバーン相手ならばある程度は戦えるだろう」

「兵を……それは、この時代の?」

「いや、違う。マーリンの魔術で造る人形騎士だ。それを私が出立までに強化しておく。出来て二、三十程度だがな」

 人形騎士……魔術で作るということは、ゴーレムに近いだろうか。

 稀代の魔術師であるマーリンの手から成るものとあれば、相当な性能を持つだろう。

 アグラヴェインもどうやら、味方の強化に通ずる能力を持っているらしい。

 竜牙兵はそう高い性能はない。

 ワイバーンは竜牙兵とは比べ物にならないが、それでも英霊には及ばない。

 だがあの数が問題だ。此方の英霊は数少ない。それらに割く力は出来るだけ少ない方が良い。

 完全ではなかろうと、それらを相手に出来ると言わしめるレベルなのであれば、全く問題はない。

「十分だ。……帰還については――」

「それもマーリンが手を打つとのことだ。あの老体はまったく、奇妙な手管には精通している」

 視覚をあれだけ大規模に騙すほどの魔術師だ。

 彼が出来るというからには、万全にこなす手段があるのだろう。

 いざという時、皆を連れて帰還出来なければ困る。

 ムーンセルでの転移に慣れてしまった身では、どうにも不便に感じるが、ここは地上であり、更に月が万全に干渉できない不特定地点。仕方のないことだ。

「敵の探知はこれまで通りオペレーター殿に一任する。本拠地とあれば相当の防備が予想されるが、構わないか?」

『え、あー……うん。大丈夫だよ。今日以上に気を張らせてもらう』

 英霊の感覚をも超えるムーンセルの探知があれば、奇襲等の危険性は格段に減る。

 どのような罠が待ち受けているかも分からない。白羽の役割は、とても重要になるだろう。

「では、私からの話は以上だ。そちらから何もなければこれで終わるが……」

 此方からの問いをアグラヴェインは待っている。

 明日の策についてならば、問い質すようなことは思い浮かばない。

 特にないと返すと、一つ頷いてアグラヴェインは去っていく。

 そのまま部屋の扉に手を掛けようとして――逃れるように開く扉を前に立ち止まった。

「おや? アグラヴェイン、もう話は終わったんですか?」

「はい。彼らに話は終えました。指揮官の任、彼らに受諾を得たので、ブーディカらにその旨を伝えた後マーリンの人形騎士に手を加えに向かいます」

 玉座の間に新たに入ってきたのは、アルトリアだった。

 寝巻きであろう普段以上の軽装に身を包み、誰も連れずにここまで来たらしい。

 ……自らの城の中とはいえ、どうにも、警戒心が無さすぎではないだろうか。

「……あの、アグラヴェイン?」

「如何されました?」

「働き過ぎでは? 貴方が来てから、私の職務が殆ど無くなってしまったんですけど……」

 不満を述べるアルトリアに、アグラヴェインは眉一つ動かさずに返す。

「今の貴方に何かあれば大事です。貴方は常に万全でなくてはならない。私がこなせる程度の職務しかないのであれば、私に全て預けていただいて構いません」

 自己犠牲……だろうか。

 アグラヴェインは、アルトリアの負担を極力自分に回しているらしい。

 相変わらずの、淀のような瞳からは彼の真意を読み取ることは出来ない。

 疲弊している様子はない。ただ己のみで可能な領分だと、アグラヴェインは告げた。

「ですが、私も王として成長途上の身……そういった経験もしていかなくては……」

「はい。この災厄が取り払われたら、よく経験を積まれるよう。このような状況でなければ、私も自らを使い潰せなどとは言いません」

「……えっと」

「失礼します。陛下も、早めにお休みください」

 一切の反論を殺し切り、押し黙ったアルトリアに一礼し、今度こそアグラヴェインは出ていった。

 なるほど、あれほどの堅物であれば、文官も務まろう。

 悪と見なされやすいのは――その融通の利かなさから来たのかもしれない。

「……困りました。彼、倒れてしまわないでしょうか?」

 不安そうに聞いてくるアルトリア。

 彼が無理をしていないのは分かるが、それでも心配なのだろう。

「大丈夫よ。彼もサーヴァント、限界は弁えている筈だから」

