救えなかった苗木の逆行物語   作:超高校級の切望

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地獄の中心で愛を叫ぶマモノ②

「あれ、道が塞がってる……」

 

 病院から出た少し先、崩れた道路のすぐとなりの無事な通路を車が塞いでいた。こまるが『ウゴケ』を撃てばすぐに動き出しコンテナに激突したが。

 

「あ、あれ橋じゃない!」

「そうだねー。ん、と……普通の道じゃ迎えなさそう」

 

 

 

 しばし周囲を見て回ると二人ほど協力すれば登れそうなコンテナがあった。月光ヶ原はやはりハイテク車椅子の機能を使い1人でコンテナを登っていたが……。

 そして四人がコンテナから降りると同時に何かが空から堕ちてくる。こまるは迷わずそれを蹴り飛ばした。

 

『ひゃっほー!』

『消えてなくなれー!はにゃ?』

 

 やってきたのは、まあ、ボンバーモノクマとでも名付けよう。爆弾の詰まった駕篭を背負いヘルメットを被ったモノクマは赤く点滅する爆弾を見て固まり次の瞬間爆発に巻き込まれた。

 背負っていた爆弾も連鎖的に爆発して二体とも粉々になった。

 

「こ、こまるちゃん危ないよ!」

「大丈夫大丈夫、この爆弾ちょっとやそっとじゃ爆発しないの知ってるから」

 

 

 

「ったく、あっちこっち道が塞がれて、まとめに進めないじゃない……」

『方角的にはこのホテルの反対側に橋がありそうでちゅね。どうします?』

 

 一同がホテルに入るとやはり人気はない。

 

「こまるちゃん、あそこの階段、まだ届きそうじゃない?」

 

 音無が言うとおり、階段が途中で壊れているが二人係りなら登れそうだ。音無を踏み台にこまると腐川が登り二人で音無を引き上げる。月光ヶ原も車椅子で続いた。

 

「もうそれ車椅子ってレベルじゃないよね」

『電撃やミサイルも放てるんでゅよー。しゅごいでしょ!』

 

 えっへんと胸を張る画面上のウサミ。

 それもう武器のレベルなんじゃ、とは思ったが口には出さないことにした。

 

 

 

 二階には死体が幾つも転がっていた。中には巨大なネジで壁に立て掛けられたモノまである。その死体をみてこまるは首を傾げる。

 

「……何でだろ、なんかお兄ちゃんを連想させる……」

「はぁ、な、何言ってんのよあんた……うぅ……血、血ぃ……見たくもないわ」

 

 巨大なネジで貼り付けという光景見ると何故か兄の声が聞こえた気がした。しかも何故かその声は『女子は皆裸エプロンでボクにかしずけ』などとほざいている。

 しかし二階も床が抜けていたりと進みにくい。襲いかかるモノクマを撃退しながら一階に戻るとまたゲームのある部屋につく。モノクマが数体居たが真ん中に立っていたボンバーモノクマを倒すと巻き添えで周りも壊れた。

 こうしてみると、本当にゲームだ。そういう風にはじめから並べられているのだろう。暇なことだ。

 

 

 

 と、ホテルの反対側に出るとパソコンの前に立つモノクマキッズがいた。モノクマキッズはこまるに手紙を渡してきた。

 

『挑戦状

 暗しょう番号が知りたければ『さかさま鳥』に聞いてみろ』

 

『…なぞなぞ、でちゅね』

「なぞなぞを解いて、ここに…正解を入力しろって事みたいね」

「何それ!こっちは遊びじゃないのに……どうする、こまるちゃ──」

「7734、と……」

『ピポピホピンポーン!』

 

 という音がして、ロックの解除される音も聞こえてきた。モノクマキッズは呆然として、泣き真似してから去っていった。

 

「な、何で解ったの?」

「勘」

「か、勘で解ったら苦労しないわよぉ!」

『で、でも実際解いてまちゅね……こういう時は、こう考えるんでちゅ。この子は、彼の妹だと』

「………納得できたわ」

「……?」

 

