「千秋、戻ったぞ……聞いてくれ、奴らと来たら本当に私が支部長なのか?だと……確かに本来の支部長は七海だが、私とて実質的支部長ではないか」
「うーん。実質的支部長は、姫咲ちゃんじゃなくて大文字さんだ……と、思うよ……?」
苗木と七海がゲームをしていると、突如隠し部屋の扉が開き、見覚えのない〝女性〟が入ってくる。七海とのやりとりからして知り合いだろう。
「何だ、二人きりの時は礼歌と呼べと……!?」
姫咲ちゃんと呼ばれた女性は苗木の存在に気づくと、慌てて目元を隠す仮面を取り出し装着する。
「貴様!苗木誠!何故ここにいる!?」
叫んでくる姫咲を前に、苗木は七海をチラリと見る。七海は我関せずとゲームを進めていたが、唐突に停止させると振り返る。
「礼歌ちゃん。め、だよ。苗木くんはお客さんなんだから」
「うっ……す、すまん千秋……」
二人のやり取りからして仲がいいのだろう。
しかし、何だろうこの小物臭は………十神と似た気配を感じる。
「苗木誠、英雄などと呼ばれているが調子に乗るなよ?真に優れているのは高貴な血筋たる私1人だ」
「……ふーん……」
なるほど、十神と似た気配がするはずだ。かなり高い階級で生まれ、育ってきたのだろう。十神は勝利の経験に基づく自信があったわけだが……。
「江ノ島盾子とて、元々は私が殺してやるつもりだったというのに……」
「あん?」
「……ふん。気に障ることを言ってしまったか?だが気に入らなければ睨むなど、許容が低い証拠だな」
「…………せめて七海先輩の後ろから隠れずに言おうよ」
七海の後ろに隠れながら傲慢に振る舞う姫咲に、苗木ははぁ、とため息を吐いた。十神とは違い、愛嬌があるのがせめてもの救いか。
「じゃ、ボクは出てくよ」
「またゲームしようね」
「な、何だと千秋!私以外とゲーム……!?た、確かに私は下手だが………」
「大丈夫だよ。礼歌ちゃんにゲームを勧めたのは私だもん」
仲がいい。姫咲の性格では友達も出来ないだろう。きっと、七海が初めての友達に違いない。
そう言えば高校生活でも、十神と仲良くなってから気味悪いぐらい親しげに話してきた気がする……。
「行くよ、聖原クン……」
「はい」
苗木と聖原が支部長室から出て数歩歩き、二人は同時に振り返る。
「キミ、だれ……?」
【おやおや気づかれていたか。ふむ、我もまだまだのようだ。初めまして英雄殿。我は超高校級のスタッフ・俸我渉。以後、よろしく】
苗木は俸我を緑と蒼の双眸で見つめ、直ぐに飽きた。崇拝はしていないが尊敬はしている。そして、こちらの利用価値を理解している。次に言う言葉……いや、PDAに打ち込む文章を分析する。
【今日、絶望達の連中を見たろ?彼らの危険性もわかったはずだ。殲滅するために協力してほしい】
予想通りでツマラナイ言葉だ。そんな言葉に苗木は……
「絶望の危険性?確かに見たけど、殲滅するための協力なんか出来ないよ。そこまで危険とは思えないしね」
苗木の拒否にポカンと固まる俸我を見て、苗木は満足げに頷く。自分の行為で人が予測通りに動くのは楽しい。
「話がそれだけならもう行くね」
【ま、待ってくれ!我は、間違っていないはずだ。そうだろう?……なのに何故……】
「………自分で考えな」
苗木はニッコリ笑ってその場から立ち去った。
「カムクラ先輩、一つ聞いて良いですか?」
苗木は屋上で、カムクラとコーヒーを飲みながら会話をする。
「何ですか?ツマラナイ質問ならお断りです」
「カムクラ先輩って、体験したこと無い記憶や、もしくは未来の記憶を持ってたりします?」
苗木の質問に、カムクラの赤い瞳が揺れる。その反応を見て、苗木は自分の予測が当たっていることを確信した。
「……流石ですね。てっきり、何故助けたかを聞かれると思ったのですが……ありますよ」
江ノ島の日記に書かれていた事と実物のカムクラを見て、彼が七海を助けるとは思えなかった。ならば、普通では有り得ないことが起きたのでは?と予測したのだ。
「………南国」
「…………」
「南国で、彼女を含めた77期生達と日向創としての僕が過ごしていたんですよ。途中、モノクマがやってきましたが……途中までは予想通り、けど最後が違った……そんな夢を……気がついたら、彼女を助けてました」
苗木はふぅん、と赤い夜空を眺める。未来の記憶。カムクライズルと日向創は別人格だからか、それを本来の記憶とは認識せず謎の記憶と思っているようだが、彼もまた苗木と〝同類〟なのだろう。探せば他にも居るのかもしれない。
「…………時にカムクラ先輩」
「何ですか?」
「今日は何故か臭いますね。……それも、他の奴らとは比べ物にならないほど……」
「………ああ、これですね」
カムクラは懐から、モノクマのキーホルダーが付いた《メモリースティック》を取り出す。カムクラが取り出したそれを、苗木はジッと見つめる。
「お貸ししましょうか?」
「………良いの?」
「アナタなら面白いことに使いそうなので。ただ、貸すだけです。僕が塔和シティに行くまでには返してください」
「わかってますよ………ふーん、そう言うこと。ただでは死なないね《彼女》も。面白い、何に使おっかな~………取り敢えず、『あの女』を潰すのを手伝っても~らお♪」
苗木は笑顔で屋上の出口に向かって歩き出す。カムクラも、何時の間にか消えていた。
姫咲礼歌 超高校級の御令嬢 白執事Ⅱさんのキャラ
なろうで小説を投稿を初めてみたので更新が遅くなるかもしれませんがご了承ください