「そう、なのですか……? でも……」

「アルトリアのことを想っての行動だよ。君はこの時代の最後の楔、何としてでも守りたいんだと思う」

 彼は将来――彼にとっては過去の話だが――アーサー王に仕えることになる騎士。

 ブリテンを守るため、そして、有る筈の未来を確立するために、彼なりに尽くしているのだ。

「……彼は……立派な騎士ですね。彼も、そしてベディヴィエールも……まるで、本当に私の騎士であるみたいです」

 アルトリアは、当然ながらその事実は知らない。

 だからこそ、不思議に思っていたのか。

 円卓の騎士として現代まで語られる、アーサー王の騎士たちの、自分への忠義を。

「彼らの期待に私は応え、努めます。まだ成長途中の身ですが、善き王になれるよう」

「――――」

 今改めて宣言するまでもない、彼女に根付いた決意。

 柔らかく微笑んだ少女は、ここ数日で最も尊いものに見えた。

 その笑顔に、その決意に、その輝きに、騎士たち(かれら)は感銘を受けたのだろう。

 やがてその光は陰り、輝きは没落する。その運命は変えられない、現代において確定した物事だ。

 だが、今は全盛期にすら至っていない。

 そんな彼女の時代を、異質のままに終わらせるなどあってはならないのだ。

「善き王……か」

「はい。私は自らの意思で、剣を引き抜きました。だから、善い国を目指すのは当然です」

 玉座まで歩み寄ったアルトリアは、その先の壁に掛けられた剣を見る。

 最初にこの部屋に訪れた時も、否が応にも目に入った。

 担い手が持たぬ時でも、淡く輝くことを忘れぬ剣。

 あれこそ世に名高い『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』。

 次代の王こそが引き抜くことを許される、選定の剣。

「選定の剣は、誰でもない私を選びました。村一番の力持ちでも、音に聞く猛き騎士でもなく。私のために在ったように、剣は引き抜けたのです」

 それは、果たして彼女の意思か。

 或いは、他者の意思で――彼女が剣を引き抜くことを定められていたのか。

 彼女の言葉からは、多少なり、そんな迷いが見えた。

 いや、違う、と。彼女はかぶりを振る。

 これは紛れもない、自分の意思だと。

「ケイ兄さんは、『俺に剣を寄越せ。まだ撤回できる』と言いました。ケイ兄さんにしては、とても短い、必死な言葉でした。彼なりの優しさを蹴って、私は正しいと思う道を選んだのです」

「それは……」

 何故、と聞いた。

 その真っ直ぐな瞳に、消えそうになる言葉を絞り出した。

 ケイが作った逃げ道は、同時に彼女に、決して進もうとしている道が栄光だけに満ちたものではないと示唆していたのかもしれない。

 だが、それでも――。

 笑って、アルトリアは、言う。

 

 ――――、

 

 

 それから、少しの間アルトリアと話をして、僕たちは部屋に戻った。

 眠るにはやや早い時間だ。

 よって寝る前に、一つ、やるべきことを行っていた。

『――アンタが、依頼者か?』

「ああ。ムーンセル管理者、紫藤 白斗。及びメルトリリスだ」

 この時代にいる、三人目のマスター。

 白羽を通じてコンタクトを取り、一度は単独行動を取るとだけ返ってきたが、その後の白羽の努力によって通話に応じてくれたのだ。

『俺は獅子劫(ししごう) 界離(かいり)。よろしくな、月の主さんよ』

 映像はなく、音声だけの通信だが、白羽がそのマスターの画像を送ってくる。

 右目を走る大きな傷痕。剃刀の如く鋭い目。

 筋肉隆々のがっしりとした体つき。年齢は三十代だろうか。

 恐らく、その姿を見た誰もが、その外見から同じ感想を持つことだろう。

 ――恐ろしい、と。

『……ん? どうした?』

「っと、なんでもない。まずはお礼を。事件の解決に参戦してくれて、ありがとう」

『そういう言葉は結構だ。元よりフリーランスの身なんでな。仕事の一環だ。間違いなく、これまでで一番の厄介ごとだが』

 通信をしながら、白羽が画像と共に送ってきた情報を見る。

 獅子劫 界離。フリーランスの霊子ハッカーだ。

 専門は死霊魔術(ネクロマンシー)