 月光ヶ原の言葉に頭を押さえる腐川。唯一理解していない音無は不思議そうな顔をするがあいにくと答えてくれる者はいない。

 

 

 

「んー、おっきなっ橋だよね。でもこの色合い……」

 

 こまるは左右で白黒に分かれた配色の橋を見つめて呟く。塔和シティは埋め立て地で、この橋を渡れば間違いなく街の外に出られる。渡れれば、だが。

 

「どうするの?渡る……?」

「んー………それよりさぁ、橋の下にあるあれ、なんだろうね?」

「橋の下ぁ?な、何があるって言うのよ、何も見えないわよ……」

 

 腐川が目を細めて言うが月光ヶ原はカメラを取り出しズーム機能を使う。確かに橋の下に何かがあった。

 

『あれは、爆弾でちゅね……橋の上を誰かが逃げようとしたら落とす気だったのかもしれまちぇん』

「それに、橋の向こうが見えないけど、これって遠いから?」

『……いえ、倒壊してまちゅ』

「ふーん………ちなみに爆弾は有線?」

『無線式みたいでちゅ』

「そっか、なら電波で爆発するのか……」

 

 こまるはそういうとハッキング銃を構える。月光ヶ原達が目を見開き止めようとするより早く引き金が引かれ、爆音が響く。橋はあっという間に崩れた。

 

「こ、こまるちゃん!?」

「下手な希望を持って人が集まるよりましでしょ?」

「そ、そうかもしれないけど普通やる……?」

 

 腐川は呆れながら言う。しかし一理あるのでそれ以上は何もいえない。と、その時足音が聞こえてきた。四人が振り返るとそこには日焼けした少年が唖然と橋を見つめていた。

 

「さっきの爆音って、やっぱこれか………な、なあ!何があったんだよ!」

「橋が落ちた」

「そうだけど!そうじゃなくてだなー!」

 

 ガシガシと頭をかきむしる少年。いくらか叫んで落ち着いたのかはぁ、と大きく深呼吸してこまる達をみる。

 

「オレは朝日奈悠太ってんだ。その腕輪、キミも“希望の戦士”とか言う子供達に捕まったのか?」

「うんうんそれでゲームとか言われて街にほっぽりだされちやったんだー」

「そっか、お互い大変だな」

「私は苗木こまる。よろしくね朝日奈君……」

 

 こまるが自己紹介すると腐川達も朝日奈に自己紹介をする。悠太はそれぞれの名前を手に平仮名で三回書くとよし、と頷く。

 

「しっかし橋が完全に落ちちまってるな」

『そうでちゅね。向こうに渡るのは不可能になりまちた』

「………いや、まだだ!オレはまだ諦めねーぞ!」

「うわ、吃驚した。いるよねー、なんかいきなり叫ぶ奴……」

 

 突然大声を朝日奈から出した距離を取るこまる。朝日奈はストレッチを始めたので、なんとなく嫌な予感がし思わず尋ねる。

 

「な、何する気……?」

「なんつーか……ここまで絶望的な事が続くと、逆に腹をくくるしかねーっつーか…やっぱさ、自分がやれる事をやり切らねーと、こういう状況はどうにもなんねーよな」

『話が見えないんでちゅが……いえ、見えるんでちゅけどまさか………』

「決まってんだろ、泳ぐんだよ!」

「お勧めしないよ」

「………確かに、水泳には自信がねぇな。いや、自信がねーっつーか、近くに凄い奴が居たせいで避けてたっつーか。けど、そんな事言ってる場合じゃねーよな!ビビってる場合じゃねーもんな!」

 

 なにやら熱くなっていく朝日奈にこまるはそうじゃなくてさ、と、冷静に返す。

 

「この島から出ようとすること事態、やめた方がいいんだよ。この腕輪がある間はね…」

「は?なんでだよ……」

「………んー………お、良いの発見」

 

 こまるは水上を漂うモーターボードを見つけると腕輪を外し、モーターボードに向かって投げつける。上手い具合に腕輪はモーターボードの上に落ちた。それを確認したこまるは『ウゴケ』をモーターボードに打ち込む。

