救えなかった苗木の逆行物語   作:超高校級の切望

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週刊少年ゼツボウマガジン(非)日常⑦

「…………おはよう舞園さん」

「おはようございます。昨夜の苗木君は、色っぽかったですね…」

 

 苗木が目を覚ますと、うっとりした表情の舞園が居た。

 

「色っぽい?」

「はい。頬を上気させて、息も荒くて……」

 

 はぁはぁと興奮したように話す舞園。

 と、苗木はふと、桑田のお願いを思い出した。

 

「舞園さん。今日、桑田クンと話してあげられるかな?」

「…………苗木君の頼みなら」

 

 苗木の頼みに舞園は一瞬だけ嫌そうな顔をしたが、すぐに笑顔で了承した。

 そして、何時ものように江ノ島と合流し食堂に向かう。

 

 

 

 

「ギャッハッハ!何言ってんだ、兄弟!」

「ハッハッハ!君こそ冗談はよしたまえ、兄弟よ!」

 

 と、食堂に入るなり、二人の男が仲良く肩を組む姿が目に入る。

 

「な、なあ苗木……あの二人、何があったんだ?」

 

 苗木が既視感を抱いていると、桑田が恐る恐る尋ねてきた。その際チラリと舞園を見ている。昨日の話を聞きにきたのだろう。

 

「………桑田君、後で少しだけお話ししましょう」

「え?……あ、ああ!」

「ん?おぅ、苗木じゃねえか!」

 

 桑田の声に反応して振り向いた大和田が、苗木を見て笑顔で片手をあげる。石丸も笑顔で手を振ってきた。

 

「君には感謝しているぞ。昨日はありがとう。よし、君のことも『兄弟』と言わせてくれ!」

「おお、そりゃいい!」

「嬉しいけど、遠慮しとくよ」

「む、そうか……」

「気が変わったら何時でも言えよ」

 

 と、気軽に接してくる二人。同じくサウナで根比べをして、こちらに友情を感じたのだろうか?だとしたら嬉しい誤算だ。

 

「苗木おはよー。あの二人が仲良くなった理由知ってるの?」

「昨日、二人で根比べしながら、自分の過去を語り合って仲良くなったんだ」

「男って単純」

「男ってのはそれぐらい単純な方が良いんだよ。な、苗木!」

 

 朝日奈の呆れた言葉に、桑田は苗木の肩をつかみ頭をぐしぐし撫でてくる。

 桑田も本音を吐露して、苗木に絆を感じたのだろう。良い傾向だが桑田、後ろの殺気の固まり二人に気づけ………。

 

 

 

 その日の夜、苗木が夜時間も近づいてきたので、朝来る舞園と違い、最近夜になるとやってくる江ノ島の頭を撫でていると、放送が鳴った。

 

『えー、校内放送。校内放送…まもなく夜時間となりますが、その前に…オマエラ生徒諸君は、至急、体育館までお集まりくださーい。えまーじぇんしー、えまーじぇんしー!』

「………苗木君……」

「新しい動機かな?……とりあえず行こっか」

「うん…」

 

 苗木がそう言うと、江ノ島も立ち上がり、苗木の後に付いて来る。

 

「おう苗木!おかげで舞園ちゃんと仲直り………ふぁ!?江ノ島ちゃん!ナンデ!?」

「ああ………」

 

 外に出たタイミングで桑田が話しかけてきて、江ノ島を見て固まる。

 

「お、おい!苗木、どういう事だよ!まさか、オメー……超高校級のプレイボーイなのか!?」

「いや、別にそういうわけじゃ──」

「江ノ島ちゃん、まさか苗木の彼女なのか!?」

「え、違うよ?私は………」

 

 と、そこで江ノ島は固まる。自分は果たして苗木のなんなのだろうか?無論恋人ではない。

 では、妹を一緒に絶望させてあげるための仲間?これも違う気がする………。

 

「………ペット?」

 

 よく頭を撫でてもらっている。これだ!

 

「これだ、じゃないよ……」

「……?」

 

 呆れる苗木に首を傾げる江ノ島。

 桑田はプルプル震え、やがて………

 

「ちくしょおぉぉぉ!オレだってモテてんだからなぁぁぁ!」

 

 と、涙目で走り去った。

 

「桑田君、何に泣いてたの?」

「……素が出てるよ」

「あいつ何泣いてんの?」

「……さあ………ね……」

 

 本当に残念だな、コイツ………。

 

 

 体育館に移動する途中舞園とも合流し、どうやら苗木達が一番最後だったようだ。

 

「うーむ、いきなり全員集めるとは、いったいどういう要件か?」

「前回の動機で殺人が起きなかったから、新しい動機じゃないかな?」

「ちょっと!怖いこと言わないでよ!」

 

 石丸の疑問に苗木が知る答えを言うと、朝日奈が責めるように叫ぶ。と、その時だった──

 

「でも、苗木クンが正解なんだよね~!」

 

 ビヨーン!とモノクマが壇上の上に姿を表す。苗木の答えを肯定して………。

 

「出たわね…」

「今日は苗木クンの言う通り、クロが現れないので………新しい動機を用意したよ!」

「な、苗木があんなこと言うから!」

「確かに苗木クンのせいだね。苗木クンがボクの邪魔ばっかりするんだもん!という訳で、今回のテーマはこちら!恥ずかしい思い出や知られたくない過去が書かれた封筒~!」

 

 どこかの青い狸を連想させる間延びした声で、モノクマは封筒を数枚取り出す。

 

「人間生きていれば誰しも、恥ずかしい思い出や知られたくない過去ってあるよね?今回、ボクは独自の調査により、オマエラのそんな『秘密』を集めてみましたー!」

 

 モノクマがそう言っている間に、苗木は自分の分の封筒を取る。

 

「もう、苗木クンたらせっかちなんだから……はいはい、並んで並んで」

 

 そんな苗木に、モノクマは呆れながら全員分の封筒を配り終える。そして、全員が恐る恐る封筒を開き、硬直した……。

 

「ど、どうして…?」

「どうして…知っているんだ…ッ!?」

 

 みんな、思わず声を上げていた。

 

「タイムリミットは24時間でーす!それまでに、クロが出ない場合は…この恥ずかしい秘密を、世間にバラしちゃいまーす人がたくさんいる所で、街宣カーでも転がしながら、怪文書を撒いちゃおうかな~!キャー、ハズカシイー!!」

「………ねえモノクマ、ボクの白紙なんだけど」

「ああ、苗木クンはさっき言ったように、ボクの邪魔ばっかりする悪い子ですから、何を公開されるかはその時まで教えてあげません!」

「………器ちっちゃ」

「ムキー!」

 

 苗木からの悪口に、モノクマは頭から湯気を出し、両手をバタバタ振り上げる。

 

「そこまで言うなら大ヒント。苗木クンのは知られたくない過去でも思い出でもない、〝現状知られたら困ること〟だよ!」

「……?」

「うぷぷ。この秘密が知られた時、苗木クンが絶望するのかしないのか、楽しみだよ」

 

 モノクマはそう言い残して、姿を消した。

 現状知られたら困ること?モノクマが苗木の記憶の秘密を知っているとは思えないが………。

 

「……ん?」

 

 と、不意に視線を感じ振り向くと、十神が疑わしげな目つきで苗木を見ていた。

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