 二十世紀後期のマナの枯渇以降は死体を用いたコードキャストを扱う魔術として確立されている。

 宝石魔術と並んで消耗型(ワンオフ)魔術の最高位ではあるが、当然、その方式から好んで使う魔術師はそうそういない。

『まあ、いつもと違う仕事場だがマナがあるなら問題ない。電脳世界との相違点はそっちで修正してくれてるみたいだしな』

 電脳世界における魔術と、マナの枯渇前に主流だった魔術では、魔術回路の使い方が違う。

 だが、マスターたちにはそれぞれの時代に移動する前、ムーンセルを介した際に外付けで容量無しの術式を組み込んでいる。

 二つの相違点を失くし、魔術(コードキャスト)の要領で魔術(しんぴ)を扱える特殊な術式。

 ローズマリーとサクラ・ノートの完成より少し前――地上に降りるために用意したものだが、ここまで有効に使う時が来るとは思っていなかった。

「出力に何か問題は?」

『これまででは特に。元々自分の身に頼るモノでもないんで、参考にならないだろうが』

「いや。そういう魔術師の見解も聞きたかった。死霊魔術はまるで分からないけど……」

『ん、こっちの情報は持ってる訳か。まあ、当然だな。イメージは悪いだろうが戦いに向いた魔術だ。単独行動に支障はないさ』

 何かと物騒な魔術だが、取り分け死霊魔術は他のジャンル以上に血生臭い。

 死体を得るために戦場に喜々として向かうし、異常で発生した魔獣なんかも絶好の魔術触媒らしい。

 経歴を見れば、獅子劫 界離は霊子ハッカーの傍ら、テロ行為にも何枚か噛んでいるようだ。

 紛争のある場所に駆けつけては、触媒を回収する。

 それが、彼の魔術の基盤なのだろう。

「……どうしても、共同戦線は張れないのか?」

『あくまで俺はサーヴァントと二人で行動するってだけだ。この時代の状況はオペレーターの嬢ちゃんから聞いている。黒竜王とやらにも、此方なりの方法で仕掛けてみるつもりだが……問題か?』