 モーターボードはしばし波に揺られた後ブルルルと音を立て橋の向こうを目指し進み始め、途中で爆発した。

 

「ってまあ、爆弾になってるみたいだからね………」

「な、何で……」

「ん、だって発信機機能だけだとしてもでかすぎるし、逃がさないためならこのぐらいの細工はしてあるだろうなーって……」

「そうじゃなくて!何で、取れるんだよ!?」

「ああ、だって最初からつけてないもん」

 

 肩をつかみ叫んでくる朝日奈にこまるは肩から手を払いのけながら言う。こまるの言葉に意味が分からないというような五人にこまるは面倒くさそうに説明を始めた。

 

「あれって腕輪の両端の接続部、結構精密みたいでさ……そこにガムを予めつめてから填めてたんだよね」

「………ガム?………あ!」

 

 と、音無は思い出したように叫ぶ。そうだ、確かに空に浮かぶ城の中で、こまるはガムを噛んでいた。何時の間にかなくなっていたが、あれはこういうことだったのか。まさかあの時点で予測していたのか?

 

「こまるちゃん、自分でおとなしくつけた訳じゃなかったんだ」

「当たり前じゃん。いくら私が絶望的に無能だからって、あんな怪しいもの自分から素直につけるわけないじゃん」

「「「「……………」」」」

 

 何ともいえない空気が流れる中、不意にこまるは虚空を見つめる。見つめた先に何かが一瞬だけキラリと光るとこまるは笑みを浮かべ、べぇ、と舌を突き出した。

 

 

 

 

 あの場でたむろしているのは危険だと判断して朝日奈を加え移動を再会する一同。月光ヶ原のハッキング銃は朝日奈に譲渡された。

 

「な、なあ……これからどうするんだよ?」

「地下鉄に行ってみる?地下なら電波も弱くなって、それの位置情報誤魔化せるかもしれないよ?」

「そ、そっか……そうだよな!」

 

 与えられた餌に食いついた朝日奈を見てやりやすいなぁ、とこまるは朝日奈をジッと見つめる。こんな騙されやすい性格で、この世界を生きていけるのだろうか?

 

「まあどうでも良っか」

「けど、こま──」

「苗木ね」

「な、苗木さんはこの街、詳しいのか?迷わず進むって感じだけど……」

「………()()()()()()

 

 

 しばらく歩いているとモノクマキッズが店番をしている屋台を見つけた。店の名前は『必殺屋』となっている。

 

「…いらっしゃーい」

「いらっしゃってません……」

 

 こまるはそういうと横を通り過ぎた。しばらく進むと交番が見えてきた。

 

「はは、こんな時でもランプはついてんだな……」

「……ランプ?」

 

 朝日奈の言葉に音無が交番の上のランプをみる。ランプはピカピカ光りそして動いていた。

 

「……え?」

『大変だ大変だ!』

 

 それはランプなどではなかった。本来黒い部分が黄色と黒の縞模様という危険を知らせる模様になり腹に危険マークをつけ頭に赤いランプを持ったモノクマであった。サイレンモノクマと呼ぶべきだろう。

 

『どうしたー?』

『いやっほー!』

 

 しかもより最悪な事に、モノクマを呼び寄せる機能まであるらしい。

 

「『オドレ』」

 

 が、こまるが『オドレ』を撃ち込むと踊り出しモノクマ達もサイレンモノクマに集まる。ので、月光ヶ原の車椅子から飛び出したミサイルで一掃した。

 

「か、かっけー!」

「もう完全に兵器だねこれ………」

 

 

 

 交番の中を進んでいるとまたゲーム機が置かれていた。さらにはプレゼントボックスの横に立つモノクマキッズまでもがいる。が、無視して隣の部屋に行くと電気自動車とサイレンモノクマと普通のモノクマがいた。

 

「本当、ゲームだねこれ……」

 

 こまるはそういうとゲームをクリアして先に進むのだった。

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