「いや……ただ、同じ場所に居た方が協力するにおいて策も練りやすいと考えたんだ」

『間違っちゃいない。が……生憎、俺のサーヴァントがこれまた意固地でな。そっちの城には向かえないらしい』

 ――サーヴァントの問題、か。

 彼の契約したサーヴァントの情報までは聞いていないが、英雄たちにも事情があるものだ。

 もしかすると、この城にいる英霊の誰かと縁があるのかもしれない。

 ともあれ、そういうことならば……仕方ないか。

「……分かった。連絡を取り合うのは、構わないかな?」

『ああ、それは良い。こっちも其方さんも、情報は必要だからな』

 とりあえず、白羽から向こうへ情報は送られているだろう。

 だが、向こう――界離側の情報は聞いていない。

『今分かっている情報ね……そうだな』

 話を切り出すと、暫く考えて、回答が返ってくる。

『なら、アンタらから貰った情報に釣り合うか分からんが、一つ。察するに――このバーサーカー、クリームヒルトを連れて行ったサーヴァントの真名、分かっていないだろう』

「え――?」

 彼らがどんな行動をしているかは知らなかったが、それでも意外な話の入り方だった。

 その口ぶりからするに、もしや。

「……知っているのか?」

『クリームヒルトの方は知らなかったけどな。なんせコイツら、俺たちの方にも声を掛けてきた。明らかに敵方だったんで適当に断って逃げてきたが』

 ――そうか。

 あのサーヴァントたちはキャメロット側のブーディカと同じく、味方を集める役目を担っていたのだ。

 ジークフリートやモードレッドに、本当に此方に付くか、聞いたのもそのためだろう。

 あわよくば引き込もうとしたのかもしれない。

『まあそんなことは良い。コイツは厄介だぞ。ステータスは俺のサーヴァント以上、剣が宝具だろうが、十分に高名だ』

 確かに、あのサーヴァントのステータスは全体的に高水準で纏まっている。

 剣以外に武装は見当たらなかった。恐らく、セイバークラスだろう。

 では……その真名は。

「剣の、名前は?」

『『陽射す虹剣(ジュワイユーズ)』。聞いたことはあるなら、担い手の真名にも行き着くだろ』

 その名は、知っていた。

 中世フランスにおいて、これ以上に名の有る剣など一本だけだろう。

 絶世の名剣と謳われる聖剣『不毀の極聖(デュランダル)』。かの剣と、ジュワイユーズは同じ素材から作られたとされる。

 日ごとに三十、その色彩を変じると伝えられる極光の剣。

 その剣を担い、あれほどのステータスを持つ英雄とあらば、思い浮かぶのはたった一人。

「……シャルルマーニュ」

『ご名答。それなりの知識はあるようで安心した』

 シャルルマーニュ。より知られた名を、カール大帝。

 その生涯の大半を征服に費やし、華々しくフランク王国に全盛期を齎した聖域王。

 そして、英雄ローランやアストルフォなど十二の聖騎士(パラディン)からなるシャルルマーニュ十二勇士の主である。

 それほどの英雄が、まさか敵方に回ってしまうとは……

『悪いが、俺から渡せる情報はそれだけだ。今後何かあれば、連絡させてもらう』

 伝えるべきことは伝えたとばかりに、界離は通信を切った。

 得た情報は一つだけだが、正体不明だった英霊の真名が判明したのは大きい。

 そして何より、三人目のマスターとコンタクトを取れた。

 この時代の異変解決、その糸口になれば良いが……。

「……それなりの情報ね。厄介な相手が判明しただけだけど」

 通信の間、何故か黙っていたメルトが眉間に手を当てつつぼやく。

「ああ……ところで、なんで黙っていたんだ?」

「私、フィギュア映えしない人間は更に嫌いだもの。彼もまあ、ニーズはありそうだけどアメトイ向きね。私の趣味じゃないわ」

「……」

「冗談よ。向こうのサーヴァントが口を聞かないようだったから、こっちも黙ったってだけ」

 ……気を回した、ということだろうか。

 マスター同士の方が話はスムーズに進む、と判断したのかもしれない。

『まあ、ともかく。真名が分かったところでやることは変わらないね。そろそろ休んだ方が良いよ、二人とも。明日は早いみたいだし』

「そうだね。白羽ももう休んで、辺りの警備はベディヴィエールがやっているみたいだから、問題はないと思う」

『ん……じゃあ、少し寝るね。お休み、二人とも』

 さて、僕たちも休むとしよう。

 今日は、昨日より多くのことがあった。

 ジークフリート、モードレッドと出会い、敵対するサーヴァント――シャルルマーニュとクリームヒルトとの相対。

 そして、黒竜王というこの時代を異質とした元凶の判明。

 アグラヴェインやアルトリアとの語らいに、獅子劫 界離とのコンタクト。

 それらの中で――特に強く残っているのは、先ほどのアルトリアの言葉。

 己はまだ未熟だと、彼女は言う。

 だが、その言葉は、紛れもなく。

 騎士王でなければ、言うことは出来ないだろう。

 

 

 ――彼なりの優しさを蹴って、私は正しいと思う道を選んだのです。

 

 

 

 ――それは……何故?

 

 

 

 ――……だって。多くの人が笑っていましたから。

 

 ――――それはきっと、間違いではないと思ったのです。




夜の話でした。
今回はアグラヴェインとアルトリアの掘り下げです。

そして、この時代三人目のマスターの判明。獅子劫さんです。
Apocryphaにおけるモーさんのマスターですね。
本作においては違うサーヴァントと契約しています。

また、前回のサーヴァントはシャルルマーニュでした。アストルフォの仕えた王です。
ここから一章は大きく動くことになります。楽しんでいただければ。
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